特殊教育学会に出した実践報告(?)とポスター発表の内容を、少し加筆もしてエントリにします。
今日は最初に報告したもの。
ーーーーー
実践報告
放課後等デイサービスでの職員研修のシステム(目的) 2012 年 4 月の児童福祉法一部改正により(この部分、特殊教育学会に出てるのは2014年と間違ってる・・・いきなり1行目からの間違い・・・^^;)、多くの「放課後等デイサービス」事業所が発足した。
しかし、そこで働く職員は、多くの場合、今まで自閉症スペクト ラム・ ADHD ・学習障害などの障害のある子どもたちと、少なくとも意識して関わったことのない人がほとんどである。
また、現時点で、多くの人がそれら診断名を聞いたり見たりしたことはあっても、きちんと学ぶ機会は無かったと思われる。
そういう中で、初めて来られた職員にも即戦力になって頂き、楽しく働いて頂くための職員研修のシステムを 作ることが必要になった。
合わせてそのために必要な環境設定についても言及したい。
(方法) 株式会社ソワサポート( NPO 法人時代を含む)で実際に行った方法を報告する。
なお、2013 年1月より試 行錯誤して来たが、現在とりあえず落ち着いている方式 を書く。
1)新任者には、新任者研修を週 1 回 1 時間、計 8 回受 けて頂く。
※リンクはレジメと資料のPDFに貼ってます
項目
第1回「診断名の一般的なこと」 第2回「コミュニケーション」 第3回「自立課題学習」 第4回「問題行動(?)とその解決」 第5回「虐待について」 (副題・個別の支援計画を立てる前に)
第6回「個別の支援計画」 第7回「事例報告」
第8回「 ICF と支援グッズ」 ※第7回以外でも随時ソワサポートでの事例を
解説する(動画をつける場合も多い)
※並行して実際に働いて頂く。
(これ以外にも、最初に働いて頂けると決まった時に、A4ファイルと
「記録の書き方」「
なぜ記録をとるか」「研修の流れ」
「
チームで「感動(そしておもしろさ)」を探す旅に出ましょう」
を配ってる)
2)新任者が、「こべつ(個別学習)」を担当する場合は、事前に過去の
動画をお見せし、注意点を伝え、その上で一度「教材」を一緒に用意する。
(しかし大丈夫そうな場合はやんないこともあります)
なお「しごと(自立課題学習)」を担当する場合 もこのようにする場合もある。
3)現場で仕事をしながらの OJT どのように体を使えばいいのか、
どのような教材を用意するか、どのように声をかけるか(かけな
いか)などを現場で指導する。
4)週1回金曜日午前 11 時より 1 時間の座学。
※参加は自由
5)月1回、事業所単位のミィーティング。
このさい、指導中の様子を動画で紹介しつつ話し合うこともある。
6)随時スタッフから報告される課題を共有し、現場で解決する。
7)児童・生徒にはもちろん、スタッフにもわかりやすいよう
「掲示」「スケジュール」「部屋の構造」 「具体的な物を使ったシステム」
などを整える。
(結果) 自閉症スペクトラム・ ADHD・学習障害などの障害のある子どもたちは、その特性ゆえにさまざまな「トラ ブル」を引き起こすこともある。
しかし、ソワサポートに通っている時間は、家庭・学校などから得られる情報よりもはるかにトラブルが少ない。
またスタッフも楽に、楽しく働いて下さっているようである。
しかし、新任研修中に「これは合わない」と感じて、 来られなくなるスタッフも少数ではあるがおられた。
(考察) ソワサポートで働くまでに、自閉症スペクトラム・ADHD ・学習障害などについて知らなかった方は、働くにあたって様々な不安をお持ちである。
しかし、新任者研修やその後の対応によって、子どもたちを徐々に理解していき、不安少なく働くことが可能になってきた、と考えられる。
(課題) ソワサポートの放課後等デイサービス事業が発足し た 2012 年 10 月には 1 か所であった事業所は、現在
4 か所に増え(2014年11月から5ヶ所になる予定)、児童発達支援事業への通所児も増えて来た。
また 6 月より新たに相談支援事業も始める。(もう始まってます)
その中で、新しいスタッフやベテランスタッフが、 安心して楽しく働けるために研修とはどのようなもの か、さらに追求が必要である。
(文献)「自閉症の療育者」 エリック・ショプラー、佐々木正美監修 1990
「発達障害児者の問題行動 その理解と対応マニュア ル」志賀利一著 2000