exciteニュースですが、元は「NEWSポストセブン 2013年6月9日 07時00分 (07時33分更新)の記事です。
他のメディアでも
「東京都、障害者施設を虐待で処分 1年間の新規受け入れ禁止 」(日本系税新聞)
2013/10/1 1:24
「障害者虐待:西東京の施設を厳格処分へ」(毎日jp)
毎日新聞 2013年09月30日 07時12分(最終更新 09月30日 09時08分)
などが報道されてます。
一番くわしいexciteの記事で見ていきます。
東京都西東京市の住宅地にある2000年に設立された障がい者支援施設「社会福祉法人田無の会 たんぽぽ」。ここには20代から70代まで50名ほどの知的障がい者が暮らし、およそ40名の職員がサポートする。
20代から70代まで・・・まあこの世代、少なくとも30代以上は「何も適切な対応をしてこられなかった世代」じゃないかな。
この施設で隠蔽された日常的な虐待について、ある調査報告書が作成された。
この施設の職員である井上宏さん(仮名)は、出勤初日から「異様な雰囲気」を感じたと振り返る。
「利用者を『おい、○○』と呼んだり、『ふざけるな!』などの暴言を吐く職員がいて驚きました。水虫薬や目薬をつけてもらえない利用者も多く、医療上のケアが充分にされていなかった。これまで働いた他の施設とは雰囲気がまったく違っていて底知れない不安を感じました」
なるほど。(しかし、じゃあ「井上宏さん」が「どうしたらいい」ということを知ってたかどうかは別問題だけど。
施設内に怒声が響いた。2階エレベーター横のスペースで横たわる利用者の上に、A職員が馬乗りになって顔面を何発も殴り続けていたのだ。無抵抗の利用者は一発殴られるごとに後頭部を床に打ち付け、ゴツッ、ゴツッという鈍い音が聞こえた。ちょうど昼食時でまわりに何人かの職員がいたが、誰も暴行を止めなかったという。
「後で聞いたところ、最初に利用者がA職員の手を叩いたようですが、障がい者の行為に暴力でお返しするのは、施設職員とはいえません」(井上さん)
もちろん馬乗りになってる職員も「あほ」ですが、それに対して「障がい者の行為に暴力でお返しするのは、施設職員とはいえません」などとコメントする「井上宏さん」にもものすごく違和感を感じてしまう。そんな言い方をされることで、たぶん多くの支援者が傷つき倒れてきたに違いない、と思ってしまうから。
これは「最初に利用者がA職員の手を叩いた」その前の状況をよく観察して、どういう条件でそれが起こるのかを調べる。そしてその利用者さんには「何がわかっているのか」「どうしたら伝えられるのか」「表現コミュニケーションをどう身につけてもらうか」そこからしか解決策は浮かばないものなはずです。
ところが、報告書によると、この日夕方の申し送りでA職員の暴力行為は報告されなかった。それどころか、ある職員がA職員の暴行を訴えると、施設幹部は「げんこつで殴っているんじゃないから、いいじゃないか」「悪気があるわけではない」と事実をねじ曲げ、問題にすらしなかったという。
私にはこの文章がわかりません。なぜって、ここまでの記事に「げんこつで殴った」「悪気があって叩いた」とはひとことも書かれていません。なのにこの記者は「事実をねじ曲げ」と書いている。もちろん文にしなかった「げんこつで殴った」事実や「悪気があって叩いた」事実(しかし「悪気がある」「悪気がない」ってどうやって確認するんだろう???)があったのかもしれませんが、文になってないのは確かなので、この文章は不適切だと思います。
私が昔勤務した知的障害養護学校も「主たる指導手段」としては「威嚇と暴力」だったわけですが、それを使っていた人たち「悪気があった」わけではないと思います。それどころか「愛情豊か」で「仕事熱心」で「情熱的」で「この子をなんとかしてやりたい」という「善意の気持ち」だったのじゃないかと思います。そういう先生方の何人かは出世しておられますから、それも傍証になると思います。
ただし、その先生方みなさん障害特性に対する知識や、そこから導かれる対処法をご存知なかったことは確かです。「たんぽぽ」の職員さんもそうだったのでしょう。また「施設幹部」もご存知なかったのでしょう。
報告書はこのケースを「身体的虐待」と認定し、さらに「暴行に他ならない」と断じた上で、施設の隠蔽姿勢を厳しく批判する。
<法人としては虐待の事実を認定する機会があり、これに対する方策を行なうべきであったにもかかわらず、積極的な対策を怠り、虐待を継続させたものである>(<>内は調査報告書より。以下同)
まあこれは妥当なところでしょう。
実際、別の職員は「虐待は継続的、日常的に行われていた」と証言する。
「狙われるのは、障がいのため言葉をあまり発せられないかたがたです。利用者が宝物にしているコインをわざと隠したり、部屋を施錠して入室できなくし、慌てる利用者を笑って眺めるといった陰湿な虐待が横行していました。虐待でストレスを発散しているようでした」
「障がいのため言葉をあまり発せられないかたがたです」知的に重いタイプの方ですね。自閉症であれ、それ以外の方であれ。
そして後半の「慌てる利用者を笑って眺める」だって、職員さん、それこそ「場をなごませよう」と思ってやっていたのかもしれない。そういうことをやる方は世の中にはたくさんいます。例えば
野洲養護学校教職員4人に対する停職処分について(見解)
あるいは
暖かい心?冷たい心?
