「40歳以上はもういらない」は田原総一朗さんの対談集。
まあ刺激的な題ですが、別に題名通りではなくて、若い人たちと対談しただけの話。
第2章 「いい仕組み」を行政にパクらせる 駒崎弘樹さんとの対談。
田原 事業を始めるにあたっては、病児保育に対するニーーズも当然
調べたわけですよね。
駒崎 はい。そこは「ビジネスという剣」でもって、市場をどんどん
切っていきました。働く親御さんが困るものは何か、マーケテ
ィング調査を行なったのです。そうしたら上位に病児保育がく
ることがわかった。
田原 この問題に対して、行政は何も対応していなかったのですか。
駒崎 まったく取り組んでいなかったわけではありません。たとえば、
街の医院のなかにある小さな部屋で預かる、といった仕組みは
あった。なんだ、やっているんだと僕も思いましたね。でも、
そうした施設の数は、調べてみると全国で600くらい。全国の
保育園の数が23000くらいですので、2%程度でしかなかった
のです。
田原 もともと病児保育のニーズは高かったのに、なぜそんなに少な
かったのでしょうか。
駒崎 そこには「補助金のジレンマ」がありました。当時は、一施設
当たり年間約660万円の補助金が出ていた。しかし補助金を受
け取ると、「面積はこれくらいを確保しないといけない≒保育
士と看護師を置かなければならない」など、いろいろな規則に
縛られてしまうことになる。極めつきは、サービスの価格が
「1日1人2000円」と固定されることでした。保育士や看護
師の時給が1000〜2000円だとすれば、1時間で飛んでしまう
額です。これに家賃やその他の経費を考えると、約660万円の
補助金では経営は成り立たなかった。
田原 完全に赤字になってしまうと。
駒崎 はい。全国の600ヵ所のうち、まさに9割が赤字だといわれて
いました。国は悪意でそうした補助金制度をつくったわけでは
ないのに、結果的にそうなってしまったことは、皮肉だといわ
ざるをえません。そこで補助金に頼らなくても成立する、新し
い仕組みをつくろうと考えたのです。
田原 その仕組みについて詳しく聞きたい。病児保育は熱とか風邪の
子どもだから、期間は2、3日。長くて一週間くらいですよね。
駒崎 そうですね。ただ、従来のような施設型にすると、家賃などの
経費がかかってしまう。だから、スタッフを子どもの家まで
派遣し、両親が帰宅するまで面倒をみるという"非施設型"の
サービスにしたのです。さらに、これまで普通だった「1日
当たりいくら」という価格体系を改め、子どもの年齢や発病
率に応じて「月会費」(平均は約6000円)を負担してもらう
方法を採用しました。そしてこのサービスを利用するときは、
月1回までは無料、2回目以降からは一時間で2000円の負担
という、掛け捨ての自動車保険のような仕組みにしたのです。
田原 スタッフの時給はいくらぐらいですか。
駒崎 時給900〜2000円くらい、平均では1000円を超えていますね。
田原 家政婦さんの時給はだいたい800円が相場だとされているから、
それより高いわけだ。 ?家政婦さんって時給800円が相場??もっと高いのかと思ってたけど。
私が無職の頃、求人広告でヘルパー2級での求人を探していたら、だいたい800円でしたけどね。
子どもが病気になった時、1時間で2000円とすると、往復の時間も含めフルタイムで働くと10時間、2万円が飛んで行くのか・・・それでも「利用したい」と思う人はたくさんいるんだろうな。で、駒崎さんはとにかく仕組みを作ったと。
なお、現在は年収300万円以下の1人親の場合、月会費を1000円にしているとのこと。で、この事業では補助金は一切受け取っていないそう。すごいよな。
「補助金のジレンマ」かあ・・・いろんなところにあるんだろうな。
なお、今日はまだ書かないけど、慎泰俊(シンテジュン)さんて方は、うまく補助金を使って、個室タイプの児童養護施設を作られてます。利用の仕方によってはうまく使える補助金もあるんだろうな。
posted by kingstone at 23:31|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
本・記事・番組など
|
|