孫正義の評伝。
佐野眞一さんの文、う〜〜ん、なんか「淡々」としてないところが嫌ではあるけど、でもよく取材されてるんじゃないか。
孫さんが佐賀県鳥栖の「朝鮮部落」の生まれで、雨が降ると豚の糞尿が浮かんでくるようなところに住んでいたとか、額には朝鮮人とバカにされ投げられた石の当たった傷があるとか、そんなことは知らなかった。(後の方で、生まれた時はすでにその部落とは違う家に住んでいた、という記述もある。しかしおばあさんがもともとの家を離れたがらなかったので、孫少年もそこによく行ってた、ということらしい)
久留米大附設に通っていはったから、ずっと「おぼっちゃん」で来てはったのかと思ったけれど、そうではなかったみたい。
なお、題名の「あんぽん」は通名の「安本(やすもと)」をバカにされて「あんぽん」と呼ばれるのを嫌っていた、という話から。「あんぽんたん」の意味やろな。
で、お父さん(サラ金・パチンコで成功した)やおじいさん(強制(?ここの解釈は分かれるかもだけど、まあいろいろな事情で仕向けられたのは確かだろう)徴用で日本に。戦後韓国に帰ったが、仕事がなく日本に密航)とか、家族間・親族間・日本人のあれこれとか、ほんと「血と骨」みたい。
で佐野さんが孫さんにインタビューをするときに「にあんちゃん」を持って行くくだりが出てくる。私もこの作品は「貧しさに負けず・・・」というような物語であることは知っていたけど、読んだことはなかった。実はこれは炭鉱で働いていた在日朝鮮人の父が事故で亡くなり・・・という話だったそう。で作者は「安本未子」つまり孫さんの元の通名と一緒。
なお、安本さんはその後、神戸に引越し高校を出られ、早稲田大学に進まれ、ライターとかされてたとのこと。こちらに詳しく出てます。
「にあんちゃん」安本末子を再読、 在日少女の日記
その中から1枚、写真を転載。

なお、日活で映画にもなってます。長門裕之・小沢昭一・殿山泰司なんかが出てます。
ラベル:本