※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2024年05月29日

隠岐の島前(海士町・西ノ島町・知府村)の人口推移



 先日の NHK プロジェクトX では過疎化・人口減少・財政破綻に対して、山口道雄町長(当時)以下海士町役場のみなさんの努力が放送されました。

 で、番組の最初のほうでアナウンサーから

「人口減少を乗り越え笑顔と活気を取り戻した島の物語です」

と紹介がありました。

 確かに、活気を取り戻したのは確かかもしれないのだけれど、「人口減少を乗り越え」ってのは・・・減少したけど活気を取り戻したのだから正しいのか・・・

 また、もちろん山口町長や海士町役場の吉元操さん達の献身はすごかったのだけど


で書いたように、じりじり人口は減っている(ただし、みなさんの努力で移住転入者は多い)。そして


を読む限り、主導したのは海士町だとしても、島前の西ノ島町や知府村の人たちの努力や、人口の減少率低下もあるのじゃないか、と思い、3町村の人口を国勢調査から調べてみました。

その結果が下の表と図です。
※画像はクリックすると大きくなります。

島前人口の表.png

隠岐島前の人口推移.png

 なんか、西ノ島町が1985年にぐんと増えてます。


にも

「西ノ島町の総人口は1985年に一時的に増加に転じたものの継続して減少傾向にあり、2015年時点の総人口は3,027人、高齢化率42%となっている。」

とは書かれています。しかし原因はどこにも書いてない・・・

 やはり島前全体でじりじり減ってますね。

 まあそれでも海士町・西ノ島町は山口町長就任後、減り方がゆるやかになってるのは、見てとれますし、活気はとても出てきてるだろうな。




posted by kingstone at 22:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 統計 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

国勢調査がすごく探しにくい問題



 先日、国勢調査で市町村のデータを調べてみようと思ったら、1985年(昭和60年)と1990年(平成2年)のものが探し出せませんでした。

 今日、「政府統計の総合窓口」e-Stat の頭からリンクをたどっていくと、原因らしきものがわかりました。

 このページ、私はここしばらくで初めて見たような気がします。


で、こんな表形式になっています。
※図はクリックすると大きくなります。

国勢調査のデータ.png

拡大して頂くとわかりやすいと思うのですが、「データベース」という列と「ファイル」という列があります。

そして「ファイル」は1985年(昭和60年)と1990年(平成2年)のものがありません。

私は検索で一生懸命ファイルを探していたけれど、それは無く、データベースだけはある、ということらしいです。

データベースからダウンロードするのは、いろいろ手間がかかり、時間もかかってました。

で、例えば島根県隠岐郡西ノ島町のデータを見てみると、1950年から一貫して人口は減っているのに、1985年、1990年はぐんと増えているのですが、何かあったのだろうか?信じていいものかどうか不安になってきます。

しかし、2020年はデータベースもファイルもほぼ一緒だし(島根県隠岐郡知府村は何人か差がある)信頼してもいいのかな・・・

ほんと何かの傾向を調べるためにグラフ化してみよう、とか思っても、元データを集めるのがたいへんですね。

posted by kingstone at 11:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 統計 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年05月28日

「普及と実装を科学する ーその方法と実際ー」島津太一を読む



「普及と実装を科学する ーその方法と実際ー」島津太一
『日本健康教育学会誌』第31巻第4号2023年

 私の書くことは、ほんとかいつまんでいたり、適当な読みなので、興味を持たれた方は元論文をお読み下さい。

 先日のポジティブ行動支援ネットワークのオンライン研修で「実装研究(implementation research)」という言葉を知りました。

 で Google Scholar で検索して引っかかったのが、上の論文。

 確かに「社会的実装」なんて言葉も聞くし、社会にどう広めて定着させていくか、が大事だし、どちらかというと「何が障害となっているか」を研究する、みたいな方向が強いみたいだけど、その障害をどう突破するかと考えると大事ですね。

 もともと医療分野で、 EBI(evidence based inervention,根拠に基づいた介入)の普及と実装を科学的に進めるためにできたものだって。

 近年では、患者や市民の役割を重視した参加型アクションリサーチの方法も取り入れられてきている.


 研究者が実践者ともなる、ということかな。

 2002年に「Designing for Dissemination(普及のためのデザイン)」という会議が開かれ、この会議で

 研究者はエビデンスを創出する役割を担い,実践家は具体的な方法を教えられれば実施するという考えであった.両者は研究成果の実装に関する責任を負う立場になく、その責任を負うのは米国国立衛生研究所(NIH) や他の研究資金配分機関であるという結論となった.

ってことは、これを日本の教育分野・福祉分野で言い換えれば

研究者はエビデンスを創出する役割を担い、教師やスタッフは具体的な方法を教えられれば実施する。実装の責任を負うのは文部科学省・自治体教育委員会・厚生労働省・自治体障害福祉課(局)である。

ってことになるかな。

まあそうは言っても、アメリカでもうまくいっているわけではなく、

 最終的にはエビデンスとプラクティスのギャップが残り、これが課題となっている

ってことだから、ある意味、どこでも同じやなあ、と。

 で、そのギャップを埋めるのが「実装研究」であると。

1.EBI についてはエビデンスを3つに分類し

タイプ1:疾病とその負荷→例:喫煙と肺がん、生活習慣と糖尿病
タイプ2:介入の有効性→例:禁煙治療の有効性、米国糖尿病予防プログラムの有効性等
タイプ3:特定の現場の文脈に合わせた必要な方法について→例:禁煙外来受診の促進・阻害要因、米国糖尿病予防をYMCAが主導する等

 教育で言えば、スクールワイドポジティブ行動支援(SWPBS)はタイプ3をよく研究した結果出てきた感じではあるな。

2.実装戦略(あくまでも1例として)

監査とフィードバック(しかし・・・行政の監査って・・・お金の出入りの監査は有効だと思うけれど、教育や福祉の内容についてはほとんどの場合無力というか・・・)
教育ワークショップ(研修だな)
コンピューターによるリマインド(物を使う)

3.実装アウトカム

1.受容性(主観的満足度)
2.適切性(客観的な評価)
3.実施可能性
4.採用(組織レベル)
5.忠実度(どのくらいEBI実施の手順に従っているか)
6.浸透度(どれだけ多くの対象にアプローチできているか)

 この1.2.3.あたりは応用行動分析で言う、社会的妥当性に近いな、と感じるのだけど、どうだろう?

4.理論・モデル・フレームワーク

 そのうちの「決定要因フレームワーク」が「なぜ現場で実装されないか」の理由を整理するためのフレームワーク。これを視覚的支援についてあてはめてみると・・・

実装研究のための統合フレームワークCFIR(Consolidated Framework for Implementation Research)

1.「介入の特性」介入そのものを現場の方がどう認識しているか。現場の方がどう認識しているか。

あまり必要性、有効性を認識していない。(きちんとやっているところは認識しているが、そもそもそういう場は少ない。また「できるだけ外したほうが良い」という考えも強い

2.「外的セッティング」制度など、自分たちの組織の外にある要因

厚生労働省の強度行動障害支援者研修などではかなり詳しく言及されるようになってきた。教育会はまだまだと見える。(なお、2002年頃からいっせいに特別支援学校の時間割が前の黒板に「大きな絵」や「おおきな字」で示されるようになったのは、どういう力学が働いたのだろう。ただし、それによって視覚的支援が無効化されてしまった例を多数見てきている)

(「視覚支援」と書いてはいるが「視覚の檻」でしかない)

なお、令和6年2月、東京都教育委員会が

を出しており、視覚的支援や機能分析のこと、環境整備のこと、かなり詳しく書いている。これをどう現場が取り入れるかだな。

3.「内的セッティング」リーダーシップやコミュニケーションなど組織内部の要因

例えば、厚生労働省の強度行動障害支援者研修を受けても、現場でベテラン(リーダー)からの適切な OJT が受けられなければ、「ああ研修終わった。これで加算がつく」で終わってしまいがちである。

4.「個人特性」個人の自己効力感や知識

学校や福祉事業所で、きちんと実践してみた人は「わっ、ちゃんと通じあえる!」と自己効力感・喜びが得られるのだが、それを周囲に伝えることによってかえって孤立する、という現状が多そう。

5.「プロセス」計画を適切に運営するための活動の観点から実装に影響する要因を整理する

 で、もちろん「阻害要因」を整理するのは、「じゃあどうすればいいか」を考えるためで、私もそこ(と言っても、私は組織には属してないから、保護者に対して、だけど)を考えていきたい。

 で、論文内で下のページが紹介されており、そこにある動画に、論文内に出てきた図があったり、解説があったりする。




posted by kingstone at 17:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年05月25日

映画『バティモン5』(パリ郊外(バンリュー)の話)




 シネ・リーブル神戸で見て来ました。

 私は映画を観る時に『週刊文春』の映画評欄を参考にすることが多いのですが、この映画はほとんど星3つ。ってことは「まあ見たいなら見たらいいんじゃね」と、あまりお勧めではない評価が多かったです。

 しかし、移民や難民問題は、現在は欧州ほどでは無いにしても、既に日本でも直面している問題だし、興味があったので観に行きました。

 パリ郊外(バンリュー)というのは、移民が主として住んでいるスラム地区のことです。シャンゼリゼだ、エッフェル塔だとかいうパリとは大違い。

 もちろん、シャンゼリゼだ、エッフェル塔だというパリも本物ですが、パリ郊外も本物・・・

 ラジ・リ監督は、主人公の女性と同じくマリ共和国出身の両親の元、自身もマリ共和国で生まれ、3歳の時に移民して来た人。こういう場合、1世ということになるのかな。

 なお、マリ共和国は、日本外務省からは退避勧告が出、首都バコマには渡航中止勧告が出ています。ってことは、移民というよりも難民に近いのかもしれない。

 そして、路上販売していた人たちが蹴散らされたり、集合住宅から数時間で全員退去させられたり、もうウワーーーッというエピソードの連続なのですが、監督の体験に基づいているとか。

 めちゃひどい話なのですが、しかし登場人物はそれぞれ一生懸命、良かれと思って、あるいはしかたなしに、行動を選んでいて、しかしひどい摩擦が起きる・・・

 警察官もやりたくないのがありありしながら規制させられていたり。

 これもまた本当のパリ。

 これ、例えば教育システムを学びに海外に行く時、もちろん相手先は、「できるだけ参考になるように」と良かれと思って、一番うまくいっている部分を見せてくれがちです。

 何度もアメリカに見学に行っている知人が「アメリカでは〜〜なシステムがあって・・・」とか言うのだけれど、私が比較教育学で学んだ例としてはかなりまずくなってるし、「そんなシステム、州によっても、学校によっても違いがありすぎやで」みたいなことがよくあります。こちらの本にもそのあたりのことが出てきます。


 なお、パンフレットに『移民社会フランスで生きる子どもたち』を書かれた増田ユリヤさんがエッセイを寄せておられ、その中でこんなことを書いておられます。

 この街の再生は、2005年の暴動以降、教育現場を中心に行われていた。そこには、幼稚園から中学校まで、教員をはじめとした関係者はもとより、警察や消防、地域住民(移民)の代表や保護者、パリ市を拠点に活動するNPO団体なども参加。成績優秀者には大学進学への道やエリート教育機関であるグランゼコールに進む道筋がつけられ、そうでない子には、最低限の資格を取得して、社会に出て働くことができるカリキュラムが組まれた。貧しさから外出の機会すらない子どもたちには、フランスの名所旧跡を訪ね歩くイベントを提供したり、日頃の悩みを相談したりするカウンセリングの時間もあった。
 警察官は一市民として行事に参加し、住民との交流を重ねていた。フランスでは、校長以下、最低3人の行政職員が学校の敷地内か隣接した場所に住む決まりになっているが、中学の校長は「ただただ、子どもたちと向き合っていたという記憶しか残っていない」というほど、無我夢中で地域の再生に取り組んでいた。

 それでも、問題は収まっていないわけですが・・・

 日本も「労働力を移民に頼ろう」としたり、難民が入ってきたりするわけですから、同化策・融和策(別に悪いもんじゃないと思ます。少なくとも「困っているまま放置」するよりは)にお金を最初からかける必要があるんだろうな。

 なお、ラ・ジリ監督『レ・ミゼラブル』という映画も2019年に撮られてますね。有名なミュージカルのほうじゃなく。



posted by kingstone at 18:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・記事・番組など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年05月24日

R でデータの数値に「,」が入っている時に取り除く(gsub 関数 と as.numeric)



 先日、購入した


ですが、ダウンロードできるデータをいじってみようと思い、income.csv というのをダウンロードしてみました。

しかし、私のやり方が悪いのか、

> x <- read.csv("income.csv") # x という変数に income.csv を入れる
> str(x)  #データの構造を見る
'data.frame': 100 obs. of 7 variables:
$ id : chr "AU" "AY" "AB" "AM" ...
$ sex : chr "male" "female" "male" "male" ...
$ age : int 70 70 69 67 66 66 65 65 65 64 ...
$ height : num 160 156 173 166 171 ...
$ weight : num 58.3 44 75.7 69.3 76.5 67.3 41.5 53.5 46.8 52.7 ...
$ income : chr "201" "487" "424" "1,735" ...
$ generation: chr "elder" "elder" "elder" "elder" ...

となってしまい、肝心の income(収入)が chr(キャラクタ。文字列)になってしまい計算とかができません。

これは「,」が入っているせいだと考え、いろいろ調べたけれどよくわからず、ChatGPT 3.5 に尋ねてみたら

gsub 関数を教えてくれました。

あと、文字列を数値に変えるのは

as.numeric


> x$income <- as.numeric(gsub(",","",x$income)) #income の列データ内の「,」を取り除き、数値にしろ

とすると

> str(x) 'data.frame': 100 obs. of 7 variables:
$ id : chr "AU" "AY" "AB" "AM" ...
$ sex : chr "male" "female" "male" "male" ...
$ age : int 70 70 69 67 66 66 65 65 65 64 ...
$ height : num 160 156 173 166 171 ...
$ weight : num 58.3 44 75.7 69.3 76.5 67.3 41.5 53.5 46.8 52.7 ...
$ income : num 201 487 424 1735 929 ...
$ generation: chr "elder" "elder" "elder" "elder" ...

と、ちゃんと income 列のデータが数値になりました。

しかし・・・元データを自作して、それをお見せしつつやったほうがいいだろうと思い、自分で テキストエディタ、Excel, Numbers などで 数値の部分に「,」の入ったデータを作って読み込んでみたらどれもこれも

Column specification
Delimiter: ","chr (1): idnum (1): incomeℹ Use `spec()` to retrieve the full column specification for this data.ℹ Specify the column types or set `show_col_types = FALSE` to quiet this message.

列の指定
デリミタ ", "chr (1): idnum (1): income_2139 `spec()` を使用して、このデータの完全な列の仕様を取得します。

と警告が出てしまうのはなぜなんだろう・・・

でもって、警告は出るけれど、最初から numeric (数値)と認識してくれている。

まあ、数値内に「,」が入っているデータは作らないのが吉ですね。


posted by kingstone at 18:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 統計 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする