※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2023年08月30日

特殊教育学会で思ったこと2(2023横浜)



 あと書き忘れ。

 事例を生で出してはいけないだろうから、まああいまいな形で書きますけど

 ある不適切な行動のあったお子さん。カードでの要求→選択と進み、強化子として最初は身体接触を伴うものだったのが、伴わない(ひとりで楽しめる)ものに変わっていき、不適切な行動は無くなった。

 で、この例がすごいのは教頭先生が担任さんを指導してうまくいった例。

 昨年の井上美保校長先生といい、やはり管理職の先生が「何が大事か」がわかっておられると、いろいろ良きことが起こるなあ。


 また学校でコンサルテーションなどやってる方のお話の中で、「せっかくコンサルテーションしてうまく行きだしても、進級時にうまく引き継ぎができず元の木阿弥にされるとがっくり来る」なんてお話もありました。

 引き継ぎ・・・本来、みなさん同等の基礎知識・技能があり、個別の特性の部分のみ簡単に引き継ぎすればうまくいくはずなんだけど・・・

 しかし、上のような「引き継ぎがうまくいかない(ひょっとして「されていない」なんてことは無いよね・・・)」事例はたくさん経験しています。だいたい「みなさん同等の基礎知識・技能がある」ということが稀だし(一部できている学校もあるかもしれませんが)。

 また引き継ぎをしたとしても、新しい毎日が始まるわけですから、目の前の状況に応じて「そのたびに自分で考えていく」必要もあるわけです。

 そういう意味で

P1B-4 「構造化された学習環境に関する学校研究の実践」

はめっちゃ面白かったです。

 自閉症の特性に関する知識の尺度を縦軸に、研修、事例研修をやった後の構造化に関する単語の量の変化を横軸にとってグラフを作ってみたら、最初は単語の量が増えたけれど、その後少し減った。たぶん「環境を設定する」でまとまっちゃったのでは?みたいな。

確かに私も「環境を設定する」という言葉で

・カレンダー
・スケジュール
・ワークシステム
・(ワークシステムとも重なるけれど)手順書
・物理的構造化
・わかりやすい設定
そして
・周囲の人の態度

全部こみで使ってしまいます。

 しかし私が「環境を設定する」と言うのを聞いた人が何を頭に思い浮かべるか、というのは全然違っていたりするかもしれません。

 ですから「引き継ぎ」の時は「環境の設定が大事です」と言って相手には通じないですよね。

 やはり、それぞれ具体的にどうやったか、画像や動画を見てもらわないとわからないし、また見ても反発するだけということもあり得るかもしれません。

 私はこれだけやっても無意味だった、という経験があります。



 まあ、25年ほどたっていますから、今は変わっているかな。


posted by kingstone at 21:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

特殊教育学会で思ったこと(2023横浜)



 特殊教育学会では、大きな刺激を頂きました。

 いつも、自分の考えたこと、そこで語られたことのどこまで書いていいのか悩むのですが・・・

 これは書いていいだろうと思うものを書いてみたいと思います。

自主シンポジウムI -15「知的障害を伴う自閉症児の行動問題への支援と教師の専門性の向上に関する検討」

いつのかはわからないのですが、特別支援学校の教職員(常勤のみ)に対して行ったアンケートで

n=227(回収人数)

内訳
0〜3年:71人(約31%)
4年〜10年:85人(約37%)
11年以上:71人(約31%)

で、行動障害への指導・支援の困難さの要因(複数回答)の中で、一番多かったものが

「特性に基づいた指導・支援」

であり、行動障害への指導・支援に向けた研修として知りたい内容(複数回答)の中で上位3つは

「特性に基づいた支援のアイデア」73.6%
「支援の基本的な考え方」61.2%
「行動障害が起きる理由」60.8%

という結果なので、発表者の先生は「『強度行動障害支援者養成研修』の基礎研修で扱う内容の研修ニーズが高い」と述べてはりました。

 まったくもって賛成です。で、私は会が終わった後、発表者の先生に

「今の特別支援学校教諭の研修の一部を削って、強度行動障害支援者研修を入れたらよろしいやん。まあでも講義だけでなく、またグループワークに留まらず、自分の担当のお子さんとやってみて OJT をベテランの同僚なり、外部の専門家なりにして頂く必要はあると思いますが。」

などと言いに行きました。またこの発表者の方の願いは

のサイトを作っている私と同じだろうな、と思えました。

自主シンポジウムI -29「発達障害児者の行動問題から教育・福祉の充実を目指す PBS(17)」

 ある先生が「こうしたら」というような提言をされたのですが、その提言に至った研究の事例は本来3つあったのに、1つはベースラインをとる段階の説明に「カードの使用」について書いたところがあって、今までやってなかったのにベースライン期間に担当の先生がカードを使ってしまってうまくいき、事例にならなかった、というのがめちゃめちゃ面白かったです。

