曇りです。
なぜだ?これは保護者への我々からの贈り物なのだ
2000年以前、少なくとも日本の私の周囲では「『自閉症』と言ってはいけない、書いてはいけない」という人がかなりの割合でいました。何か「診断名」ではなく「忌み言葉」であるかのようでした。そしてそれは医者や高名な大学教授などでもそういう意見の人はいっぱいいました。(実際に某地域の特別支援教育新担任者研修で有名大学の有名教授が言っていた。ちなみにこの超有名教授、今では名前はまったく聞かなくなりました。そらそうやろと思います)
また私が養護学校の児童・生徒について、同僚に「あの子、自閉症と、ちゃうか?」と尋ねたら自閉症児の教育について大学で内地留学をしてきたばかりの先生が「何を言うの!知的に低いお子さんは自閉症と同じような行動をするだけ!(だから「自閉症」なんて言ってはいけない、というニュアンスで)」と私を叱るようにおっしゃいました。
ちなみにその「知的障害養護学校」で100人ほどの児童生徒のうち、自閉症の診断を受けていたお子さんは、1桁のしかも少ない方じゃなかったかな・・・また教師もどの子が自閉症かなんて、内地留学で最新の勉強をしてきた人にもわかっていませんでした。
そういう風潮の中にいた私が、1999年の夏に、ジャック・ウォール(髭のジャック)のTEACCH5日間セミナーに参加したわけです。そしてその時、ジャックは連絡帳についてこう言いました。
ジャック「連絡帳には1日には必ず1度は自閉症という言葉を使うように。
これこれのできごとがありました。これは自閉症のかくかくの
特徴から来ていて、そこで私がこうしたらこうなりました、
というふうに」
kingstone「どへええ、毎日!!保護者に対してきつくないですか」
ジャック「なぜだ?これは保護者への我々からの贈り物なのだ」
今でも、私が連絡帳を書く時、こういうふうにはできていません。
しかし
「これこれのできごとがありました。そこで私がこうしたらこうなりました」
は書くことが多いです。
今の職場でも、毎日いろんなことが起こります。で、それを視覚支援などで解決して、それを連絡帳に書くわけです。
そういや学校、幼稚園、保育園などで、「これこれのできごとがありました。(私たち教師や保育士は困っています。家でちゃんとしつけて下さい、というニュアンスで)」と報告する例をやまほど聞きます。私は教育委員会や特別支援教育担当者は何をやってんだ、と思います。
元エントリ
サポートペーパー4(「自閉症」から始めるか)
なお上記のエントリは「周囲の人に子どものことを知ってもらうために書く、サポートペーパーやサポートブックの最初を「この子は自閉症です」というところから書くかどうか、というやりとりです。こちらにまとめたエントリがあります。
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