知的障害特別支援学校にいた頃。
F君が大好きなヘッドホンステレオを聞きたい時に、
ドレミファドーナツのカードを持って来たら聞かせて
あげる、というの定着しかけたかな、と思うとでも
やっぱり直接そっちを見ながら声を出す、という手段
の方が多いし、こらあっていないかなあ、と思って
いました。
しかし、2学期初日、全然別のところにいた私にF君が
わざわざドレミファドーナツのカードを持って来たので、
こら、やっぱりやってみる価値あるなあ、と思い、また
初めてみました。
で、彼の好きなおもちゃ「ハンディカラオケ」
「ワイヤレスヘッドホン」「ガラガラ」と3つを写真に撮り、
パウチをして磁石をつけ、ホワイトボードにつけて選んでもらう
ようにしました。
彼は「カードを渡せば良きことが起こる」というのは何回か
やると理解できたみたいです。
ところが今度はせつなそうな声を出しながらホワイトボードに
貼ってある「曜日」カードや「お天気」カードなどをやたら渡して
くるようになりました。まいった、まいった・・・
で、困ったなあ、と思っていたのですが、今週に入ってから
写真を見て確実に選択するようになってきた感じがあります。
ほっ。
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○○さん、こんにちは。
>普通の発想として、できないことでカードを使おうかと考えるものですが。
ここらへんは特に相手の方の年齢にも大きく左右されるかも
しれませんね。
F君の場合はこの会議室で書くのが適当かどうかはわかんない
ところもあるのですが(自閉症かどうかはわかんない、ってこと
です)
F君は人なつっこくて、おもちゃを持って来てそれをこちらに
突き出しながら声を出したり、本を持って来てそうやったりとか
いろいろします。これは「一緒に遊んでよ」かな。
で、自分が直接取れないところにある物が欲しい時にはそちら
を見つつ、こちらを見つつ、声を出す、ということができます。
つまりこの場合の彼の表現は
「形態」としては身振り(?)と発声
「機能」としては要求というわけです。
ところでこの「形態」だと、いったい彼が本当は何を要求している
のかがわかりません。「カラオケ?」「ヘッドフォン?」「ガラガラ?」
そこで「形態」を「自分の欲しい物のカードを差し出す」という
形に変えることで何が欲しいのかはっきり伝えてくれたらいいな、
というようなことを考えての試みです。
また他の場面でカードで別のものを要求できるようになれば、
それはそれで素晴らしいし。
つまり確かに彼は要求はできていたのですが、カードを使って
表現する、というのはできていなかったわけで。そこで機能は
変えずに形態だけを変える、という方法で身につけて欲しいと
思ったわけです。
ちなみに何か新しいことを学習する時には、「変えるところは
ひとつだけだよ」と、この夏の研修で、繰り返し教わりました。
ほんまやなあ、と思います。
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追記
「変えるところはひとつだけ」ということでもあるのですが、カード
(他の表現でも一緒ですが)での表現を覚えて貰おうと思ったらまず
他の方法で「できている」ことから始めるのがいいですね。