日本特殊教育学会第58回大会ポスター発表(障害一般)P12-52
「特別支援学校における福祉との連携のための取り組み ー放課後等デイサービス事業所との連携の実態に関する聞き取り調査よりー」
畠山和也 西牧謙吾 衛藤裕司
「特別支援学校における福祉との連携のための取り組み ー放課後等デイサービス事業所との連携の実態に関する聞き取り調査よりー」
畠山和也 西牧謙吾 衛藤裕司
これは基本的な調査として大事なもんじゃなかろうか。
そして、ここに表れた「いい実践」「課題」をより深く掘り下げる元になるもんじゃないかな。
I.目的 特に、教育と福祉の連携については、学校と児童発達支援事業所、放課後等デイサービス事業所等との相互理解の促進や、保護者を含めた情報共有の必要性が指摘されている。 |
とあって、これは私は知らなかったのですが、平成30年(2018年)3月に文部科学省と厚生労働省が「家庭と教育と福祉の連携『トライアングル』プロジェクト」の報告書がまとめられているって。
II.方法 A県立特別支援学校10校(知的障害8校、聴覚障害1校、肢体不自由1校)の学校長協力のもと、教頭や教務主任、特別支援教育コーディネーターに聞き取り調査票を記入してもらい、後日訪問して2時間程度の口頭による聞き取り調査を行なった。 |
すごいっすね。
「現状に関する回答」と「課題に関する回答」に分けて分類してはります。
論文の表1と表2をブログで見やすいように少し改変して引用
表1 連携の現状に関すること(数字は回答した学校数)
1 相互理解のための相互訪問 ・教員が放デイを訪問(8) ※位置づけ:ケース会議(2) 出張扱い(1) 年次研で視察(1) 新小1は必須(1) 個人的(3) ・放デイ職員が学校を訪問(7) ※内容:学校公開(5) 授業見学(2) 行事(2) 研修会・公開講座(2) 2 学校が把握するためのツールの活用 ・放デイ利用状況調査(学校が保護者対象に実施)(3) ・関わる放デイ一覧表(学校が作成)(3) ・送迎ルール等の文書(学校が作成)(3) ・放デイ登録用紙や利用者名簿(放デイが学校に提出)(1) 3 ケース会議の実施 ・ケース会議(10)不定期で必要に応じて開催 ・引継ぎ会議(新・転入生)(3) 4 保護者の同意を伴う支援計画の共有 ・保護者の判断で支援プランや支援計画を提供(3) ・ケース会議の時にお互いの計画を共有(3) ・保護者に支援プランや支援計画の提供を依頼(2) ・保護者の同意のもと、合理的配慮の部分を共有(1) 5 相互理解のための研修の実施 ・学校の研修会で福祉職員が講師(4) ・福祉事業所の研修会で教員が講師(3) 6 児童生徒の情報ツール ・緊急対応マニュアルの共有(学校が作成)(1) ・送迎カード(学校が作成)(1) 7 関連機関との連携 ・自立支援協議会(3) ・福祉課、子ども支援課(2) ・障害相談ネットワーク会議(1) ・子育て支援センター(1) 8 連絡会の設定 ・定例の連絡会(6) ※回数:年1回(3) 年2回(1) 年5回(1) 不明(1) ・新規参入事業所に個別に説明(3) |
表2 連携の課題に関すること(数字は回答した学校数)
1 立場、意識、専門的資質の違い ・放デイ職員、相談支援専門員の専門性に不安がある(4)(無資格未経験、入れ替わり、外国人) ・教育的視点と福祉的視点のすり合わせが難しい(4)(立場、ルール、指導観の相違) ・教員の意識改革、学校が謙虚になる必要がある(1) ・運営主体によって支援方針が異なる(1) 2 日程調整・負担の増加 ・日程調整が大変(6) ・コーディネーター、担任の負担が増える(2) 3 個人情報の取り扱い ・保護者の同意が得られない(3) ・個人情報保護の関係から共有できない情報がある(2) |
今後、この表の項目に表れたことを深め、改善していける
ようになればいいのじゃないかな。 まず早急に必要なのは、課題のところに表れた、「日程調整、負担の増加」の解決で、
1.現場の先生や福祉事業所の人が連携を取りやすいように、双方に十分なお金をつけること。(支援部専任の教師の増加、福祉事業所が人を出しても代替の人をつけることができる人件費)
2.現場の先生の不必要な仕事を「しなくていい」というふうにして、労働環境を整えること
というあたりだろうな。