※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2018年09月25日

2018年09月24日のつぶやき
























































































































































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2018年09月24日

放課後等デイサービスでスタッフが自ら課題を見つけ解決していく研修のあり方の検討(2018年特殊教育学会でのポスター発表)



 事例になって頂いたお子さんの親御さんに、学会での発表の許可までは頂いていましたが、ブログにアップする許可も頂きましたので、こちらにアップします。



放課後等デイサービスでスタッフが自ら課題を見つけ解決していく研修のあり方の検討
ー「注目」のために、周囲が困る行動をする児童の事例を通してー

間處秀一(ソワサポート)
kingstone(じんぶな〜)
浅原奈緒子(ソワサポート)
河相善雄(兵庫教育大学)
  
KEY WORDS : 放課後等デイサービス 研修 ワークショップ

【目的】

 放課後等デイサービス事業は2012年より始まり現在9000か所以上設立されている。その質の向上のためには事業所内部での研修が大変重要である。

 これまでソワサポートでは研修時に浅原が「基本的知識の伝達」「指導技術の実技」を、kingstoneが現場でのOJTをして来た。また様々な情報共有システムを作り、いろいろなミーティングを行ってきた。

 さらに一人一人のスタッフが自立的に考えられるように、2017年からは浅原がファシリテータとなりワークショップ形式の研修も始めた。

 その研修と実践の結果を報告し、今後のあり方を検討していきたい。

【方法】

1.X-26日 座学
   研修の後にスタッフ各自が「現在困っていること」をメモ

2.X-19日 ワークショップ
   テーマ 困っている事例の解決法
   ファシリテータ 浅原
 スタッフは2人グループを作り、浅原のファシリテーションに従ってお互いに話し合い、それぞれが問題を明確にし、自分の考えをメモにし、グループで意見をまとめて発表していった。
 それをホワイトボードに書いてまとめていった。

 解決する事例としてはA児の

・スタッフ用の机の上にある物を落とす
・スタッフが別の子と遊んでいると遊び用の机にある物を落とす

という行動を取り上げた。
ホワイトボードは下のようにまとまった。
※写真はクリックすると大きくなります。
ホワイトボード20171127.JPG
(裏話。この研修のさい出席していた私は、みなさんの発言に感動し、そして自分を抑えて発言しないでいることに必死でした。私がしゃべっちゃうと「教えた」みたいになっちゃうから。しかし、最後の最後に、このホワイトボード右下に書いてあることをしゃべりました。
 なお、オリジナルは立命館大学院生の高山さんです。
 今、この子をほめるために私になにができるか。
 ・できている行動は拾え
 ・なければさがせ
 ・それでもなければでっちあげろ)


文として書き出すと

@なぜそのような行動をしたのか?

・注目してほしい
・かかわってほしい
・(スタッフが?遊びが?)お気に入り
・遊びの幅が狭い
・落としたら人が関わってくれる

Aではどうしたらいい?(方針)

・人に関わってもらう方法を教える→(物を落とす以外の)代替行動を教える
・遊びの幅を広げる→できることを増やす

Bどのような具体的手立てがある?

・遊んでほしい時に肩をたたいてもらう
・遊んで欲しい時に「遊びカード」を渡してもらう
・何かやりたい、遊びたい、と言えるようにしていく
・いい行動をしている時にほめる
・遊びにどんなものがあるかな?
例 今できていること「お手玉キャッチ」「車やりとり」「型はめパズル」「高い高い」

Cどこで何をする?

・「個別指導」の時間に「遊び」を教える
  一人で遊べるものを教える
・スタッフといろいろなゲームをためす
・「個別指導」や「自立課題学習」でできたことをプレイルームでの遊びとして試す
・遊びのルールを教える
・遊びに誘う

 この結果を踏まえて、X日より以下のような取り組みを始めた。

1.好きな遊びを要求できる具体物を見えて、手の届くところに提示
2.「高い高い」を誘う時はいつも同じ格好で誘う
3.スタッフと友達が遊んでいる物を落とそうと近寄って来た時は、落とす行動が出る前に誘う、あるいは別の場所に連れて行く等で「行動」が出ないようにする

要求おもちゃ高い高い.png


【結果】

グラフ.png
(裏話。真ん中あたりで「机から物を落とす」がまったくない日がありますが、これはたぶん記録しそこね。最後のほうのは本当になかった可能性が高いです)


 3か月後、当初の「行動」は無くなったわけではないが、減少した。またスタッフにとっては、気にならなくなった。そしてA児の遊びの種類が増え、A児から自発して、スタッフに遊びの要求を明確に適切に行うことが増えた。

 またこれは数値化はできなかったのだが

・スタッフの他の子たちへの関わり方も良くなった
・スタッフのまとまりがよくなり、チームとして子ども達に関わることができた

などのことが起こった。


【考察】

 スタッフからのワークショップ形式の研修についての感想は以下のようなものが出た。

・今までは「なぜ落とすのだろう」と理由まで考えることは、あまり無かった。今回は考えられた
・「教えてもらう」だけでなく、自分で回答しないといけないので、より考えた
・たくさんのスタッフの考え方を知れた

 そしてA児の行動の改善だけでなく、スタッフ全体のまとまりが良くなった。そのような観点からもファシリテートされたワークショップ形式の研修は、ひとつの有効な手段となり得ると考えられる。

 また今回はベースラインの記録はなく、実践中の記録も不完全ではあったが、現場での取り組みとしては無理もないことと考える。
 今後もこのようなワークショップ研修を受けて、実践していきたい。

【参考文献】

・中野民夫(2001)ワークショップ(岩波新書)
・三田地真実(2013)ファシリテーター行動指南書(中野民夫監修)(ナカニシヤ出版)




発表風景

P9220476.JPG
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