※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2010年03月16日

就学前施設で

 大昔の話です。

 知的障害養護学校2年目の終わり頃かな。
 もうTEACCHについて知って、少しあれこれやり始めた頃です。

 就学前施設に「本校の教育」という題で話に行ってくれ、と依頼されました。

 断りました。だって「本校の教育の主流は威嚇と暴力です」って言ってはい
けないという「暗黙のルール」は感じていましたし。かといって「本校の教育
はこんなにすばらしい」なんて嘘はつけない。

 でも頼む、と言われ「「本校の教育」でなく「TEACCHについて」だっ
たらしゃべれる」と言うとそれでいい、と言われました。(しかしよく許可が
出たもんだ)

 で、就学前施設の保護者にTEACCHについて話しました。
 自閉症の特性、個別の対応、目で見てわかるように、などということだった
と思います。

 話し終わるとすぐに園長先生が発言を求められ
「この園には自閉症の子はいません。対人関係に問題がある子がいるだけです」
とおっしゃったのは時代ですかね。

 自閉症の子はいないはずですが、後で何人かの保護者が情報を求めていら
っしゃいました。

 ずいぶん後年、その園に行ったら「TEACCHroom」みたいなのができ
ていました。診断は当然あって、という話になっていたのでしょうね。



追記

  この園長先生、かなり「憤然」とした様子で私に「抗議」してました。
  なんでだろう・・・
  うちの子たちは「自閉症(今で言えば自閉症スペクトラム)」なんかじゃない!!
  という子どもへの「優しい」心??
  それとも「親御さんをがっくりさせてはいけない」という親御さんへの配慮??
  当時も今も、私はとっても変に感じます。

自閉症の人と「TEACCH」とか「PECS」とか「療育」とか

から、診断名を告知した後の髭のジャックの言葉。

 ジャックは親に対して重度の自閉症だとはっきり言った後、

「これは一生のものだ(life long)、おそらく生涯に渡って自立は不可能だろう」

とまで説明したので私もちょっと驚きました。当然のことながら、母親は泣き出してしまいました。ジャックは

「あなたが思っていたより悪い結果か?」

と聞き、母はうなずきます。

「これは確かに良い知らせではない。でも我々はずっとAのことも親御さんのことも必要なだけサポートする用意がある。まず自分のことを大事にして欲しい。 あなたが必要と思うだけ話はできる。後で疑問に思ったり、聞きたいことがあったらいつでも電話してくれ。私がいなくても子どものことを知っているセラピス トがあと2人いる。3人のうち誰でも相談にのる」

と言った後で、今度は別のセラピストから

「どこそこの幼稚園に自閉症のクラスがあるから、そこだとTEACCHセンターが援助できる。また自閉症の親の会に入ると親同士で助け合ってあなたにも きっと役に立つだろう」

などと説明されます。ジャックも親の会に入ることを薦め、

「我々は自閉症の専門家だから、自閉症の子どもをどう援助するかについてあなたに助言することはできる。でも自閉症の子どもを持つことはどういうことかに ついては、何も言えないのだ。親の会には素晴らしい人がたくさんいる。彼らも今のあなたのようにつらい思いをしたことがあった。きっとあなたの力になって くれるだろう」

と締めくくりました。ジャックはいつも診断の最後に親に向かって

「自分のことを一番大事にするのが大切だ」と説明します。



  いったい園長さんは、何をしたかったのだろう?

posted by kingstone at 19:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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