私のいた学校で教育委員会主催の特別支援学級や、携わっている
人向けの大きな講演会が開かれました。テーマは特別支援教育だっ
たか?自閉症児への教育だったか?後者だったような気がするので
すが。講師は地域の特別支援教育に大きな影響を持った教授。
A教授とします。
私も期待していました。肢体不自由特別支援学校時代に講演に来
て下さったことがあります。実際に肢体不自由児と遊んだおもちゃ
をいっぱい持ち込み「これは子どもに人気があった。これはいまい
ちだった」というふうに実践に基づいてわかりやすく有用な講演を
して頂きました。信頼できる方だ、と思いました。
どのくらい信頼していたかというと、肢体不自由特別支援学校時
代「もし1年の内地留学ができたら、肢体不自由教育における機器
利用、というテーマで、先生のもとで学ばせて頂けないだろうか?
テーマについては自分で情報を集めるから」と人を介してお願いし
て「私は専門ではないが、それでいいなら」とOKを頂いたほどで
した。
当日、私はチラシを用意していました。しばらく後に近くでTE
ACCHの2日間セミナーがあり、これはみなさんにお知らせしな
ければ、と思い、何人かの人でも手にとって下さればと思ったので
す。で当日の受付の長机のすみっこにチラシを置かせてもらってま
した。
教育委員会主催の会で私的な文書を配る、というのも相当常識外
れですが(^O^)
そうしたら一人の指導主事さんが「お知らせしたいことはちゃん
とこうしておこう」とかおっしゃって講義のレジメ冊子の中にせっ
せと挟んで下さいました。私は、いいのかなあ、と思いながらも嬉
しかったですね。
講演が始まりました。
あれ?と思いました。
当時特別支援教育(?じゃなくたぶん自閉症だったと思うのだけ
ど)に対していろいろある療法をずらずら並べてそれを簡単に説明
するだけ。詳しくは自分で勉強してね、という話。う〜ん、現場の
教師に講演で話す内容かなあ・・・その療法の中にTEACCHは
ありませんでした。
でA教授は最後にチラシを手にとってかかげ
「こんなところ(TEACCHのセミナー)に行ってはいけません。
TEACCHはアメリカに行かないとわかりません」
と大きな声で言われました。
私は挙手して立ち上がり
「セミナーの講師の方はアメリカに行かれた方が複数います」
と答えました。すると
「アメリカに行ったくらいじゃわかりません。6年間は行かないと」
と言われました。そして
「こんなところに行かず、学校の先輩から学びなさい」
子どもの喧嘩状態ですね(^_^;)
・・・私はよっぽど「校長先生、本当のことを言ってもいいです
か?」と許可を取って学校が「威嚇と暴力が先輩の指導の主流である」
と言おうかと思いましたが、それは思いとどまりました。(そしてま
た当時の特別支援学級でも自閉症児に対しては誤解あるいは無理解に
よって不適切な指導がされていたことは容易に想像できました)やっ
ぱり「暗黙のルール」に反するような気がしたのですね。
私は最後に聴衆の方を向いて(私は一番前に座っていた)
「私は一変人です。私がTEACCHを学んでも説得力がありません。
みなさん普通の方に学んで欲しいのです」と言って頭を下げて終わ
りました。
まあ、でも地域に影響力の強いA教授と一変人ではどちらに説得力が
あるか歴然です。その回のTEACCHセミナーには私の地域からは
一人も参加者が無かったと思います。
このA教授のもとには私の学校からも多くの内地留学生が学びに行っ
ていました。でもその人たちは「前向き」だから学校の現状を正確に
教授に報告するようなことは無かったのでしょう。だから実態をご存知
無い。
また私の学校以外でも多くの自閉症児が実際にどんな指導を受けて
いるのかもご存知無かったのだと思います。(知ってたとしたら・・
・許せないですね)
またご自分が実際に関わる、といったことも無かったんじゃないか
な?
この時、私を可愛がって下さっていた肢体不自由特別支援学校の校
長先生と当時の知的障害特別支援学校の校長先生が並んで座ってはり
ました。こんな会話をされたそうです。
肢「kingstone君は元気ですか?」
知「見ての通りです」
このニュアンス・・・伝わるでしょうか(^O^)
えっと、教訓。
特別支援教育のある分野で素晴らしい実践をされていても自閉症や
自閉症児の教育に詳しいとは限らない。助言を頂く時は気をつけまし
ょう。