知的障害特別支援学校にいた頃。
これは、ADHDかもしれない、というお子さんの保護者から
「TEACCHって先輩の保護者から聞いたのだけど、いったいそれは
何ですか」と尋ねられたことに、条件反射的に答えたものです。
もう少しまとめたものは、こちらになります。
自尊心を大切に、の部分が多くなっています。
TEACCHって何?
○○さん、こんにちは。
何も資料を見ないで書こうと思います。
「それちゃうで」というところがありましたらみなさん
レスで教えてね>ALL
アメリカのノースカラロイナ州(イメージとしは田舎(落ち着いた、
と言うべきか)の県)で親の会、大学、行政、学校、施設などが協力
して自閉症児や自閉症に近いコミュニケーション障害の方への療育や
暮らしに対応していこうというシステムです。
何か特別な方法があるように思われるかもしれませんが、私が見て
てそんなに「特別(非日常的)」な方法があるわけではありません。
(ここんとこすごく注釈が必要になりますが・・・考え方がわかれば
全然「特別(非日常的)」では無いのだけど、一般の方が見て
「特別(非日常的)」と感じるところはあるかも。)
大事にすること
1.自閉症の特性(自閉症の文化)
自閉症の方や近いコミュニケーション障害の方の場合、感覚やその
感覚を脳で処理するところに障害があると考えられます。わかりやすく
言うと「世の中の見え方、感じ方、理解のしかたが「そうでない人」と違う」
わけです。そこからどうやったらお互いうまくいくかを考えます。
自閉症の方が「そうでない人」から見て奇妙な行動をとることがあります。
あるいは簡単に「そうでない人」にわかることがわからずに適切な行動が
できないことがあります。
でもそれは「さぼり」や「なまけ」や「親の躾が悪い」せい、とは見ない
わけです。
「そうでない人」にわかる方法が自閉症の人にわかるとは限りません。
だから自閉症の人にわかる方法でわかってもらおう、と考えます。
その際、自閉症の方は耳で聞くことの情報処理は苦手なことが多いのに、
目で見ての情報処理は強いことが多いので、視覚的な援助をよく使います。
これがよく話題になる「カード」や「写真」です。
でも、そんなの今までいろんなところで使われてましたよね。ですから
全然「特別(非日常的)」な方法とは思えません。ただTEACCHのすごいの
はその本人にわかってもらおうという努力が半端じゃなく徹底している、
ってとこかな。
それから自閉症一般の特性から考えることも大事にしてますが、ひとり
ひとりの特性に合わせることもすごく大事にしてはります。
2.保護者と専門家との関係
TEACCHでは保護者と専門家の関係に4つの場合があり、それぞれを大事
だと考えます。またこの専門家には教師や保育士も含まれます。
1.専門家が保護者に教える
専門家はたくさんの例を見ていますから、特に混乱している時期
の保護者にいろいろ教えてあげ、楽にしてあげることは大切です。
2.保護者が専門家に教える
しかし、そのお子さんに関しては世界で1番よくわかっている
のは保護者の方です。保護者は専門家にいろいろなことを教えて
あげることができます。
3.お互いを支え合う
お互いにいいところを見つけて励まし合うことができます。
これはすごく大事なことです。
4.協力して社会を変えていく
社会を変える、というとえらく大げさになりますけど、例えば
買い物に行く、ということひとつをとっても、自閉症の方の
やり方で買い物ができる(ゆっくりだったり、さいふごと
レジの方に渡すやり方だったり)店が増えることは理解者を
増やし、自閉症の方の住み易い社会を作ることになります。
またこれは特別支援教育についてアメリカ全土でIEP(個別教育計画)
を立てることが義務づけられているのですが、上記のような考え方で
専門家と保護者との協力を大事にしていますので、IEPも非常に重視
してはります。
うーーむ、もっともっといろいろあるのですが、大事なとこって
のはここらあたりじゃないかなあ。で○○さんのお子さんはADHDか
なあ、と言うことですが、
1.を「ADHDの特性とお子さん個人の特性を理解し、合った方法を
考える」と考え、2.はそのまま「専門家と保護者との協力」と
考えると確かに大事な考え方だということになるでしょうね。
また「ダウン症の特性とそのお子さん個人の特性」を考えれば
ダウン症の方に大事になるだろうし。
細かいひとりひとりに対する対応は、実はずいぶん違ったやり方
になるとは思いますが。(つまり自閉症のお子さんに対してとる
方法をそのまま使う必要は無かったりすることもある、ということ
です。もちろん有効な場合もあるでしょうが。そこらへんは個々別々
に見ていくようになります)