先日大久保賢一先生の
を読んで、いろいろなことを思いました。
なお、文部科学省が、2013年3月13日に出した
によれば、
2)(1)により、その懲戒の内容が身体的性質のもの、すなわち、身体に対する侵害を内容とするもの(殴る、蹴る等)、児童生徒に肉体的苦痛を与えるようなもの(正座・直立等特定の姿勢を長時間にわたって保持させる等)に当たると判断された場合は、体罰に該当する。
しかし、「体罰」って変な言い方だな。また「懲戒」・・・私、何かしでかしたことの「懲戒」としてお子さんに対したことは無いような気がする・・・
しかし、私は「周囲の人が見たら虐待と思われる」ような関わり方をしている時もあります。
なんせ、私はSVに言っている児童発達支援や放課後等デイサービスでも、どのスタッフよりもお子さんを泣かせることの多い人間です。
何例か出してみたいと思います。
なお、この関わり方はたぶんTEACCHや応用行動分析とは相容れない関わり方だと考えています。
他のスタッフさんたちは、たいへんいい取り組みをして下さっていますし、それでたいていはうまくいきます。
また、そのお子さんの好きなこと、できることは何だろう、という方向でいつも取り組んで下さっています。
そしてたいていは静かで落ち着いた環境で、お子さんもスタッフも笑いながら日々を過ごしています。
それでもいろいろ課題があって、他のスタッフさんでは
1.どこまでしたらいいか手加減がわからない(要するに危険)
2.お子さんに泣かれてスタッフさんの心が耐えられないのでは
3.現時点で事業所の活動に支障を来したり、危険があったりする
と判断した時に私が出ていきます。
何例か、出してみます。
例1
幼児。サービスを利用し始めたばかり。
音声言語でも、見て分かるスケジュールでも、目の前の遊びから移動できない。
移動させようとすると、怒り、暴れる。
次にやること、その後できること、をカード2枚で示し、次にやることの場に私が捕まえて、次の活動に連れていきました。
この時は私の表情はニコニコ。
捕まえたまま、その活動を一緒にしました。
活動のスケジュール(子スケジュール)もひとつひとつ指差し、「終わった」とひとことつけていく。
お子さんはその間、泣きっぱなしの暴れようとしっぱなし。
全部で2分ほどで活動が終わり、手を離し、彼は遊びの場に行きました。
2回くらいやったら、後は私がいなくても、他のスタッフの「捕まえるのなし」でカードなどで伝えることで移動ができるようになりました。
注。本当に安易にマネしないように。「TEACCHはダメ。非人間的」とか言われる例は、上記のようなのを「形」だけマネした時に起こっているような気がします。
例2(これはうまくいかず、私が責められた例。でもそれはそれでいいことだ)
幼児。スケジュールでひとりでできることはどんどん増えていた。
「見てわかるスケジュール」の意味はわかっていた。
やはり目の前の遊びが楽しいと移動できず、スタッフや友達に他害することもあった。
その事業所に行く機会は少なかったが、たまたまその日、私は一緒に遊んでいた。
「個別指導」にスタッフから誘われたが移動できなかった。
私が「個別指導」のカードを見せたら私を叩きに来た。
すぐに私が捕まえ、個別指導の場に移動、そこにあった学習用課題をやりきらせた。
※この時点での私の失敗。落ち着いている時にできる課題量をそのままやらせてしまった。後で考えれば、課題数、量をその場で減らすべきだった。
10分くらいかかって、泣きわめき、暴れるお子さんの腕を持ち、やりきらせた。
なお、まずいことに私にお子さんが噛みついた時、乳歯が取れてしまった。
全部できて「できたね」と言い、手を離すと、彼はすっと、落ち着いた。(というか呆然としてた)
すると横からスタッフさんが飛び出してきて「○○ちゃん」と言って抱きしめてよそへ連れて行った。
他のスタッフも集まっていて、私を「鬼(人間ではないもの)」を見るような目で見ていた。
で、その後、全員に謝罪するミーティングが開かれ、私はその事業所に出入り禁止になった・・・^^;
ただね・・・もちろん、それはそれでいいのだけど(私が出入り禁止になったことを含め、この法人の素晴らしさだと言えると思う)、継続的に関わることができたら、その後の本人、親御さんのご苦労を軽減できたような気はする。私は、親御さんへの支援は継続し、後にいろいろな問題が起こったのを解決していった。
例3
児童。私より身長は高く、体重は同じくらいか。
知的には高い。
スタッフの見えないところで他害しようとすることあり。
「個別指導」の時刻を自分の都合(書けない事情あり)で決めて移動しようとする。
事前の私からスタッフへの指示
1.(音声言語がばりばりにわかるお子さんに見えるが)見てわかるスケジュールを見せる
2.その子のいいところを見つけて、短い言葉で褒める。
3.その子のいいところを見つけて、書いて見せて褒める。
しかし、「個別指導」の時刻の自分勝手な移動はスタッフとしても困る。「自立課題学習」はひとりでできるからいつでもいいのだが、「個別指導」の場合はそうはいかない。
そこで、ある日、やはり自分の時刻前に移動しようとしたお子さんの前に私が立って移動できないようにした。
彼は叫び声を上げ続けた。
なぐりかかって来るのはよけ、押してくるのは回りつつ受け止め、「個別指導」の部屋に近づきすぎたら抱えて元に戻し。
で、時刻になってさっとどくと「個別指導の部屋」に行った。
1週間後。
やはり同じ状況になった。
しかし、先週より確実に彼の力の入れ方が弱まっているのを感じた。
彼は新たに唾を私に吐きかけだした。それは完全無視した。時々自分で拭いたが。
私がいつも持っているA4クリップホルダーも紙ごとベトベトになった。
スタッフが私が顔を拭くためにティッシュを持ってきてくれていたのだが、ふとした瞬間にお子さんがティッシュを取ってクリップボードの紙を拭いてくれた。
私は「ありがとう」と言った。
これが2回ほどあった。
時刻が来て、私がどくと彼は「個別指導の部屋」に行った。
2週間後。
私はどうしても外に家庭訪問に行かなければならず、お子さん達が帰ってから事業所に戻った。
するとスタッフが「今日はありがとうございました」と私にお礼を言う。
????と思っていると、今日は個別指導の時刻を守ったとのこと。
そしてスタッフが「えらいね」とほめるとお子さんは
「だってキングさんと約束したもん」と答えたとのこと。
私は爆笑してしまいました。
私は音声言語でも、書いてのやりとりでも、(つまり音声、文字、絵などで)ひとこともこのお子さんとこの件について話していません。
約束していません。
だいたい私は「約束」はとても大事だと思っているので、「約束」という言葉はほとんど使いません。
こどもがもし破らざるを得ないようになったら可哀想だし、いつも破っていたら「約束」という言葉を軽視することにもつながります。
また私は私で「約束」したら全力で守ろうとするから、それもたいがいしんどいし。
だからお互い、あまり「約束」しないようにしています。
それを伝えるとスタッフさんは不思議そうな顔をしていましたが、私はすごく納得していました。
その後、自分の都合でスケジュールを曲げることはなくなり、他害もなくなっていきました。
(他害が減ったのはほめられることが増えたからだと思います。私とのやりとりはあまり関係ないでしょう)
さて、例1〜例3 すべて「有形力の行使」が含まれています。
また
1)恣意的
2)効果が検証されていない(エビデンスはない)
3)パターナリズム
全部あてはまります。
そして、私が関わっている時は「大声で泣く」「喚く」「暴れる」などが出ています。
たぶん外から見ていたら、「私がお子さんを虐待している」と見えることも多いのじゃないかな、と思います。
まあ「例2」はもろ虐待していると思われちゃったのですが。
しかしいずれも「懲戒」の意図は、私には無いですね。
なんか難しいもんです。