知的障害養護中学部の時代。
これは暴力とか威嚇とかいうのとは少し違う話かもしれません。
若者Dさんは若い優しい先生でした。
体育館での授業。あれは何という授業だったのだろう。
「じゃんけん列車でシュッシュッシュッ」とか歌いながらじゃんけ
んをし、負けたら相手の後ろに回って肩に手を置きつながっていく、
という授業。お遊戯?ゲーム?今考えると中学部でやる授業では無い
と思えます。
公平に見て、生徒の半分は確実に楽しんでいたと思います。
障害だっていろいろだし。
大人だって、そういうことをマジにやるとそこそこ楽しかったりす
る。コンパなんかでゲームをすることはありますよね。しかし、中学
生に授業ですることかなあ・・・
まあ、そういう授業をしていました。
私はその人の渦の外でぼ〜っと見てました。担任している生徒もい
たはずですが、別についてはいませんでした。
私から少し離れたところで自閉症の生徒(と言っても診断は無かっ
たと思います。別の先生が「5歳まで普通(?)だったので自閉症に
はならないです」と言ってましたが、私から見て十分自閉症の生徒で
した)がしゃがみこんで常同行動をしていました。彼はゲームには関
心が無いようでした。
担任だった若者Dさんは、生徒に優しく「一緒にやろうよ」と声か
けしながら軽く生徒の脇のあたりを引っ張ることを繰り返していまし
た。何度も、何度も。
私は「そんなに誘わんでも・・・」とは思いながらも何も言わずに
横目でとらえていました。
そこに若者Dさんが担当していた身体の弱い小さな生徒が近づいて
来ました。その瞬間、自閉症の生徒が思いきり小さな生徒を蹴飛ばし
ました。次の瞬間、Dさんが自閉症の生徒を床にたたきつけるように
押さえ込みました。
(注・その生徒は普段、他害行動がある生徒ではありません。極めて
おとなしい生徒でした)
Dさんは、優しいですから、それ以上のことはしません。怒声を上
げることもしません。ただ何が起こったかわからず、どうしていいか
わからない感じ。押さえ込んだまま、じっとし、肩が震えているよう
でした。
私は近づいてDさんの肩をとんとんと叩き「もうやめとき」と静か
に言いました。
Dさんは、手を離しました。
本当は、何でそういうことが起こったのか説明し、Dさんが自閉症
の生徒に謝るように伝えるべきだったかもしれません。でもそこまで
はできませんでした。
何が言いたいか、というと、何か活動があった時に、1回は誘うの
もいいでしょう。でも、本人がやりたくもないのだったらそれは認め
てあげないと。(これは別に自閉症の方に限らないでしょう)そして
その活動も、本人にあっているものなのかどうか、年齢にあっている
ものなのかどうかも考えないといけないよなあ、ということです。