私の関わりのある法人
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※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2016年01月01日

本田美和子 (「調べる」論 木村俊介著より)




「調べる」論 木村俊介著

「情報の流通が、病気への誤解を深める場合もある」

本田美和子

国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センター勤務
内科医

「マスコミの発言者のほとんどー特に教育関係ーは実際のHIVの患者さんの生活を知らないままではないだろうか、とは、最近よく感じます」

 これね、私の仕事の分野で言うと、発達障害の人の(発達障害は障害であって病気ではないけど)生活、そして小さい頃から大人までを見通しをもって接してはる人、がどのくらいいるだろう・・・というのはいつも思う。

 私自身、小学校教師や小学部教師であった時代のほとんどはわからないままで過ごしていたもんな。で、学校の中だけのことしか考えてないし、わかっていなかった。しかしそれでは学校の中で行う教育も、何していいかわからなかったり、トンチンカンなこと(いつまでたっても1ケタのたし算・引き算のプリントをやり続けたりね・・・。「楽しみ」でできてる子ならいいけど、もっともっとやらなきゃなんないこといっぱいあるんだけど・・・)

 そして家でそのお子さんがどうなっているか、また大人になった時、親御さんや周囲との関係が、どうやってるとどうなるのか。

 本に書いてあるのと似た内容で、HPの記事になってる部分をこちらにコピペ。

「HIVのお薬は非常に高価なので、患者さんがちゃんと治療をやろうと思ってくださると、1ヶ月にだいたい20万円ぐらいの治療費がかかるんです。国民保険を持っていらっしゃれば3割負担の6万円、さらに自治体の補助制度を使うと、ごく平均的な収入の20代、30代の女性患者さんで5,000円〜1万円ぐらいの自己負担になります。ですから、感染してしまっている人で、お金がないから病院に行けないと思っている人がもしいたら、素晴らしい制度があってお金の心配はしなくていいから、まず病院に来てください、とお伝えしたいと思います。その一方で、1人の患者さんの治療費が年間240万円だとすると、40年間治療すると約1億円のお金が私たちの社会から使われていかざるを得ない。つまり、HIVに感染していない人が私には関係ない病気だと思っていても、現実問題として、自分たちが払っている保険料と税金がHIVの治療のためにすでに使われているんです。」

 なお、本に

「毎年、新しい感染者は1300人以上増えているので・・・」

と書いてある。
年間1人240万円として、年間31億2000万円以上ずつ増えて行くわけだ。

 この観点から考えたことはなかったな。
 なってしまったら即医療にかかるのは当然として、予防すればこのお金が少なくてすむ。


「初診の目的は「話を聞き、相談に乗ること」

 私の役割は、HIVの患者さんたちに対して治療の相談に乗り、健康維持のお手伝いをすること。「人間は、時間が経てば環境に適応できるものなのだな」と患者さんたちが精神的に回復する力を持っていることには、いつも素晴らしいなと思わされます。

 ただ、最初は誰でもHIVだと告げられたことにショックを受けていますから、じわりじわりと話さねばなりません。最初には、患者さんが最も聞きたいであろうことの一つである「今すぐに死んでしまうわけではありません」という要点を話すことが多いですね。

 同時に「しかし治りません」とも伝えなければならない。あとは、たいていの初診は「恋人や家族に話せるか」など、生活の相談になります。この病気に関しては、告白や相談のできる味方がいた方がいいということは、統計的な数字にもはっきり出ていますので。
 「健康状態を維持するために、毎月、血液検査をしに通院してもらえますか」
 「はじめは原則的に月に一回の通院になりますが、免疫の数値が良ければ三ケ月に一回の通院で構いません。仕事も続けられますし、手術の必要もありません」

 今後の予定が気になるだろうからそういうことも伝えて「長丁場の病気になるので頑張って行きましょう」と話して、初診は終わります。これから長い付き合いになるのだから、まず、患者さんの話をきちんと聞くことを大切にしています。こういったHIV治療における内科医のスタンスは、老年医療に近いものがあるんです。長期治療が必要であり、完治するわけではないという前提で、患者さんが調子の悪いところを医師に相談するのですから。

