おはようございます。
曇りです。
かくとだにえやは伊吹のさしも草 さしも知らじな燃ゆる思ひを わからない言葉がいっぱい出てくる・・・
学研全訳古語辞典
「
かくとだに」
出典百人一首
「かくとだにえやはいぶきのさしも草(ぐさ)さしも知らじな燃ゆる思ひを」
出典後拾遺集 恋一・藤原実方(ふぢはらのさねかた)
[訳] こんなにあなたに恋しているということだけでも言えましょうか。
(いや、とても言えません。)だから、伊吹山(いぶきやま)の
さしも草のように燃えている私の思いがそれほどとは、あなたは
おわかりにはならないでしょうね。
鑑賞「さしも草」は蓬(よもぎ)の異称。葉を干して、もぐさにする。
伊吹・伊吹山はその名産地で、「いぶきのさしも草」は同音の
「然さしも」を導く序詞(じよことば)。「いぶき」には「言ふ」
と「伊吹」とをかけている。また、「思ひ」の「ひ」には「火」
をかけている。
なんかいろいろ答えが出てしまっている・・・
「かく」で「このように」かな?
「
だに」副助詞
《接続》体言、活用語の連体形、助詞などに付く。
@〔最小限の限度〕せめて…だけでも。せめて…なりとも。
▽命令・願望・意志などの表現を伴って。
出典竹取物語 かぐや姫の昇天
「昇らむをだに見送り給(たま)へ」
[訳] せめて昇天していこうとするのだけでもお見送りください。
A〔ある事物・状態を取り立てて強調し、他を当然のこととして暗示、
または類推させる〕…だって。…でさえ。…すら。
▽下に打消の語を伴って。
出典枕草子 木の花は
「梨(なし)の花、よにすさまじきものにして、近うもてなさず、
はかなき文(ふみ)つけなどだにせず」
[訳] 梨の花は、まったくおもしろみのないものとして、身近には
取り扱わず、ちょっとした手紙を結びつけることなどさえしない。
参考Aの「…さえ」の意味は、上代は「すら」が、中古は「だに」が、
中世は「さへ」が表す。⇒さへ
え−や分類連語
…か。どうして…か。…できようか。▽疑問・反語の意を表す。
出典源氏物語 帚木
「えや罷(まか)り下(お)りあへざらむ」
[訳] まだ下がりきれないでいるのだろうか。
なりたち副詞「え」+係助詞「や」
あかん、途中やけど、めちゃ眠くなった・・・
起きた。
さ−しも副詞
@あんなにも。そんなにも。それほど。
出典方丈記
「人の営み、みな愚かなる中に、さしも危(あや)ふき京中
(きやうちゆう)の家を造るとて、宝を費やし、心を悩ますことは」
[訳] 人間のやることがすべてばかげている中で、あんなにも
危険な都の中の家を建てるといって、財産を浪費し、
神経をすりへらすことは。
A〔下に打消・反語の表現を伴って〕それほどには。そのようには。
そうとばかり。たいして。
出典源氏物語 玉鬘
「筑紫人(つくしびと)は三日籠(こも)らむと心ざし給(たま)
へり。右近(うこん)はさしも思はざりけれど」
[訳] 筑紫の人は(寺に)三日籠ろうとお決めになっていた。
(侍女の)右近はそれほどには思わなかったけれど。
◆副詞「さ」に、副助詞「しも」が付いて一語化したもの。
解釈
「このようにあなたへの燃えるような思いがあるのに、伊吹山のさしも草(当時もお灸にしたのかな)じゃないけど、そんなにも知られないってことがあるだろうか(いやない)」
もずらいとさんのコメント
解釈が微妙に違っていますね。
かくとだにえやは伊吹のさしも草 さしも知らじな燃ゆる思ひを
かくとだに → 「かく(と)」は「かくかくしかじか」のように「このように」と言う意味で「だに」は「〜というのに」ですが,「かくとだに」となると「こんなにあなたのことを恋しているのに」となります。
えやは → 可能の福祉「え」+反語の係助詞「やは」で続く文を否定しています。
伊吹の → ここは気づかなかったようですね。地名の「伊吹」と「言ふ」の掛詞です。なので「えやはいふ」で「言うことができない」です。
さしも草 → もぐさのことですが次の「さしも」の序詞であり,意味はありません。
さしも → 「さしもの君でも」なんて今でも使いますが「そんなにすごい」「それほど」という意味です。
知らじな → これは簡単ですね。「知らない(だろう)な」
燃ゆる思ひを → 「燃える(恋の)思いを」ですが「思ひ」の「ひ」は「火」と掛詞になっています。
ということで「こんなに恋しているのに口に出して言うことができない。伊吹山のさしも草のようにそんなにまでとは思っていないでしょう,私のあなたへの恋心を」となります。
平安の恋歌ですので技巧がちりばめられている方が女性の心をつかんだのです。
藤原実方は清少納言と恋愛関係にあったとも言われています。左遷され陸奥で没しましたが,雀になって宮中に現れたという話もあります。もずらいとさん、どうもです。
>地名の「伊吹」と「言ふ」の掛詞です
全然気づいてませんでした。
で
>言うことができない
か。なるほどな。
>さしも草 → もぐさのことですが次の
>「さしも」の序詞であり,意味はありません
う〜〜ん。
技巧ついでに、例えば当時、モグサが伊吹の名産で、
「さすが、この伊吹のさしも草、熱さがほどよくってよく効きますねえ」
なんて話があったことを下敷きにしてる、というようなことは無いかなあ・・・
(あったら面白いと思って・・・)
>藤原実方は清少納言と恋愛関係にあったとも言われています
そういや、今日は、人物を調べる時間がなくてそのままでした。
今から調べよう。
藤原実方(生年不詳ー999年)
平安時代中期の貴族・歌人。
左大臣・藤原師尹の孫、侍従・藤原定時の子。
中古三十六歌仙の一人。
没時の年齢は40歳ほどだったという。(ってことは、960年くらいの生まれか)
(で、これは左遷されて陸奥に行かされてからの話)
995年に一条天皇の面前で藤原行成と歌について口論になり、
怒った実方が行成の冠を奪って投げ捨てるという事件が発生する。
これが原因で天皇の怒りを買い、「歌枕を見てまいれ」と命じられ、
実方は陸奥守に左遷され現地に下向。
(おお逸話のところに)
風流才子としての説話が残り、清少納言と交際関係があったとも
伝えられる。他にも20人以上の女性との交際があったと言われ、
『源氏物語』の主人公・光源氏のモデルの一人とされることもある。
(もてたんやね)