一読・・・政治家ってたいへんだあ・・・
批判し、怒鳴り、握手し、協力し、調整し・・・
でもって、政治家って何か夢を持ってやりはると思うのだけど、(で、その夢は、お金を儲ける、であったり、えらくなりたい、であったりすることもあるし、それはそれでいい)野中さんの場合は一貫して「弱い立場の者を助けよう」であった感じはするな。
2001年、国を相手に全面勝訴したハンセン病訴訟の原告団に、官房長官時代の1998年夏に政府高官として初めて原告・弁護団に会い、「人権を蹂躙した歴史は承知しています」と国の責任を事実上認め、その後の根回しもあり、小泉政権の「控訴せず」という歴史的決断につながった、と魚住さんは書いてます。
野中さんは旧制中学卒業後、国鉄(現在のJR)に勤めます。応召の後、また国鉄に戻り、非常に活躍されたそう。どれだけ周囲の評価が高かったか、ということで魚住さんの書いてるのは1950年頃のエピソード。1943年に採用されているから応召を挟んで7年目。
当時の国鉄には主査や係長といった身分と別に、給与算定の基準となる一職から十職までの職階制があり、十職の上は課長補佐以上の指定職。1950年頃、野中は十職。一年先輩が八職で、二十年勤続の先輩が九職。旧制中学卒は18年以上、大卒でも9年以上たたないと十職になれない内規があった。
ということで内規を飛ばしてしまっていた、ということ。
当時の組織って年功序列だと思っていたけど、こういうこともあるんやなあ。
ところが野中さんのあっせんで国鉄にはいった、同郷の後輩が更衣室で
「野中さんは、大阪におれば飛ぶ鳥を落とす勢いでやっているけれども、園部へ帰れば部落の人だ」
と言っているのを聞いてしまいます。
で、苦しみぬいて1週間後に「ここはおれのおるところではない」と決心して、園部町議に立候補し、国鉄をやめます。(順番はこっち。つまり落選してたら国鉄にいつづけはったのかな?)これが1951年。
で1958年に町長に立候補し当選。33歳。
まずやったことがたまりにたまった(町の)飲食代金の精算。町幹部が料亭に入り浸って、350万の借金(町予算が3700万)を作っていたのを250万にまけてもらい即金で払った。
このようにして、1800万円の財政赤字を3年で解消。
しかし、当時だから荒っぽいこともしてはります。
豪雨被害で道路・橋が流された時、復旧工事の査定に来る建設省の役人を料亭で接待し、賭け麻雀をしてわざと20万円(当時の!!)くらい負けると、もくろみ道理の査定をしてくれる・・・(当時盟友だった矢田和男(仮名)氏の話)
すごい話やなあ・・・
ところで当然田中角栄氏の話も出てくるわけですが、「公営住宅」という考えを出したのは角栄氏だって。それまで官にしろ民にしろ「住宅は私有財産中の私有財産」という考えで、「公営」などという発想はどこにもなかったそう。
で、野中さんにしろ角栄氏にしろ、自民党でありばりばりの保守陣営ということなのだけど、実はある意味見事に社会主義的施策をしていたのではないか、というのはちらほら聞く意見ですが、この本の中でも
政策面で自社両党が接近する下地をつくったのは、1960年の安保闘争後に出現した池田内閣だろう。知日派のコロンビア大学政治学教授ジェラルド・L・カーティスは自著の『永田町政治の興亡』(2001年、新潮社刊)で次のように書いている。
「池田勇人内閣は、防衛予算を抑え外交でも『低姿勢』をとって、十年間の所得倍増計画に焦点を絞った。国民の于不ルギーを経済成長に集中させたのである。政府は高度経済成長を追求しながらも、所得格差を最小限にとどめるために、累進度の極めて高い所得税率を適用したり、農民を中心に各種の補助金を出すなどの所得移転政策を取り入れた。もし、戦後日本の経済成長がよく言われるように『奇跡』であったとするならば、それは急速に成長したことではなく、高い成長率とより平等な社会を同時に実現したことにある」
この傾向は一九七二年(昭和四十七年)の田中内閣の成立で一層強まっていく。 それから「強行採決」で「乱闘」の起こる時も自社でシナリオが書かれていたという話も出て来ます。野党が委員長席に殺到するシーンも、まず最初にバーッと走ってくる野党議員は「動議!」とか「委員長!」とか叫びながら真っ先かけて来るわけですが、実はその人は後からくる人から委員長を守る役割があるんだと・・・
WWEも真っ青やな。
しかし、野中さんが官房長官をしていた時代、テレビを見てると、ものすごく顔色が悪く見え、「もう亡くなるのではないか」と思うことがよくありました。
先日テレビの「時事放談」みたいな番組に出てはりましたが、年はとっておられたけど、なかなかお元気そうではありました。
posted by kingstone at 18:13|
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