 確かに「研究」としてはうまくいかなかったかもしれないけれど、その対象のお子さん、担当の先生にとってとてもいいことですよね。現場としてはまったく OK。

 でまた、他に参加したシンポにしろポスター発表にしろ、私の見、聞きした範囲では

・視覚的支援(スケジュール・意思表出)
・機能的アセスメント
・選択活動

などのどれかの組み合わせでうまくいくようになりました、というのばかりでした。

 じゃあ、大きな行動問題(行動障害)とかが出る前からやってりゃいいじゃん、という話ですよね・・・

 しかし現状はされていない・・・

もちろん「それだけじゃない部分」もあるし、たぶんうまくいった例というのは、それこそ、それ以外の楽しいというか豊かなというか、そういったものが背後に広がっていると思えました。

 私たちチームで、1998年に行った取り組みで、私は校内研修で視覚的支援のことを、動画などで校内にお伝えしていったわけですが、メンバーの新人Bさんが

「ビデオもよくわかったけど、でも例えば課題学習とかやってる以外の部分の○年の生活全部をみなさんに見て頂きたいですよね。結局カードを使ってる部分って一部分だし、それ以外の楽しいところなんかも知って頂きたいですよね。」

とおっしゃっていたように。

ついでに


なお、私の発表

「自閉スペクトラム症児に対するエビデンスに基づいた実践を学ぶことのできるネット上の公的資料について」

も何人かの方と「やっぱり OJT が必要だよね」、「技法だけ伝えたらすごく危険だよね」などと、いろいろ話し込むことができました。

 論文集に載っている PDF の元はダウンロードできるリンクを貼ります。


 現場では、ポスターの内容と資料になりそうな1枚ものをお配りしたのですが、これは Twitter(X)の DM なり、facebook のメッセンジャーなりで連絡して頂ければ、差し上げます。ただしメッセンジャーの場合は「ともだち」になっていない場合、送られても見えない場合があり、なんらかの手段で私に「送ったよ」と伝えて下さいね(「ともだち申請」を同時にして頂ければいいのかな?)。先日も「送ったのに回答が無い」と叱られてしまいました(汗)

 
posted by kingstone at 04:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年08月20日

『イタリア家族風林火山』『モーレツイタリア家族』ヤマザキマリ著






 「らじる☆らじる」でNHKラジオの聞き逃し番組を「歴史」で検索したら、ヤマザキマリさんと磯田道史さんが出てる「ヤマザキマリラジオ」というのがありました。もうひとりのゲストが比較文学者べッピ・キュッパーニとのことで「誰だろう」と思って聞いてたら、ヤマザキマリさんの夫だった。

 で、ご家族のことを上記マンガに描いているとのことで、どっちも Amazon Kindle で購入しました。

 なお、マンガの中ではべッピさんはベッピーノさんと表記されています。

 マンガの中にも「イタリア人は自己主張が激しく、とにかく喋って伝えようとする。それが長々と続くから別の人が自分の意見を言おうとしたら、割り込まざるをえない」みたいな描写がありましたが、ラジオでも片鱗が伺えました。

 べッピさん、ものすごい早口で喋りだしたら止まらない感じ。それをヤマザキマリさんが訳しつつ自分の意見を言う時は割り込む感じ。

 なお、べッピさんは「イタリア人にしては珍しく(一般にイメージする)陽キャじゃない」そうなのですが・・・

 なお、べッピさんがヤマザキマリさんが日本に帰国して恋患い状態になり、入院して集中治療室に入ることになってしまった、というのは『イタリア家族 風林火山』のほうに出てきます。


posted by kingstone at 14:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・記事・番組など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年08月13日

映画「リボルバー・リリー」綾瀬はるか・長谷川博己




 大活劇。

 先日、『チ。地球の運動について』というコミックを読んで、拷問やだーーー、と思ってたんですが、この映画もたいがい血しぶきが飛び散るのだけど、別に嫌がることなく楽しめた、ってのはフィクションとしての様式美があって??



ーーー ネタバレになるのかな? ーーー

 1924年(大正13年)から始まる。

 私の父が生まれる1年前か。

1917年 シベリア出兵
1919年 朝鮮で三一独立運動
1920年 原敬暗殺
1921年 東北飢饉
1922年 オスマン帝国滅亡、ソビエト連邦成立
1923年 関東大震災、石井・ランシング協定(中国における日本とアメリカの権益の調整の協定。しかし・・・中国抜きで・・・)破棄。
1924年 宮澤賢治『春と修羅』『注文の多い料理店』刊行

 なお、主人公小曽根百合(綾瀬はるか)が「殺人をやめて10年」という話があったから、1914年の第一次世界大戦のどさくさに青島を占領したくらいから殺人をやめていたことになる。

 日本国内は、大正文化が花開いた時代ということになるのかもしれないけれど、対外的には(先進国はみなやっていたとはいえ)それこそ侵略しに行っていたし、国内でも東北飢饉や恐慌の合った時代だよね。

 で、まあドンパチ撃ち合っている人たちもいただろうな。

 活劇も面白かったけど、衣装(モガ(モダンガール)風だったり和装だったり)も眼福でした。衣装さん、たいへんだっただろうけど、楽しかったんじゃないかな、と思います。男性の背広姿もかっこ良かった。

 で、ほんと、長谷川博己さんがいい感じでした。

 そういや、先日、牧野富太郎さんの写真多めの伝記本を買ったのですが、一番若い頃の写真が、なんか長谷川博己さんに似てるなあ(それほど牧野富太郎さんがイケメン)と思いましたです。





posted by kingstone at 16:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・記事・番組など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする