「調べる」論 木村俊介著
はじめに
「多くの世界の調査の話を聞いて興味深かったのは、語りに落ち着きのない人が多かったことだ。自信がなさそうというわけでもない。単にせわしなく揺れ動いていて「偉そう」ではないのだ。だから調査で予測を越えた発見もできたのだろう」
これって、要するにADHDな人(診断は受けていないにしても)が多かった、ってことじゃね?
ある心臓外科医から聞いた言葉
「留学から帰ってくる頃、ドイツの恩師に、ぼくは言葉をくださいと言ってノートを出したことがありました。すると先生が書いてくれたのはドイツ語で『人に頼るな』」
(中略)
「帰国後、これまでの定番の手術とはちがう新しい手術を開発するようになってわかったのですが、前に人のいないはじめての場所に入りこむと、そのうちに『問いも答えもない世界に自分はいるんだ』と気づきます。そこではすべてがはじめてのことであって『わかっている人間』なんていません。だから自分で決断をして自分で自分の問いに答えるしかない、そのことは自分の立場が変わってわかりました」