知的障害特別支援学校にいた頃。
※ある専門家が教師の不勉強にあきれて書いたアンケートに答えたものです。アンケート部分も引用します。
教師の方
あなたは特別支援学級または特別支援学校の教員です,生徒には複数の自閉症の子どもがいます.多分2年以上の付き合いになります.何かでTEACCHという方法が有効であるらしいと聞きました.
TEACCHをクラスで応用するためには大学初年級程度の認知心理学と応用行動分析の勉強が必要といわれました.
さらにTEACCH関連の文献(単行本とは限らず、実践障害児教育などの雑誌の記事などでも可)を日本語で20以上読む必要があると言われました.
さてあなたはどうしますか?
1.そんなに勉強が必要なら手をつけない.
2.大変そうだけで,まあそれくらいなら勉強してみる.
3.その程度の勉強なら当然やるべきだ.
さてまあ人のことはおいておいて私のことだけ。
現実の私は目の前の子ども・学校生活・私との関係の中で苦しみ、しかし1年目はAACの文献はかなり読んだものの、TEACCH関連の文献は読まなかったですね。いや「自閉症の療育者」は手に入れ、読んでいたにもかかわらず、現実の中にどう応用していっていいのかわからなかったのです。
2年目でどうしようもなくなって、TEACCH研究会の京都や大阪の講演会に行ったり、本を探して読んだり・・・でも20冊は読めていないな。2年目の10月に2日間セミナーへ行って、やっと少しわかって、実践に応用しだし、3年目、5日間セミナーでやっとかなり学校生活の方を変えてみよう、という気になりました。で、その頃やっと「自閉症の療育者」の内容がわかりだした。
ふーむ、雑誌の記事や論文を入れれば20は行ってるけど・・・
2年目と3年目で自閉症関連の「本」ということなら20冊以上は行ってます。TEACCHという言葉が入るなら・・・10冊くらいか。
で、苦しくてしかたなかったから勉強したわけで、2.でも3.でもないなあ。で私、たいていの場合だったら1.の道をとると思います。特に「どっかで聞いた」という程度だったら。
「有効であるらしい」と言われているというものは山ほどあって、ぜーーんぶ勉強するわけにはいきませんから。
また若い先生方なら余計に勉強しないかもしれません。
「認知心理学」という言葉は私は知らない。
「応用行動分析」と言えば非人間的と思われているし、ついでに実力のある先生で「TEACCHは良くない」という先生は結構いるしという状況ですから。(そういう先輩は若い人が質問すれば「ティーチーい!!」としかめっ面しますし、有効という話はしませんから)
さてこれが保護者から「○○法はいいから20冊読んで」と言われたらどうするだろうか・・・とりあえず1冊は読むかな。でも残りは堪忍して、と言うかな。
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追記
私は肢体不自由児・者に対するAACも、自閉症の人に対するTEACCHも、保護者や教師や教育委員会に言われる前から勉強しています。特別支援学校(知的・肢体不自由に関わらず)の中で目の前で行われていることが、何かおかしいと感じ、どうしたらいいのだろう、と考え続けていましたから。
そのためにおおいに力があったのは障害児教育フォーラムや個人メールなどのネットの力だったわけです。
しかし、先日も過去logを読んでたのですが、知的障害特別支援学校に異動して1年間はほんとに何も書けていません。目の前で展開していることがあまりにもひどすぎたし、そしてそれは外では言ってはいけないような気がしたし、どこから手をつけていいかわからなかった。ですからネットで質問することもできなかった。
知的障害養護学校での違和感
でもそんな状況で、なぜTEACCHを勉強することを続けられたんだろう。
「自閉症の療育者」はよくわかんなかったけど、でもはしばしに魅力的な言葉があったからかな?今、開いてみてもすてきな言葉がありますから。