※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2010年04月21日

要求のカードを間違える

 大昔の話です。

 知的障害特別支援学校にいた頃。


 F君が大好きなヘッドホンステレオを聞きたい時に、
ドレミファドーナツのカードを持って来たら聞かせて
あげる、というの定着しかけたかな、と思うとでも
やっぱり直接そっちを見ながら声を出す、という手段
の方が多いし、こらあっていないかなあ、と思って
いました。

 しかし、2学期初日、全然別のところにいた私にF君が
わざわざドレミファドーナツのカードを持って来たので、
こら、やっぱりやってみる価値あるなあ、と思い、また
初めてみました。

 で、彼の好きなおもちゃ「ハンディカラオケ」
「ワイヤレスヘッドホン」「ガラガラ」と3つを写真に撮り、
パウチをして磁石をつけ、ホワイトボードにつけて選んでもらう
ようにしました。

 彼は「カードを渡せば良きことが起こる」というのは何回か
やると理解できたみたいです。

 ところが今度はせつなそうな声を出しながらホワイトボードに
貼ってある「曜日」カードや「お天気」カードなどをやたら渡して
くるようになりました。まいった、まいった・・・

 で、困ったなあ、と思っていたのですが、今週に入ってから
写真を見て確実に選択するようになってきた感じがあります。

 ほっ。
−−−−−−−−−−−−−−−
 ○○さん、こんにちは。

 >普通の発想として、できないことでカードを使おうかと考えるものですが。

 ここらへんは特に相手の方の年齢にも大きく左右されるかも
しれませんね。

 F君の場合はこの会議室で書くのが適当かどうかはわかんない
ところもあるのですが(自閉症かどうかはわかんない、ってこと
です)

 F君は人なつっこくて、おもちゃを持って来てそれをこちらに
突き出しながら声を出したり、本を持って来てそうやったりとか
いろいろします。これは「一緒に遊んでよ」かな。

 で、自分が直接取れないところにある物が欲しい時にはそちら
を見つつ、こちらを見つつ、声を出す、ということができます。

 つまりこの場合の彼の表現は
「形態」としては身振り(?)と発声
「機能」としては要求というわけです。

ところでこの「形態」だと、いったい彼が本当は何を要求している
のかがわかりません。「カラオケ?」「ヘッドフォン?」「ガラガラ?」

そこで「形態」を「自分の欲しい物のカードを差し出す」という
形に変えることで何が欲しいのかはっきり伝えてくれたらいいな、
というようなことを考えての試みです。

 また他の場面でカードで別のものを要求できるようになれば、
それはそれで素晴らしいし。

 つまり確かに彼は要求はできていたのですが、カードを使って
表現する、というのはできていなかったわけで。そこで機能は
変えずに形態だけを変える、という方法で身につけて欲しいと
思ったわけです。

 ちなみに何か新しいことを学習する時には、「変えるところは
ひとつだけだよ」と、この夏の研修で、繰り返し教わりました。
ほんまやなあ、と思います。
−−−−−−−−−−−−−−−
追記
 「変えるところはひとつだけ」ということでもあるのですが、カード
(他の表現でも一緒ですが)での表現を覚えて貰おうと思ったらまず
他の方法で「できている」ことから始めるのがいいですね。


posted by kingstone at 13:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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