 子どもの病気の場合は、親からすれば元気でいて当たり前みたいに思うところもありかちだからこそ、医師には100パーセントの勝利を求められがちなものです。そのような小児治療に比べたら「まあ、年齢的なものもあるかな」と病気に対する諦観や納得が前提になっている老年医療は、非常にHIVの患者さんたちへの診療に通じるところがある。アメリカの病院で働いていた時に老年医療を専門にしていた私には、合っている仕事なのかもしれません。

 こういう種類の医療においては「いやなことばかり言われるから、もう病院になんて行きたくないな」と通院を止められたら、治療のチャンス自体が失われてしまいます。それで「あなたの健康を守るためのお手伝いをいたします」という意味のことを患者さんにははっきり伝えて、ともかく相談に乗っていくんですね。


 発達障害で言うと「治りません」あるいは「治るという概念は適切ではありません」、しかし「環境を整えることによって、結構楽しく暮らせるんですよ」と伝えるあたりかな。

 あと、相談支援で言えば、幼児から成人までずっとの長丁場になる場合もある。

 でもってお子さんに関することだから・・・それこそ親御さんとしては100%の勝利(?)を求めはるのか・・・

 でもって「いやなことばかり言われるから・・・」というの、私は「だからこうしたら、こう考えたら楽になりまっせ」も伝えるのだけど、それは親御さんにとって「いやなこと」である場合がままあるのね。

 それとたぶんHIVと発達障害が大きく違うのは、私は「診断名を味方にしましょう」と言うのだけど、周囲に伝える、本人に告知する、本人が周囲に伝える、などによって「だからこうしたら楽になるよ」ということがいろいろできること。

 この部分はHIVの方が周囲に伝えるには「重い」部分になるかな。

 またこれはHIVも発達障害も同じことになるかもしれないけど、
「診断名は相手を排除するためにあるのではありません。適切な対応を探すためにあるのです」
も言うな。

posted by kingstone at 13:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・記事・番組など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

阿部彩 (「調べる」論 木村俊介著より)





「調べる」論 木村俊介著

阿部彩

リンクを貼った「貧困統計ホームページ」のプロフィールより

マサチューセッツ工科大学卒。
タフツ大学フレッチャー外交法律大学院修士・博士号取得。
国際連合
海外経済協力基金
1999年より国立社会保障・人口問題研究所に勤務。
2010年より社会保障応用分析部長。
2015年4月より首都大学東京 都市教養学部 人文・社会系 社会学コース 社会福祉学

専門は、貧困、社会的排除、社会保障、生活保護。
社会保障審議会生活保護基準部会委員(2011~)
男女共同参画会議環境・影響評価委員会(2009~2011)など。

著書
『子どもの貧困ー日本の不公平を考える』(岩波新書、2008年)


『弱者の居場所がない社会』(講談社現代新書、2011年)


『子どもの貧困U−解決策を考える』(岩波新書、2014年)


『生活保護の経済分析』(共著、東京大学出版会、2008年)にて日経経済図書文化賞受賞。



 高校時代から父の仕事の都合でアメリカに行き、MITでエンジニアリングを学ぶ。
 ソフトエンジニアとして働いていたが、
「ゆくゆくは日本人として世界のためになる仕事をしたい」
と思い、また

「特に個人的に差別を受けたとか、そういうことはなかったんです。ただ、アメリカはいろんな人種の「るつぽ」として聞かれた国ではあるけれど、それぞれのコミュニティどうしは交わることがあまりなく、また基本的には生きていく上で、個人主義的な考え方がしみついている。何かこう、私にとっては、老後を過ごしたくない国といった印象がありました。」


と思いはったのね。

 なるほどね、「それぞれのコミュニティどうしは交わることがあまりない」か・・・

 タフツ大学フレッチャースクールで国際関係学を学びはった。

 で、海外経済協力基金(要するにJICAで、ODAをするわけやな)に勤めていた時やっていたのは

「日本のODAプロジェクトによる現地の社会や環境に対する影響をチェックする仕事」

「援助にかかわらず大きな開発プロジェクトは、社会的な影響を冷静に考慮する必要があります。いくら開発が必要だからと言っても、ある地域に新しく大きな建物を建てたことで、従来から建設地にいた居住者たちを路頭に迷わせてはならない。
 彼らが住んでいた場所を機械的にどこかに移すだけでは、生計が成り立ちませんから、彼らが何がしかの生計を立てる手段を考える。彼らへの経済的な援助も含めて進めていくのが、途上国へのODAによる援助なのです」


