※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2023年03月01日

『小さなまちの奇跡の図書館』猪谷千香著




 猪谷千香さんは岩手県紫波町のオガールプロジェクトについての『町の未来をこの手で作る』も書かれた方ですね。

 上記の本の中でも紫波町図書館について詳しく書かれていました。


 この『小さなまちの奇跡の図書館』で取り上げられているのは指宿市立図書館

 業界のことはよくわかりませんが、2021年11月に「ライブラリー・オブ・ザ・イヤー」を受賞されてます。

 リンクは Wikipedia に貼っていますが、おお、2021年の大賞は

「指宿市立図書館 および 特定非営利活動法人 本と人とをつなぐ「そらまめの会」(鹿児島県指宿市)」

ですが、オーディエンス賞を「あかし市民図書館(兵庫県明石市)」が取ってるじゃないですか。利用者として、何か嬉しい・・・

 で、指宿市立図書館を運営しているのが、指定管理団体の NPO 「そらまめの会」なわけです。

 図書館は公立だったのが、「経費節減のため」民間に指定管理されることが多く(ほとんど?)になってきているわけですが。

 有名どころでは TRC や CCC。

 2006年に旧指宿市、山川町、開聞町が合併して新たに指宿市として出発するわけですが、当時の指宿図書館は書物の整理もままならず、棚の上に本が積み上がり、窓からの採光が少なく暗いイメージだったそう。また指宿図書館は電子化されていなく、山川町立図書館は電子化され外部からの検索もできていたのに、できなくされてしまっていたと・・・

 人が集まってくる場所では無かったと。

 公立で士気の低い所はそうなりますよね・・・

 本当に難しいものです。昔、公立の障害者成人事業所があって、惨憺たる有様で、そこに民間が入って良くなったという事例がありましたが、果たしてそれが長期的には良かったのかどうか・・・実はこの『小さなまちの奇跡の図書館』でも最終章でその問題が扱われています。

 2006年にもどって。

 それ以前からお話し会などをやっていた保育士の下吹越(しもひごし)さんの元を、旧指宿図書館の司書の方(中で何とかしなきゃ、ともんもんとしてはったんだろうな。そういう人が役場の中でなく、外部に助けを求めなければならない、というのが一番問題なんだろうな。学校なんかでも、あるある、です)が尋ねてきて、「図書館をよくしたい。力を貸してくれませんか」と言われてまずボランティアグループができていたのを、民間委託の話が出て「このままでは、私達の町の文化や歴史も知らない、まちに対する思いもない企業が私達の図書館を運営してしまう」ということで入札に参加することに。

 2006年10月末の締め切りに、10月の始めに NPO の認可が降りるというギリギリのところで入札(でいいのかな?)に間に合い、市議会で12月に「そらまめ会」に決定、2007年4月から運営開始。

 まあ建物の修繕、本の整理、除籍、購入、電子化といろいろたいへんだったようですが、ある利用者さんが「明るくなったわね。どんな魔法をかけたの」と言って下さったそう。最初の3年間で

○学校司書さんとの連携
○図書館フェスティバル
○郷土資料の整理

などもやり、子どもたちを呼び込むうちに自然と始まったイベントなども人気を呼び、かつレファレンス(の域を越えてるかも・・・)にも力を入れ、とやっていたら3年後には「あんな細やかなサービスはできない」と他の民間企業は入札に応募してこなかったとか。

その後もクラウドファインディングで移動図書館を作るなどがんばっておられます。

 さて最後に書かれている指定管理者制度の問題点

 指宿市議会である議員からの質問。
「指定管理者になって職員は増えているのに、人件費が年に1800万円節約になっているというが、職員の賃金が劣悪なものになっていないか」
 市当局の回答。
「指定管理者の賃金が公務員の賃金と同様でなければならないということではない」
(「いぶすき市議会だより 第61号。2019.9.2発行)
ってことで・・・

 う〜〜ん。


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2023年02月28日のつぶやき










































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