私は「虐待」にしろ「人に嫌なことをして、あるいは困らせて笑う」ってのにしろ、ほんと人間、すぐそっちへいっちゃうもんなんだろう、と思っています。で、それを「人を叩いてはいけない」「虐待してはいけない」とか言うのは簡単だ。しかしそれですむならとっくにそんなもん無くなっています。
例えば1992年に書かれた「川を渡る」にしても施設内あるいはコミュニティでの問題として
・虐待、放置、向精神薬の投与
が大きな問題になることが書かれています。でそんな環境であれば職員も楽しくないし、夢ももてないから
・「職員の確保と募集」の危機
が大きな問題になる。(まあこれには賃金の問題も大きいけど)
じゃあその傾向を「発現させないためにはどうしたらいいのか」「発現していない施設やコミュニティはどこが違うのか」そこが大事になるわけで。
結局は「お互いうまくコミュニケーションできる」(そのためにはスケジュールとか、場やイベントが見てわかるようになってたり、表現手段だって特性に合わせたものが必要になる)それにつきます。
そこの研修をどうやってたのか??そして環境整備をどうやってやってたのか?
なお、「では、お前はその知的障害養護学校で何をしたのか?」というのは当然の疑問としてお持ちになるでしょう。
私は日々の実践(授業)をしつつ、こんなことをしていました。
自主研修会
こういうところで「どう考え、どうしたらいいか」をお伝えしつつ
自尊心を大切に
ある生徒のプール事件について
プール事件の翌日
また、こんなことも。
プール外伝
こんなこともありました。
自閉症の生徒を押さえ込んだ話
ここに出てくる若者Dさん。あとで自主研修会にも来て下さり
自主研修会(特別支援教育はやりがいがある、という話)
私は、自分でできる限りのことはやったと思うのですが・・・
でも神様みたいな指導主事に「kingstoneの言うことは嘘ばっかりや」とも言われてたし、地域の指導的な大学教授にはよく思われてませんでしたけどね。(その人たちに養護学校の実態を報告する人がいなかったんだろうと思いますが・・・)
たんぽぽのケースでも昨年11月、東京都に同施設での虐待を告げる公益通報(内部告発)があり、都は施設に対し、第三者委員会を設けて虐待行為を調査することを求めた。
大学教授や弁護士で構成された第三者委員会は施設の職員や利用者家族らの聞き取りを進め、5月下旬に調査報告書をまとめた。
報告書は聞き取りで浮かび上がった職員による42の“不適切行為”のうち14を虐待行為と認定。こうまとめた。 <虐待は小さな出来事を的確にとらえていくことが今後の虐待防止にとって不可欠であり、逆に、小さな出来事を虐待としてとらえず、容認した時点で、障害者の権利侵害が繰り返されることを認識する必要がある>
ってか「小さな出来事」があったら、それをどう予防していけるかを考えない限り、「そんなことをやっちゃいけません」ではどうにもならないことなんだよ。
研修にかける「時間・お金が無い」と言われるかもしれません。あるいは「研修講師として適当な人がいない」ということになるかもしれません。そこは「幹部」や「理事長」が考えることでしょう。東京だ。なんぼでも適当な人がいるはずだよね。(だろ??)
ソワでは、もちろん以前から「そんなことやっちゃいけない」は徹底していたと思うけど、私が来てから障害特性をお伝えし、具体的な対応方法をお伝えし、で、実はそのトラブルの解決がたいへん楽しく面白いことだということをお伝えして来たので、なんかトラブルの解決もみなさん楽しんでやって下さってるような気がします。
具体的な考え方、具体的な対応方法が無い限り、いくら「そんなことやっちゃだめ」と言っても、思わず出てしまう手を止めさせることはできません。そういう状況にならないようにしていかないと。
でトラブルすら楽しめる職場だったら「働きたい」と思う人も増えてくれるわけで、好循環が生まれてるような気がします。(あくまでも気がするだけだけどね)
でね・・・たぶんソワサポートで強引に「させ」たり、子どもの手をびゅっと引っ張ったり、とか一番えげつないことをしてるのは私だと思う(笑)もちろん「叩く」とかはやってないけどね。
ラベル:虐待