 ところが日本に戻って来た時に阿部さんが見たものは、新宿駅の地下に動く歩道を作るためにそこに居たホームレスさんたちを排除する様子。今までの阿部さんの仕事のま逆のことを「日本」がやっている。

 それで日本の貧困について調べ始めたのだが、当時、日本政府の社会政策には「貧困」も「ホームレス」という単語も載っていなかった。

「そのような、貧困を「ないこと」にしたい人たちと闘う上で、私かやりたかったことは何か。わかりやすいかたちで、一般市民の方々に問題を提示することです。そのために、数字や表、グラフなどによる国内の貧困に関する客観的なデータを作り続けました。
 当時も、たとえば新聞記者による貧困のレポートなどは世に出てはいました。あるいは福祉関係者による報告がテレビ番組に流れることもあった。ルポやドキュメンタリーなどでよくある、後姿の写真で「Aさん」が出てくるといった個別の紹介です。
 もちろん、そうした具体的なストーリーを集めることも重要なのですが、社会的に無視できない規模で起きている現実を伝えるには、それだけでは説得力がないんですね。一つずつの事例は非常にかわいそうなものであるとしても、それだけでは、稀なケースなのか、一般的な出来事なのかがわからない。
 だから、私は自分にやれることとしてデータを作ることにしたんです。たいていの先進国でも、統計局か何か国の公式なデータとして貧困統計があるものですが、日本は一九六〇年代以降から、公的な貧困率も発表されていなかった。相対的貧困率というのが公表されるようになったのも、民主党政権になってからですので、つい最近なんです。
 で、私は個別のストーリーを調べるというよりは、エンジニア出身なので、ある程度は数字を扱えるという特徴を活かし、とにかく計算して表やデータにまとめ続けた。
 まだ、統計がなかったのにどうやったか? すでに公表されている人口や収入などの国内統計をもとにすれば、そのうちで貧困と言える人がどのぐらいなのかといったデータは誰でも計算できるんです。誰も作ろうとしていなかったから、やりはじめたというだけです」


 なるほど。
 エピソードでなく、統計で語る、ってやつね。

「私は政府系の研究所(国立社会保障・人口問題研究所に所属)で仕事をしているので、ある観点からは、政府側にいる人とも言えるわけです。研究の傍らでは政府に提言も行っていますが、それは特別なことでも何でもないんですよ。政府側にいない人こそができることがかなりあるというのも痛感してきました。正直な実感で言うなら、私の研究なり提言なりで政府を変えようとするのよりも、世論に大きな動きが巻き起こった時のほうが状況はサッと動く」

医療とお金(21)国保料などを滞納したらどうなる、どうする(yomiDr.)

 こちらの記事の下の方に書かれている「健康保険証を取り上げられた子どもたち」の問題は、1つの新聞が詳細に報道したことで、大きな動きができ、その年のうちに法律が改正された。

 
posted by kingstone at 07:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・記事・番組など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

1月1日(金曜日) 世をむさぼらざらんぞ、いみじかるべき(徒然草)



 おはようございます。

 天気予報は晴時々曇。
 最高気温11℃。
 おだやかな日和になりそうです。


原文『徒然草』全巻より

・ 第十八段

 人は己をつゞまやかにし、奢(おご)りを退けて、財(たから)を有(も)たず、世を貪(むさぼ)らざらんぞ、いみじかるべき。昔より、賢き人の富めるは稀なり。

 唐土(もろこし)に許由(きょゆう)といひつる人は、更に身に隨へる貯へもなくて、水をも手して捧げて飮みけるを見て、なりひさご(瓢)といふ物を人の得させたりければ、ある時、木の枝にかけたりければ、風に吹かれて鳴りけるを、かしかましとて捨てつ。また手に掬(むす)びてぞ水も飮みける。いかばかり心の中(うち)涼しかりけん。孫晨(そんしん)は冬の月に衾(ふすま)なくて、藁一束(わらひとつかね)ありけるを、夕にはこれに臥し、朝にはをさめけり。

 唐土の人は、これをいみじと思へばこそ、記しとゞめて世にも傳へけめ、これらの人は、語りも傳ふべからず。



「人は自分をつつましくし、贅沢をせずに、財宝を持たず、利権を追い求めないのが、すばらしいんだよ」
とかいう意味かな。

 ほんとね、むさぼるとね、いろんな意味で「おなかをこわす」からね。

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2015年12月31日のつぶやき
























































































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