※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2023年09月25日

『組織の不条理 日本軍の失敗に学ぶ』菊澤研宗著




「完全合理的な人間」を仮定してもそんな人いないし、「限定合理的な人間」がどう組織の中でふるまうか、を研究するのが「新制度派経済学」。

確認しようと、Google で検索したら生成 AI がこう答えてくれた。

「新制度派経済学(New institutional economics)は、経済学の対象と方法を拡張し、人々の経済活動を支える社会的規範や法的規則などの制度的側面を解明しようとする現代経済学の潮流です。

 新制度派経済学は、人間の限定合理性や情報の不完全性・非対称性から出発し、経済内に存在する様々な制度は市場の機能を阻害しているのではなくむしろ補完しているのである、ということや、現実の市場のあり方が各国ごとに大きく異なることなどを、理論的に説明することができます。

 新制度派経済学は、経済学やファイナンスにおけるさまざまな研究成果を採り入れつつ、政治的になされるような組織の意思決定についても分析しようとしています。

 新制度派経済学は、19世紀末から20世紀初頭にかけてヴェブレン、ミッチェルらによって創始された制度派経済学とは全く異なる流れで、基本的には主流派経済学の発展の中で出てきた潮流です。」

だって。

 著者の場合、「取引コスト理論」「エージェンシー理論」「所有権理論」で日本軍の失敗を見ていくわけ。

 読んだけど、よくわかっていない。でも言葉にしてみると・・・

1.取引コスト理論
 組織全体で大きなコストを下げる(つまり、そうなることが組織にとって一番いい)よりも、自分に近い狭い範囲で一番コストがかからない行動を選ぶ。

2.エージェンシー理論
 プリンシパルとエージェントという書き方をしてはるのだが、株主と経営者、経営者と従業員とかいうこと?
 で、情報の非対称性や、利益相反があるから、組織のルールやガバナンスが必要になるよね、みたいなこと?

3.所有権理論
 所有権を明確にするコストよりも、所有権による利益が大きい場合のみ、その周遊券の制度は作られる。

 著者の場合は、太平洋戦争の戦史の中でそれを説明していかれる。

 あの最低の愚かな作戦とされるインパール作戦も、それ以前からそんな作戦を考える人がいたけれど、コスト・パフォーマンスで見れば無理に決まっているので、合理的に考える人たちは「黙っていてもそんなわざわざ損になるもの実行されないだろう。反対意見を述べると敵を作る(個人的コストが高くなる)しな」と考えて反対より沈黙を選んだ。つまり一人ひとりにとっては合理的であった。

 で、牟田口も、最初は賛成意見を主張しなかった。しかし、時期が後になると自分の軍功がどんどん色あせてくる。ここは一発インパール作戦を成功させて自分の軍功を立てようという「全体の利益」より「個人の利益」を優先し、命令を出せる立場だったから命令したと・・・自分ひとりについては合理的だったと。

 なんか結構納得できます。

 しかし、戦史的というか戦術的というのか、その立場で見ると、硫黄島も沖縄もあれだけの犠牲を出したのだけど「成功例」なんだとか。それによって「本土攻撃を遅らせる」という目的は果たせたので・・・ってことだけど「成功例」?!

 まあそれが戦争の現実というやつなのかな。でもそんなのやだな。最初から植民地を作りにいって、無理な経済発展を狙わなかったら良かったのに、と思うけれど、当時の「合理的理論」から言うとそれは間違いになってしまうのかな?

 でもなあ、逆に攻撃される方で言うと、現実に某国や某国が日本に対して武力を行使してくる可能性は、ウクライナを見ると「有り得る」と当然考えなきゃいけないと思う。その時、単純に「戦いません」なんて Give up できるはずもなく、戦わないとしゃーないんだろうけど。

 まあよくわかんないんだけど、取引コスト理論だけはよくわかる。

 私が「威嚇と暴力を基本的教育方法とする」知的障害養護学校に居た時、何度も書いてるけど教師全員が「威嚇と暴力当たり前」と思っていたわけでなく、半分くらいは「それじゃいけない」と心の中では思っていたと思う。

 しかし、私が職員会で、「今までとやり方を変え、◯◯する時は□□するようにしましょう」と提案しても誰も賛成意見は述べない。他人のいないところで小声で「キングさんの意見がいいと思う」とかは言うのだけど。

 職員会で「威嚇と暴力」を使っている声の大きな人に対する反対論に賛成することは、その人達にとってコストが高すぎたのよね・・・

 実際、私は「威嚇と暴力」を使っている教師からの攻撃にさらされる(矢面に立つ、という言葉が実感できた)という多大なコストを払っていたし・・・

 それでも5年目あたりから、ぽつぽつと賛同の意見を言ってくれる人も出てきたか・・・

 エージェンシー理論で言うと、プリンシパル(私の学校の場合、管理職かな?)が具体的な「こうあるべき」という価値を指し示せなかった、というあたりは大きいか。もちろん「体罰はしないように」という指示は朝礼のさいに言っていたが、少なくとも威嚇で子どもたちを統制していた人が指導力のある教師と評価され、教育委員会に引き抜かれていったりしてたし・・・つまり現場の「威嚇や暴力」は校長からはなかなか見えない・・・

 これはガバナンスを守る方法が当時無かったということか。

 いやそれ以前に、「どうしたら子どもも大人も楽に楽しく暮らせるか」という方法を誰も知らなかった、というのが大きいかな。私も喧嘩するだけじゃなく、校内研修、学部研修、自主研修会などで広めようとは努力していたのだけど。
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2023年09月20日

R で対応あるt検定



 10人の授業前後のテスト成績の exam1.csv というのを作った。

no,pre,post
1,50,51
2,42,54
3,57,53
4,52,58
5,61,64
6,42,60
7,45,65
8,52,57
9,53,58
10,45,62

こんなの。

で、

(wd <- getwd())
 library(psych)
exam <- read.csv(paste0(wd,"/exam1.csv"))
with(exam, t.test(pre, post, paired = T))

ってやると

Paired t-test

data:  pre and post
t = -3.2692, df = 9, p-value = 0.009694
alternative hypothesis: true difference in means is not equal to 0
95 percent confidence interval:
 -14.043187  -2.556813
sample estimates:
mean of the differences 
                   -8.3 

となる。

> describe(exam[c("pre","post")])

とやると

vars n mean sd median trimmed mad min max range skew kurtosis se
pre 1 10 49.9 6.37 51 49.50 8.90 42 61 19 0.21 -1.37 2.01
post 2 10 58.2 4.66 58 58.25 5.93 51 65 14 -0.02 -1.47 1.47

となる。
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2023年09月17日

R でウィルコクソン符号順位検定



 アンケート結果に違いがあるかどうか、を調べる時、対応があって(同じ人の前後を調べているなど)、2群の場合にはウィルコクソン符号順位検定を使います。

 で、どうやるか、というのを「Rによるウィルコクソンの符号順位検定」を見ながらやってみました。

 まずは exactRankTests というパッケージが入っていない場合はインストールする。

install.packages("exactRankTests", repos="http://cran.ism.ac.jp/")

 で、データは 8人に、A薬とB薬を飲んでもらった時の、「効いた感じ」を 1〜4 の4件方で尋ねたときのcsvデータ、ABkouka.csv を用意しました。

前後しますが、その csv を kouka という変数に入れ書き出すとこんなの。

> kouka
no A B
1 1 1 3
2 2 2 4
3 3 3 4
4 4 2 2
5 5 1 3
6 6 3 4
7 7 2 3
8 8 2 3

で、有意水準を5%とした時

> library(exactRankTests)
> kouka <- read.csv(paste0(wd,"/ABkouka.csv"))
> wilcox.exact(x=ABkouka$A,y=ABkouka$B,paired=T,)

Exact Wilcoxon signed rank test

data:  ABkouka$A and ABkouka$B
V = 0, p-value = 0.01562
alternative hypothesis: true mu is not equal to 0

で、P値が 0.01562 となって有意差ありということになると。

ところがですね、参考にした記事に、95%信頼区間も出せるオプションがあるというのでやってみましたら

> wilcox.exact(x=ABkouka$A,y=ABkouka$B,paired=T,conf.int=T,conf.level=0.95)

Exact Wilcoxon signed rank test

data:  ABkouka$A and ABkouka$B
V = 0, p-value = 0.01562
alternative hypothesis: true mu is not equal to 0
95 percent confidence interval:
 -2 -1
sample estimates:
(pseudo)median 
         -1.25 

はてな?
信頼区間が -2 から -1 !?

なんでこんなことになるんだ?

ちなみに

> library(psych)
> describe(kouka[ ,2:3])

とすると

vars n mean sd median trimmed mad min max range skew kurtosis se
A 1  8 2.00  0.76  2   2.00   0.74  1  3   2   0.00  -1.47  0.27
B 2  8 3.25  0.71  3   3.25   0.74  2  4   2   -0.27 -1.30  0.25









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『すごい実験』多田将著




 金髪の多田先生の書かれた本。多田先生は J-PARC 加速器からニュートリノを打ち出してカミオカンデで捕まえ分析する、という実験をしている。

 2011年に中央大学杉並高等学校の生徒に講義したものをまとめたものです。

 もとの単行本が2011年8月に出版され、文庫版は2020年12月に出版され、その間の実験結果の差分は補章で言及されてます。

 当時(今もなのか?)の世界最強の加速器として

KEKB  衝突型電子加速器として世界最強
J-PARC 静止標的型陽子加速器として世界最強
SPring8 放射光施設として世界最高性能(「パワー」でなく「クオリティ」による評価)

とあります。西播磨にある SPring8 が入ってて何か嬉しい(^^)

 なお、粒子の通り道の円の大きさで言うと、世界最大は LHC(CERN(セルン)という研究所が持っている加速器)。

 物の引き合う力には

・強い力
・電磁力
・弱い力
・重力

の4種類があるってことなんですが、私、強い力、弱い力というのが何をさすのかよくわかってませんでした。

 強い力というのは、原子核で陽子や中性子をくっつけているのが強い力だそう。

 これは確かに強そう。化学実験ではくっついた陽子や中性子をバラバラにすることはできないくらいだもんな。加速器を使わないと・・・と書いてきて、あれ?原子力発電に使うウラン235なら核分裂反応を起こすな。それはどうなんだ?

 まあそれは置いておいて、この強い力は中間子が媒介する、と予測したのが湯川秀樹というのは知りませんでした。で、現在はグルーオンと呼ばれている、と。

 しかし媒介するって・・・

 現在では「引き合う」のは何らかの粒子をやりとりしていると考えられていて

・強い力 → グルーオン
・電磁力 → 光子(フォトン。電子じゃないんだ!)
・弱い力 → ウィークボゾン
・重力  → グラビトン(重力子。ただしこれだけは発見されていない。仮説の段階)

ってことなんですが、「引き合う」のが「粒子のやりとり」って・・・わかんね。

 弱い力っていうのは、これがまたわからん。

 中性子が15分くらいたつと陽子+電子+ニュートリノに分かれるのだけど、この時もともと電子とニュートリノをくっつけてるのが弱い力になるのか?あるいは中性子の中の1個のダウンクォークがアップクォークに変わる力と言ってもいいそうですが、

 しかしこれも全然「弱い」とは思えない・・・

 このあたりの話は、「わからないけれど面白い」ですね。

 多田先生の出てくる動画。

「ニュートリノ」を調べると宇宙の始まりが分かる?素粒子研究の最前線【多田将×堀江貴文】



posted by kingstone at 12:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・記事・番組など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年09月12日

R でコマンドを一気に実行する



※図はクリックすると大きくはっきりします。

 なにか、R の仕様もどんどん変わってきているのか、「メニューのここをああしてこうして」とか書いてあっても「メニューのここ」が無かったりします。

 コマンドを1行ずつ実行するのでなく、一気に実行する方法も、どうもネットにある記事の通りやろうとしても、肝心のメニューがわからなかったり・・・

 まず、R の中にエディタというのかスクリプトというのか書くところがある、ということなのですが、わからず。

 しかたがないので、私はいつも使っているテキストエディタの mi に「千葉県の新型コロナ定点観測のグラフ」で使ったコマンドを全部書き出しました。

(wd <- getwd())
library(psych)
teiten <- read.csv(paste0(wd,"/chibateiten.csv"))
syuu <- teiten$syuu
Elapsed.weeks <- syuu #観察開始からの経過週数
teitenatari <- teiten$teitenatari
plot(Elapsed.weeks , teitenatari , type = "b" , ylim = c(0,30) , las=1 , xaxp = c(19,34,15))

そしてこれ全部をコピーしてコンソールの > (プロンプト)のところにペーストしました。
次にその全体を選択します。
こんなふうになります。

スクリーンショット 2023-09-12 15.23.15.png

この状態でエンターを入れると一気に実行されました。


posted by kingstone at 15:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 統計 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする