※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2024年08月31日

『非定型精神病とカタトニア』中山和彦著




 私が支援で関わった人の中で ASD でかつたぶん「配慮の無い教育」によって「動けなくなった人」がお二人います。

 それに対する理解が深まれば、と思って読んでみました。

 この本の最終章にこう書かれています。

 本書は非定型精神病とカタトニア、そして拒絶と服従という副題を掲げた。心と体のせめぎあい。複雑な病気が発症する。最終章の内容とどのように結び付くのかちんぷんかんぷんの貴兄も多いだろう。奇病とされたカタトニア、いわゆる発狂、とりつかれた魔女のごとく扱われていた非定型精神病、両者とも心と体の戦争である。

 はい。
 私にとって見事にちんぷんかんぷんでした。

 著者は、最近の操作的定義(DSMのような)に少し批判的であるようで、もっと「病因論」を深めるべきではないか、と考えておられる。

 しかし、ちゃんと(当たり前か)DSM についても言及されておられ、DSM-5 によるとカタトニアはこう分類されるそうです。

295.x5  カタトニアを伴う統合失調症、統合失調症様障害
      あるいは統合失調感情障害
296.×5  カタトニアを伴う Major mood disorder
293.89  カタトニアを伴う一般身体疾患
298.99  特定不能のカタトニア
29x.x5   物質誘発性精神病性障害
298.85   短期精神病性障害

 ただ、それらのカタトニアとは別に

 カタトニアとは別にカタトニア・スペクトラム(症候群)がさまざまな疾患の症候として現れる。自閉症や廃用性症候群でみられる。

とあるので、私が関わってきた例はカタトニアではなく、別物のカタトニア・スペクトラムということになるのか。

 しかし、治癒に関しては

治療は、多くの症例が自然治癒によって回復する。待ちの医療である。

自然治癒に導くには十分な時間の休養が必要である。

とあります。この部分に関しては周囲の者、家族、支援者が協力できる部分が多くありそうです。

 また、私の知っている方たちは養護学校時代に「理解できる視覚的支援」「視覚的支援物を使っての意思表出」ができていて、その頃は問題(少なくとも「動けない」という問題)が無かったのに、それらをしてもらえない学年になってから動けなくなり、しかし卒業後、拘束的でない自分がある程度自由に動いて良い成人事業所で、また場合によっては視覚的支援もありで、時間をかけて動けるようになっていった、というあたりも関連しているような気がします。

 しかし、後半はゴッホや、中原中也、高橋新吉、キューブラ・ロス、モーツァルト、ドストエフスキーとか出てきて、知らなかったエピソードもいっぱいあり、なかなかおもしろかったです。

 また森田療法についても出てきます。
(私がカウンセリングの体験と学びを続けていた頃、仲間が「体験してみよう」と実際に入院してやってみて、興味深い体験をしたことを教えてくれました)

 なにか、古い(貶めているのではなく、懐かしい、という感じ)精神医学の本を読んでいるような感じがしました。

 また、著者が「全日空松山沖墜落事故」でお父上を亡くされたらしいことも書かれていました。

 ご冥福をお祈りしたいと思います。



posted by kingstone at 02:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・記事・番組など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年08月28日

カードの「おしまいボックス」に良さそうな「冷蔵庫ドアポケット」



 ホワイトボードなどで作ったスケジュールの「おしまいボックス」には悩んで来ました。

 市販か、市販のものを少し加工するだけですぐ使えるとかいうのが良いのだけれど。

 よく使う手は、封筒の底の部分を切り取って使う。

IMG_4820.jpeg

 しかし、これでは奥行きというかマチというか、狭くて窮屈。

 ちょっと良さげな物を見つけました。

 本来は冷蔵庫の庫内の小物を整理するドアポケット。
 中に仕切りが無いもの。
 100均のセリアで売ってました。
 発売元は「スルガ株式会社」 

IMG_4818.jpeg

ひっかける部分は取り外せるので外してしまい、後ろを平らにして、磁石をつけるなり、ホワイトボードにテープで止めちゃうなり、してこういうふうに使えば便利。

IMG_4819.jpeg

大きすぎる、という場合は左右の突き出たあたりは切り取ってしまえばよさそうです。


posted by kingstone at 16:21| Comment(0) | TrackBack(0) | おめめどう・視覚支援 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年08月26日

「感情を「見える」ようにする支援」水谷アス



「自閉日記」シリーズを書いておられる水谷アスさんが、つい先日、感情を見える化する時に困り、解決していった過程を連続ツイート(ポスト)して下さいました。

それを利用しやすいように PDF 化して下さいました。

カード見本も別 PDF でダウンロードできるようにされています。


水谷アスさんの描かれているものは、本当に困り、ご自分で解決されてきているので、非常にわかりやすいです。

「自閉日記」シリーズはこちらにまとまっています。kindle で 0 円で購入できます( unlimited ではありません。なので、unlimited の枠を圧迫しません)。

kindle はアマゾンのサービスで、電子書籍を読めるようにするものです。

パソコン、iOS、Android いずれでもアプリ(ソフト)が無料で手に入るので、それをダウンロードしてお使い下さい。

なお、kindle で読めるのは、有料のもの、水谷さんのように 0 円のもの、またプライム会員になっておられる方は kindle unimited のものが、冊数に上限はありますが、いろいろ読めます。

kindle unlimited の場合は、以前ダウンロードしていたものを、「終了」すれば、また新たなものを同じ冊数読むことができます。

その他、



posted by kingstone at 18:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年08月22日

メールが消える!!(解決)



 私は Mac に最初からついているメールソフトを使っています。

 最近、「確かに受け取ったはずのメールがどこにも無い!」という現象に悩まされていました。

 困って、サポートに電話したところ、これは一発で解決しました。

 例えば、そのメールが消える状態は、「(無意識に)未開封メッセージボタン」というのをクリックしてしまっていたことが原因でした。

 メールのウィンドウの上のほうにある◯の中に下向き▽的に三本線が並んだボタン、これが青になっていると「未開封メッセージボタンが有効」ということになります。

 下の画像、「全受診」を見ているのに、メールが1つも入っていません。
(図はクリックすると大きくなります)

スクリーンショット 2024-08-22 17.42.42.png

 しかし、もう一度クリックして、青色が黒(私は表示がダークモードだから黒かな)に変わると、今までのメールがずらずら見えます。

 ああすっきりした。



posted by kingstone at 17:52| Comment(0) | TrackBack(0) | ネット・パソコン・携帯など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年08月21日

『教室の中の視覚支援』初版第2刷 青木高光著




 私はいつものごとく、垂水の流泉書房に注文して取り寄せて頂きました。

 著者の青木高光先生はドロップレット・プロジェクトを推進してこられた方として有名。

 特別支援教育に関わる人なら、ドロップレット・プロジェクトの下記のようなイラストを見たことが無い、なんて人はいないのじゃないかな。

203087園児服を着る (1).gif

 イラストレーターはまた別の方ですが。先日の ATAC にドロップレット・・プロジェクトのみなさんも来ておられました。

 この本はまず、TEACCH の構造化の話から始まり、またそれがどう日本で多くは誤解されがちだったけど、実は佐々木正美先生はこう言ってたんだよ、みたいな解説から始まります。

 第1章第4節の見出しは

「視覚支援をやる、やらない、は支援者の自由ではない」

となっていますが、まさにそのとおりだと思います。

そしてその後、実践例に入っていきますが、その中にこんな図も

IMG_4757.jpeg

また、こんなのも。

IMG_4758.jpeg

これ、"「氷山モデル」で気持ちを表に出す"という例で出ているのですが、ご本人の気持ちを、「どうしてメモ」に書きながら確認し、対応法を相談していく、という私では思いつかなかった使い方をされてます。

 へええ、です。

 もちろん、他のグッズ、また AAC(拡大代替コミュニケーション)についても触れられています。

 で、それらがいちいち「へえ」「ほお」と感心し、面白い。

 で、今、青木先生は何をされているのかと言うと、ABA(応用行動分析)を教育の背後にしっかりと持つ「学校法人西軽井沢学園 さやか星小学校」の校長先生をしておられます。(リンクを貼ったページをスクロールして人物画像の3番目に出てこられます)


 ほんまね・・・良き実践者というのは、「これだけ」に凝り固まるのではなく、柔軟なものだと思います。


posted by kingstone at 23:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする