2018年7月5日
自閉症・発達障害の人にわかりやすい声かけ 成人編
kingstone
※おめめどう資料<自閉症・発達障害の人に伝わりやすい声かけ>を元に大人向けに改変しました
-視覚的、具体的、肯定的な声かけ-
I 自閉症の障害特性から、考える声かけのポイント
1.視覚的に声かけしましょう。【視覚優位】
・イスを指差しながら「このイスに座って下さい」
(単に「どうぞお座り下さい」だけでなく)
・荷物棚の具体的な場所を指差しながら「持って来た荷物はここに入れて下さい」
(単に「棚に入れて下さい」ではない)
※声かけと動作の合わせ技になっています。声かけだけで伝えようというのはそもそも苦しい。
2.具体的に声かけしましょう。【抽象的な言葉がわかりにくい】
・それだけでは映像化出来ない言葉は、単独で使わないようにします。
・「これ」「あれ」「それ」といった指示代名詞
・「しっかり」「きちんと」「ちゃんと」「ゆっくり」「さっさと」「よく」などの副詞
・「優しく」「きれいに」「正しく」「ひどい」「まじめに」「無駄だ」「急に」「自由に」「丁寧に」などのたくさんに意味のとれる形容詞、形容動詞
・「責任」などの具体物の無い概念
・部品を整理して入れているカゴと、組み立てる手順書、完成品を入れるカゴなどを置き、それぞれ指差しながら「ここにある部品を、この手順書の通り組み立て、できたらこのカゴに入れて下さい」
(バラバラに部品がある状態のところに連れていき「責任持ってやってね」ではなく)
・「きれいにしてね」→「水を拭いて下さい」
・「ちゃんと片付けます」→「同じシールが貼ってある棚に置いて下さい」
・「優しく置いて下さい」→「音がしないように置いて下さい」
3.肯定的に声かけしましょう。【求められていることがわかりにくい】
・否定的な声かけだけで、終わらないようにします。
・×には○を用意します。または○だけで示します。
・時間がある時には絵や文にして「なぜそうなのか」を説明します。
・「しゃべらない」→「静かにします」
・「走らない」→「歩きます」
(時間があれば)「歩くと周りの物に当たってひっくり返すことがないから歩きます」
褒めるということ
これも「肯定的」に入ると思います。
大人でも褒められることは嬉しいです。
しかし何かをやっている最中に褒められるとうるさいだけかもしれません。
基本的には、何かがはっきり終わった時に、小さい声で
「いいね」とか言うのはいいことだと思います。
また小さな動作でサムアップ(親指をぐっと上げる)などもいいかもしれません。
ハイタッチはやめておいたほうがいいでしょう。日本ではスポーツなどの特別な時しか使われません。
性別に限らず身体接触を伴う行為は、日本では日常的には使われませんし、下手をすると事件につながりかねません。(学童期の特別支援教育担当者にはよくお願いしておきたいと思います)
大げさに褒めるのは「年齢相応」とは言えないので気をつけて。
1,2,3を合わせて表現すると、わかりやすい表現になります。
II その他のヒント
こちらに注目できる(している)時に、声をかけます。 後ろから急にとか、別の物に気をとられているときに声かけしても、驚くだけです。
私は、
・ご本人の正面に立ち、手のひらを目の前で少し上下に動かした後、自分自身を指差す
・後ろからしか行けない場合は、本当に軽く中指・薬指で肩をとんとんする
などを使うことが多いです。(しかし身体接触は気をつけて)
2.次にして欲しいことのみ、端的に伝える。
・たくさんのことを一度に言わないでください。
・「部品を棚からとって来て、組み立てて、余った部品は棚に戻し、完成品は次の机の上に置き、報告に来て下さい」(私もわからなくなります)
・「部品を棚からとって来て下さい」終わってから「組み立てて下さい」済んだら「余った部品を棚に戻して下さい」戻して戻って来たら「完成品を次の机の上に置いて下さい」それが終わったら「○○さんに『できました』と報告して下さい」
書いてて思いましたが、これ、全部手順書にすればいいことですね。
そして「ひとりで判断して、ひとりで動く」
それが大人ですね。
3.声の大きさ、調子
聞き取れる範囲で、小さく、落ち着いた声で。
※ 周囲からご本人に伝える場合、基本は「目で見てわかる」です。
音声言語はあくまで補助(あるいはこちらの都合)です。
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