※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2010年03月03日

新年度を迎えて

 大昔の話です。

 知的障害養護学校4年目に入ります。

 なんと、私は3年連続の持ち上がりになりました。
 担任の構成はこうなりました。

 知的障害養護から異動して来られたベテランさん(主担)
 私
 若めのベテランさん(本校では私よりよっぽど経験豊か)
 肢体不自由養護から異動して来られた達人さん

 私は、主担を降ろされた、という立場なのですかね?
 よくはわかりません。

 少し紹介しておくと、異動して来られたベテランさんは、よく勉強されて
いる方で、すごく優しく、後年私はこの方を「本校の良心」と呼びました。
TEACCHに関しては

「ああ、前の学校で物理的構造化(場所をわかりやすくすること)をやって
 みたけど効果無かったからすぐ止めた」

 と、おっしゃってました(本来はやってみてうまくいかなかったらやり方を
変えてやってみる(再構造化)ものなんですけど・・・(^O^))
 
 達人さんは、とある方法の達人です。私とは肢体不自由養護時代からの仲良し
です。(そしてその後も1番仲良しであり続けたと思います)

 その方法は、かつては「自閉症児のために」と喧伝されることもありましたが、
今はホームページなどを見ても特にその点を主張するということは無いようです。
(トップページくらいしか見てませんが)

 また私は達人さんから「これは自閉症にいい」とかいう話を聞いたことは1度も
なく、また学校という場で達人さんがその方法を使ったのを見たことはありません。
うまく伝わるかどうかはわかりませんが、ある意味で達人さんは、武道の達人が
もう刀を抜く必要も無くなるというようなそんな境地に達しておられたような気が
します。

(私的な学習会で健常(?)なお子さんにされたのは1度見たことがあります。ま
 ことに不可思議な体験で、その場で良きことが起こったのはわかりました。しかし、
 私にはできないな、と思ったしあだやおろそかにはやってはいけないものだな、と
 いうことは良くわかりました。達人さんはそれこそ専門家としてそのあたりを弁え
 ておられたのだと思います。ただ後年、自閉症児に対する託児ボランティア活動を
 やっていた時に、普段はボランティアは学生さんばかりなのにどこでどうお知りに
 なったのか主婦ぽい方が参加したことがあります。その活動の途中、なぜかその方
 がその方法を自閉症のお子さんに始めてしまいました。私は、やってる最中に行き
 合わせたのですが、止めることができませんでした。その場を仕切っていたのは私
 だし、そんなことは頼まれてもいないのに決してやってはいけないことなのに。い
 や素人は頼まれてもやってはいけない。後で別の筋から、その後、そのお子さんが
 大変なことになった、という話をうかがいました。そのお子さんをすごく傷つけて
 しまったのだと思います。もう謝るしかありませんでした。繰り返しますが、その
 方法はちょっと知ったからと言って、あだやおろそかに出来る方法ではありません。
 素人が、他人に気軽にできるものではありません。また自閉症の方に対しては、あ
 る局面で万一(万一です)良きことが起こっても、周囲の環境を整えない限り、
 またもとのもくあみになります。その方は2度とボランティア活動に参加されるこ
 とはありませんでした。大変無責任な話だと思います)

 なんか話が飛びましたが、まあ私と達人さんは仲良しで後日、

「何かTEACCHをやってる人とあんたとこえらい仲悪いみたいやねえ」
「そやねえ」

みたいな話をしていました。

 やっと本筋に戻ります。

 知的障害養護学校3年目の2学期からクラス全体でTEACCH的に取り組み、
大きな成果があがっていました。それは今まで書いた通りです。そこで新年度を
迎えるにあたって、昨年度の引き継ぎをする必要を感じました。実はそんな時間
は公的には組まれていません(!?)

 そこで、私的に以下のようなレジュメを作り、実際に私がお子さん達とやって
いるビデオを用意し、使っているグッズを用意し、参考にしたTEACCHや
応用行動分析の本を並べて引き継ぎをしました。(本は厚いのや薄いのやいっぱい)

 公的にまとまった時間は取れないので、お一人ずつ各1時間半ほどの時間を
無理を言って取って頂きました。私は4時間半ほどの時間をかけたわけです。
(もちろん準備にも相当時間はかけています)

 当時用意したレジュメ
−−−−−−−−−−−−−−−
日付
kingstone

伝えたいこと

 なぜこのような取り組みを始めたのか
  ・今まで見てきた指導
      ・指導法一般
      ・給食指導
  ・担任間の協力関係
  ・特殊教育学会にて
  ・TEACCHの一泊二日の研修後
  ・TEACCHの四泊五日の研修後

ねらいたいこと
○共通理解して取り組む
○情報の共有
○個々の子どもを理解し、それぞれに合った授業を作る
○保護者との連携(IEPに一歩でも近づく)

  ・給食のビデオ

どんな授業をしているか
   この授業に至った経過
     ひとりでする課題のねらい
       ・自尊心そして自立心
     1対1の課題のねらい
       ・新しいことを学ぶ
       ・実用になったり余暇に役に立つことを
   ビデオ
    ・課題学習その1(4人)
    ・AさんやB君の以前のもの
    ・課題学習(C君・D君)

コミュニケーションについて
     受容性コミュニケーション
       ビデオ 朝の会など
            表現コミュニケーション
       ビデオ まとめたやつ
−−−−−−−−−−−−−−−
 私って、ものすごくええかげんなんですけど、よくこれだけ用意して
たんや、と自分でびっくりしますね。

 みなさんの反応。

 知的障害養護から来られたベテランさんと、若めのベテランさんは、
「何でこんな話を聞かないといけないのかわからない」という感じ。

 達人さんはプッと吹き出して「あんたの授業、今ひとつ、ふたつやなあ」
と笑われました。正直なおかた(^▽^;)

 みなさん、私の話が終わっても、お子さんのことについても、他のこと
についても何も質問されることは無かったですね。ああ終わったか、という
感じかな。

 それでも障害児教育(特別支援教育)を知らない新人さんから、よくご存知
のベテランさんにスタッフが変わるのですから、まあきっと良くなると心の
どこかでは思っていたと思います。




posted by kingstone at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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