※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2011年12月29日

知的障害男性押さえつけ死亡 施設職員4人に略式命令 という報道について

msn.産経ニュースから
2011.12.29 02:03

知的障害男性押さえつけ死亡 施設職員4人に略式命令 東大阪

 転載します。

 東大阪市東鴻池町の障害者福祉施設「クリエイティブハウスパンジー」で平成21年11月、暴れる知的障害者の男性=当時(22)=を押さえつけ、誤って死亡させたとして、東大阪区検は当時の職員4人を業務上過失致死罪で略式起訴し、東大阪簡裁が今月5日付で罰金70万〜50万円の略式命令を出していたことが28日分かった。起訴状によると、4人は21年11月8日午後0時半ごろ、興奮状態で暴れ続ける男性を作業室の布団の上にうつぶせに倒し、頭や背中などを押さえつけて窒息させ、搬送先の病院で死亡させたとしている。

 まず亡くなられた方のご冥福をお祈りします。
 
 記事にある通り事件は2年前、2009年11月のものです。

検索をかけたらこんな記事も。

障害男性拘束され死亡 東大阪の作業所職員4人略式起訴

「09年11月8日午後0時35分ごろ」とのことですね。夜中やな。

 おおもとの施設や法人のホームページがありますが、2007年で更新が止まっています。いろんな事情があったのでしょう。直リンクは貼りませんが、ホームページには大きく「自分で決める」と書かれています。また法人の理念などを読むとすごく一生懸命あれこれとやってはったことがわかります。

 「布団の上」ということを読めば、職員さんはいろいろな配慮をしていたと想像できます。

 まあ、この亡くなった方は自閉症と考えてまず間違いないでしょう。他の疾患の方でも暴れることはありますが「知的障害の男性」と書かれていますから。

 2009年で22歳の方と書かれていますから、だいたい1987年生まれ。1993年からたぶん2005年まで12年間学校に通っていたと考えられます。その間に何をどうしてもらっていたのかな・・・

高機能自閉症児を育てる 第1〜2章 高橋和子著
高機能自閉症児を育てる 第3〜5章 高橋和子著

に出てくるTさんと同じ世代になると思います。ですから出生後かなり後まで確定診断もつかず、いろいろたいへんな思いをしてこられたのじゃないかな。高橋さんの場合は探しに探して木島幼稚園とい稀有な幼稚園にTさんを入ることができたのですが。

 私は1996年に知的障害特別支援学校に赴任しましたが、当時、内地留学などして「専門的に」学んで来た人に「あのお子さんは自閉症だろうか?」と尋ねても「さあ??」と答えられるような時代でした。

 私自身は1997年から自閉症について学び始めます。なお、当時、公的研修で「役に立つ」ものはありませんでした。当時の研修と言えば教育委員会の講演会でも2時間ひたすら「指差しの意味」について語るようなものとかでした。

 ショプラー氏を招いて日本で初めて行われたTEACCHの東京セミナーは1989年です。私は1997年の終わりごろまではそんなことも知りませんでしたが。

 下のは1997年度の終わり頃か1998年度の終わり頃のエピソードです。

就学前施設で 

 これが「制度の整った」ある市の就学前施設の園長(施設長)さんの実態でした。こういう方がえらくなっていく形だったわけですね。だから、この死亡された方も(亡くなった施設は東大阪市だというだけで、育った所がどこかはわかりませんが)たぶん、あまり適切な対応は取られてこなかったのじゃないか、と思われます。

 それでも2000年頃からは随分と風向きが変わってきたのですが。実践障害児教育には何度も特集が組まれていました。そして視覚支援というか「写真を使ったスケジュール」とかは私の周囲では2002年頃から「常識」になっていきます。「TEACCHが大嫌い」という人でも取り入れるようになっていきます。そして「あえてTEACCHと言わず」取り入れるという感じかな。まあ、それ自体は自閉症の人に快適な環境になるならばどうでもいいとは言える。

 しかし、肝心要の「本人の意思はどんなだろう」(となると必然的に「選択」は入ってきます)がわかるような手立てをとることはどうなってるかな?で、本人の選択(まさに事件の起こった施設のスローガン「自分で決める」です)を有効にするためには、まず「周囲から本人にわかる手立て(カレンダーやスケジュールやその他その他)」が必要になります。それがあってこそ、本人が考え、判断し、選択することができるのですから。

 そして本人が表現できる手立てが必要になります。

 そして表現した時に、それが実現できる環境(学校であるとか教師など、周囲の人の「これをさせたい」という思いとは違っていても)が必要であったり、それが無理な場合は本人と交渉する手立てが必要になります。

 さて、それを(これは行かれていたかどうかわかりませんが)就学前施設時代、また当然行っていたであろう学校時代、探してもらっていただろうか?

 成人施設に比べて就学前施設・学校は圧倒的に人手があります。ちょっと過去のことになりますが、私が現役時代だと。

就学前施設  教職員1 児童4
特別支援学校 教職員1 児童・生徒3(法律上。また国立の学校などは厳しくこの通り)
       教職員1 児童・生徒2(いろいろと運用して地方の学校だとこうなっている)
       教職員1 児童・生徒1(規模の小さい学校ではこうなる。また大きな学校でも必要な場合こうすることも)
特別支援学級 教職員1 児童・生徒9(これは最大。たいていは1担任3くらいのことが多い)

成人施設    職員1 成人7

だったと思います。これが入所施設などの場合、夜は1対20というようなことも起こりえます。

 今回の記事の事件だと、夜中に1人の入所者に4人かかっていますね。ある意味よくそれだけ人手があったものだと思いますが。

   追記
     私、勘違いしていました。
     夜中の0時半だと思って、真夜中によく4人も人手があったものだ、
     と思っていたのですが、午後0時半と書いてあるので、正午頃の話
     なのですね・・・

 このように、就学前施設や学校では成人施設に比べ圧倒的に人手があるのです。

 だからこそ就学前施設や学校において「どうやったらこの人の意思がわかるのか」「どうやったらこの人は落ち着けるのか」「どうやったらこの人は(人手をかけなくても)活動に参加できるか」を探らないといけないわけです。人手があるからこそ「人手をかけない」方法を探れるのに、その人手を「それ無理ちゃう」という活動に参加「させる」ことに使ってしまってるのじゃないか、ってのはよく思いました。例えば下のエピソード。

成人施設から研修に来た指導員さんの感想(高度なことをやっておられますね)

 もし学校時代までにその人なりの手立てを見つけていれば、成人施設に進む時に「こうやったらうまく意思疎通できました」ということを伝えられるから、成人施設も随分楽になるはずなのです。もちろん「こんなことは無理でした」もこみでです。

 しかし、現在の就学前施設でもお子さんに視覚支援をして欲しいとお願いしても断られることがあります。もちろん必要なお子さん、必要でないお子さんいろんなお子さんがおられるでしょう。しかし私がお話をうかがう限り、緊急に必要なお子さんです。

 現在でも「えらい先生」が教師向けだか保護者向けだかの講演会で「カードなんかで決められたことなんかやるの嫌でしょう(だから絵カードなんか使うなというニュアンスで)」おっしゃることがあるようです。そんなところで「勉強」した教師や保護者がどう思うでしょう。もちろん「周囲が決めた」ようにだけやることなんて御免こうむります。しかし、それは本人の選択をどんどん取り入れていけばいいだけのことです。言うにことかいて「本人にわかるように伝える」ことまで否定してしまってはいけません。教師や保護者がすごい勘違いをしてしまうでしょう。

 私自身、体格のいい青年に出会った時にこんなことがありました。その青年とは初めて会います。「自閉症」という情報は入ってたかな?明確には入ってなかったかもしれません。しかし周囲の状況や、その青年の様子を見ていたらぱっと見て「自閉症」とわかる方でした。私はやはり心のなかに「まず人間(音声言語を含めた)挨拶やな」というのがありました。

 私は青年の70cmくらい前に立ち「ニコニコ」しながら音声言語で「こんにちは。kingstoneです」と挨拶しました。とたんに彼は私を襲い暴れ始めました。私は彼を抱きとめようとしましたがなすすべがありませんでした。かなりの出血を伴う怪我をしました。周囲にいた体格のいい職員さんが3〜4人がかりで彼を別の場所に連れて行き、とりあえず落ち着かせました。しかし最終的に彼が落ち着くまでには2時間くらいかかったと思います。

 振り返ってみると、私が声をかける前の時点で彼はかなり苛々していました。それまでの時間に「わからない」状況におかれていたと思います。その彼に私が最後の一押しをしてしまったのですね。

 もちろん人によって、状況によって、全ては変わってきますが、まず相手の方が自閉症とわかったら、そして苛々しているとわかったら、そうっと近づき(場合によっては近づかないほうがいい場合も多い)、で本人にわかる手段を探りつつあれこれしないといけないなあ、と身にしみました。

 その後、また青年と会う機会が何度かあったのですが、視覚支援しつつ、いろんな意思疎通しつつうまくお付き合いすることができました。

 「視覚支援を取り入れません」という就学前施設の職員さん、視覚支援を否定する「えらい先生」・・・いろいろ身にしみてないんちゃうかなあ。特に小さいお子さんだったらパニックになってもまだまだ力で抑えられるし、職員さんはあんまし被害受けへんしなあ・・・

 ほんま自閉症の方への支援に携わる方はちゃんとした知識・技術を持って欲しい。で「障害では人を見ません。みな人間なのですから」とか美しげなことは、まあしっかり勉強して、実践して、成果を出してから言って欲しい。



 
posted by kingstone at 19:29| Comment(3) | TrackBack(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

全国高校ラグビー28日の結果

 花園の28日の結果。


飯田(長野)20−18 高鍋(宮崎)

日本航空石川(石川)29−10 大阪朝鮮高(大阪第1)

仙台育英(宮城)50−12 コザ(沖縄)

富山第一(富山)29−21 貞光工(徳島)

浜松工(静岡)81−0 倉吉東(鳥取)

深谷(埼玉)78−7 関西(岡山)

清真学園(茨城)31−0 若狭東(福井)

春日丘(愛知)19−19 尾道(広島)(抽選で春日丘が2回戦へ)

磐城(福島)5−31 熊本西(熊本)

新潟工(新潟)7−7 関西学院(兵庫)(抽選で新潟工が2回戦へ)

秋田中央(秋田)19−34 長崎北陽台(長崎)

 日本航空石川対大阪朝鮮戦で。大阪朝鮮ゴール前のペナルティ。石川のトンガ人留学生がボールを持ち、プレイ開始。大阪朝鮮の選手が3人ほど塊でタックルに入る上を跳び越えてトライしてしまった。なんかすごい。
ラベル:ラグビー
posted by kingstone at 09:42| Comment(0) | TrackBack(0) | ラグビー・スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

12月29日(木曜日) 無一物中無尽蔵

 おはようございます。

 いい天気。柔らかい日差しが届いています。


無一物中無尽蔵 むいちもつ ちゅう むじんぞう

 私の考えたこと。 「無一物」は、「本来無一物」の時にもずらいとさんに教えて頂いたように「形ある物なぞひとつもない」で、その中に「無尽蔵」でもう数えきれないほどのものが(すべての、と言ってもいいかな)があるのだ。「無一物」は「空」とは違うだろうけど、なんか「空即是色」に似てるなあ。

 解説。 ひとつのかばんがあるとします。かばんの中のものをすべて取り出して空っぽにしたら、何でも入れられるようになります。「無一物中無尽蔵」とは、何も持たずにいたら、逆に何でも手に入っているのと同じということ。

 なんかちゃうような気がする。

posted by kingstone at 09:14| Comment(1) | TrackBack(0) | よしなしごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月28日のつぶやき

king1234stone / kingstone
龍馬伝第14話だったか?見た。勝海舟に出会い、咸臨丸に乗り込むところ。遠景の山、ぼかしてるんだけど、送電鉄塔が立ってたなあ。 at 12/28 23:58

king1234stone / kingstone
「暴行?:「教諭が児童に、校長隠す」同僚が証言 という報道について」グダグダです。で、いつも書いてることの繰り返しにしか過ぎません。 http://t.co/wIvMLZ2o               #特別支援教育 #自閉症 #アスペルガー #発達障害 #学習障害 #adhd at 12/28 22:12

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どう見てもブタじゃないでしょう・・・  RT @guriko_: このブタアイコンの人すごいねー http://t.co/0Rsbzywf at 12/28 16:12

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「「行きすぎた指導」奈良市教委、体罰と認めず」にコメントをつけて下さったぴよぴよさんはこの事件の保護者のお知り合いだとか。いろいろと目に浮かび、新しいエントリを書きたいけど、気力がまだわきません。 http://t.co/yeHTX9B1 #自閉症 #アスペルガー #発達障害 at 12/28 15:59

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それは・・・ww RT @kazzna: セクハラ講習受けてきた。帰り際にに講師の女性に呼び止められてこう言われた。「セクハラと言うのは何を言われたかではなく、誰に言われたかです。人によっては居るだけでセクハラになるので注意してください」って。どうしろと?なぜボクだけに言う? at 12/28 15:50

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全国高校ラグビーのページに今日の結果もう出てますね。 関学は7-7で抽選で敗れ、大阪朝鮮は日本航空石川に29-10で敗れてます。関西勢残念。 http://t.co/hu67dfu6 at 12/28 15:23

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未確認情報。全国高校ラグビー  新潟県立新潟工業高等学校 ー 関西学院高等部 は抽選で関学が敗れたとか・・・ at 12/28 15:20

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デイリー神戸・明石 紙が更新されました! http://t.co/Q8wBat1U at 12/28 12:28

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あかん。疲れてるわ。 at 12/28 11:35

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元旦は沖縄?  RT @mayefann: 雪国ともお別れ at 12/28 11:21

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さっきの「暴行?:「教諭が児童に、校長隠す」同僚が証言」という報道についてエントリを書こうと思ったけど、もういっぱいいろんなことが湧いてきて疲れちまった。コメントは後にしよう。 at 12/28 11:08

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「暴行?:「教諭が児童に、校長隠す」同僚が証言−−奈良・特別支援学級」これですね。この記事が出たために産経が後追いをしたとのことです。しかし・・・校長と職員間がうまくいってなかったことが推察されますね。 /毎日JP http://t.co/S0aZ4AuA at 12/28 10:42

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昨日の奈良の記事、1月の記事と12月の26日に出た記事、同じ事件だ、とコメントで教えてくださったかたがおられました。今から調べてみます。 at 12/28 10:36

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「12月28日(水曜日) 無事是貴人」ぶじこれきにん http://t.co/9Pag95a9 at 12/28 10:35

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おはようございます。いい天気(薄い白い雲は覆ってますが)暖かいのが嬉しい。 #天気 at 12/28 10:34
posted by kingstone at 00:01| Comment(0) | TrackBack(0) | よしなしごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月28日

暴行?:「教諭が児童に、校長隠す」同僚が証言 という報道について

 昨日のエントリ

「行きすぎた指導」奈良市教委、体罰と認めず という報道について

にぴよぴよさんがコメントをつけて下さいました。もともと毎日新聞が記事にし、産経が後追いをして書いたのだけど、産経は不正確である、と。あと、「自殺騒ぎ」事件の時と同じ事件とも教えて下さいました。エピソードはちょっと違うのですが、いろんな話に変わっているのかもしれません。

 毎日JPのサイトにこの記事がありました。

暴行?:「教諭が児童に、校長隠す」同僚が証言−−奈良・特別支援学級

 転載します。

 奈良市立小学校の特別支援学級で、元担任教諭が男児(12)に暴力を振るった疑いがあるにもかかわらず、校長(当時)が事実に触れない報告書を市教委に提出していたことが分かった。男児は顔をたたかれたり足を蹴られたりしたと、毎日新聞の取材で報告書の内容を知った現在の担任教諭が証言した。校長は報告書に「職員朝の会では、力をもって制する指導は慎むよう指示した」と記載したが、複数の教職員が指導の事実を否定している。

 目撃していた担任教諭によると、昨年5月10日の休み時間、当時5年生だった男児が女児にファイルを投げるなどしたため、元担任の男性教諭が腕をねじ上げ、教室から引っ張り出した。元担任が顔を突き出したので、男児が顔を払った。元担任は「たたいたな」と言って顔面を殴り、男児が足を蹴ると、左足で回し蹴りにして転倒させ、もみ合ったという。

 男児が帰宅して両親が知り、校長が関係者から事情を聴いて、昨年7月16日付で市教委に経緯などをまとめた報告書を提出した。しかし、顔を殴ったり回し蹴りをしたりしたとする部分はなく、「(男児は)左手で教諭の右ほほを1回たたいてきた。教諭は厳しく指導し移動させようとした。(男児が)右足で2回蹴ってきたので、教諭は制止しようとして、とっさに左足で右足を払った。不適切な指導があった」と記した。また、トラブルの翌日の職員朝の会で、「全教職員に、力をもって制するような指導は厳に慎むよう指示した」とも記載したが、複数の教職員は「指導はなかった」と指摘している。

 報告書を受け、市教委は「行き過ぎた指導はあった」としつつ、「体罰や暴力ではなかった」と結論付けた。

 担任は「報告書は事実を隠蔽(いんぺい)している」と憤り、男児の両親は「殴った教諭と当時の校長は謝罪してほしい。二度と起こらないよう、学校で何があったのかを考え、みんなで解決するのが理想だ」と訴えている。

 暴力を振るったとされる教諭は「もう終わってますので全部ノーコメント」とし、当時の校長は「退職して何も言えません」と話している。【上野宏人】


 私のコメント書きたいが、なんかこれ読むだけで疲れてきたので後ほど。

 ここから書くことは、この公開の情報と、私の体験と、そこからの妄想に基づいています。事実かどうかは保証しません。でもって、いつも私の書いてることの繰り返しにすぎません。また、私の妄想には「私怨」があり、まためちゃくちゃな「偏り」があります(笑)

 まず公的な報告書に

「(男児は)左手で教諭の右ほほを1回たたいてきた。教諭は厳しく指導し移動させようとした。(男児が)右足で2回蹴ってきたので、教諭は制止しようとして、とっさに左足で右足を払った。不適切な指導があった」

「厳しく指導し」ってわけわかんないですね。具体的な行為(音声を含む)を書いてもらわないと。「厳しい」「優しい」って、何をどうしたかはわかりません。はっきりわかるのは「左足で右足を払った」ことだけですね。

 で、それに対して校長がやったことは

「職員朝の会では、力をもって制する指導は慎むよう指示した」

と主張されているのですが、

複数の教職員が指導の事実を否定している。

とのことです。しかし、ここは校長先生の報告された通りと考えてみましょう。まず校長先生が「職員朝の会」などで、例えば事件が発覚した翌日などにこれを言うことは大切です。これを言わずに済ませば教職員が「力をもって制する」(しかし「制する」??はっきりと「どつく」「蹴る」と言えばいいのに)ことは当然許されると思ってしまいます。しかしこれを言うだけでいいわけではありません。その後、具体的に校長先生はどんな方策を取ったのかな?

 またリーダーとしての校長が「力をもって制する指導は慎むよう」と言うことは大事でありながら、言うだけであれば現場の職員は「現場知らないくせに」と反発したり「そんならどないせい言うんじゃあ」と思ったり、「校長の言うことは単なる建前。後で誰かに責められないように一応言ってるだけ」とか思ってしまう可能性もあります。

 この事件、どう考えても、お子さんは自閉症スペクトラムのお子さんです。であるなら、職員全体に自閉症スペクトラムのお子さんの特性はどんなものであり、どんな対応をしなければならないか、研修を実施する必要があるでしょう。OJTも含みます。もちろん校長が講師できなくてもいいです。これは専門性を必要とすることですから、校長先生ができなくても当然です。講師をできる人を呼んでくればいいだけ。ただし気をつけないといけないのは、自閉症スペクトラムに関しては、「特別支援教育の専門家です」「大学教授です」「医師です」という方が、必ずしも詳しいわけではないことには留意しておく必要があります。ほんまに講師ができる人を呼んでくる必要があります。

 そういう対応はなさってるのかな?

 私の経験をいくつか。

 これは大昔の私が通常校の通常学級の担任の頃。ある先生はクラス経営に威嚇と暴力をお使いでした。それこそ「顔を殴ったり」「回し蹴りをしたり」それをもちろん現場の同僚は知っていました。私はその方に「期待」されていたようです。俺のような教師になって欲しい、という感じで。その方はまた校長からの信任は厚く、生活指導主任をしていました。

 しかし、校長赴任3年目か4年目、ある保護者から「暴力を受けた」という申し出で、校長にそれまでの威嚇と暴力がばれます。なんの時だか忘れましたが、校長が私に愚痴りました。「裏切られた思いや」

 びっくりしました。同僚教師がみんな知っていることを、校長は知らなかったのだ、と。3年か4年たってやっとわかったと。

 結局この教師はその後特別支援学校をずっと回られます。何故だろう・・・

  私が知的障害特別支援学校に異動してから。この学校は後年知ったところでは当時暴力問題で新聞社に張られていたらしいです。その学校にそんなこと(新聞社に張られているかどうかはさておいて威嚇と暴力が蔓延してる)なんて、私は特別支援教育畑にいながら全然知りませんでした。これは私が他の教員と「世間話」をすることが少なかったせいかもしれません。

 私が赴任した時に、校長も新しい方が赴任して来られたのですが、ひょっとしてその方は教育委員会からその学校の暴力的な体質を改めて欲しいという「密命(?」を帯びておられたのではないか、というのは私が教育委員会に幻想を抱きすぎだろうか?よく職員朝の会で職員に対し「体罰はしないように」ということは言っておられました。特にその前日に何か事件があったということでも無いと思うのですが。もし暴力事件があり、校長の知ったところとなっても、その情報が職員間で共有されることが無く、私はヒラの一教員ですからよくわからなかったのです。

 で、まあ・・・校長がいくら「体罰はしないように」と言ってもやってる人はいましたが。しかし、それ以上蔓延するのを防ぐ抑止力にはなっていたと思います。

 これも校長先生が教師に対して、本当に役立つ研修を持って来れなかった、というのも大きいかな、と思います。

 いくつか過去のエントリを上げると

見本になるということ

 この時も職員室内の噂で「ほっぺたをつねって跡をつけた。それで校長から注意を受けた」という話が入っただけで、公式に情報共有されることはありませんでした。

自主研修会

 これはものすごく珍しく職員会や学部会で情報共有された例です。

 あと威嚇と暴力の例、いろいろ書いてますがいちいちあげません。面白かったのは、この校長先生、授業参観の前日の職員朝の会で

「明日は授業参観ですから大声での指導はやめておいて下さい(少なくして下さい、だったかな)」

とおっしゃったことがありました。「大声での指導」ってのはつまり「威嚇」です。暴力はさすがに見えないところでやるようになっていましたが、威嚇のほうは結構まだまだおおっぴらにやっていたので、ついこう言われたわけですね。当然これでは何も解決にはなりませんね。

 まあこの校長先生も私生活で障害のある人に対するボランティア活動をやったりしておられた(祭り上げられるほうではなく実践しておられた)素晴らしい先生なのですが、自閉症のお子さんにどう対応したらいいかを当時ご存知なくても、それはそれでしかたなかったことと思います。

 でね、大学教授やお医者様に教師を研修してもらえばいいと思うでしょ?

 その教授が例えば

大学教授の講演会



超有名大学の超有名教授がやって来た

だったりするわけですよ。また校医さんがその地域では自閉症に関する権威としてしられている精神科医さんなんだけど

私が大昔に関わった地域のお医者様(自閉症関連)

のA医師だったりするわけです。

 まあね・・・A教授にしろ超有名大学の超有名教授にしろA医師にしろ、現場からの正確な情報が上がってなかったから判断できなかっただけかもしれません。

 でもなあ、ほんと私「大学教授なんて現場を知らないから」という悪口はそれまで言ったことが無かったけど、こういう体験を数積むと、やっぱりほんまなんやなあ、と思わざるを得ないことも多かったです。まあこれは現場の教師が管理職・大学教授・医師などに正確な情報を出さない、ということにも問題はありますが。

 私も、やってる教師を直接怒鳴りつけたりしたことはあるし、校長に「私はつらいのです」と泣きついたことはあるけど、校長に「◯◯教師が威嚇と暴力を使ってます」とは報告しませんでした。それは仲間を売るような行為と思ったから。

 でもねえ・・・校長はある意味「管理」がお仕事。しかし「教員養成学科の大学教授」や「指導主事」はほんま専門家やねんから報告が無くても実践を見たら見抜けなあかんやろ。それは直接威嚇や暴力を使っている場面でなくてもまずい指導であるというのは見抜けると思います。

 たとえば、ある、頻繁に威嚇と暴力で子どもとやりとりする先生。この先生、普段は仏頂面で声かけもせず乱暴に子どもに対していました。(ただし、この「仏頂面(愛想の無い顔というか、特にニコニコするでもない表情)」「声かけの少なさ」は自閉症のお子さんに良かったとと思われます。本人は「子どもを威嚇しなければ」「子どもに怖いと思わせねば」と考えておられたと思われますが、その意図は子どもには伝わらず、結果的にはわかりやすい、ということになっていたと思います)ところがビデオに映るとか参観日とかなるととたんにニコニコ愛想よく、子どもたちに声かけしまくっていました。しかし見る人が見ればその対応がめちゃくちゃ頓珍漢になっていることがわかるはずです。つまり「普段威嚇や暴力で対応しようとしている」人の指導は「威嚇や暴力を使わない場面」でも頓珍漢になっているから、「ここは間違っていますよ」「こうしたらいいですよ」ということは伝えられます。

 そして、やってみせ、環境を整えしているうちに、たぶんその先生も「威嚇と暴力を使わなくてもいいんだ」ということに気づきはると思います。実際にそんな例を知っています。

市教委は「行き過ぎた指導はあった」としつつ、「体罰や暴力ではなかった」と結論付けた。
 
 あほかいな。
 たぶん、担任も含め、教師集団・管理職・教委みんな「どうしたらええか」がわかってないだけやろなあ。

当時の校長は「退職して何も言えません」と話している。

 ええっと、変な理屈ですね。
 それから守秘義務についてですが、裁判で争えばどっちに転ぶかわかりませんが、

「「公務員の守秘義務違反」については、「周りを取り囲んで『お前が悪い』と指摘し続けろ」という医師の「アドバイス」や教育現場での「威嚇や暴力行為」の存在が、公務員の職務上知り得た「秘密」に該るか疑問。仮に該当するとしても、その漏洩が正当な目的のために行われたものなら、守秘義務違反にはなりません。」

という御意見もあります。まあ言えば「公序良俗に違反するものはこれを保護しない」ってのもありますし。

 でね、私は「ちゃんとした人から(OJTを含む)研修をやってね」と書いてますが、しかし、確かにどうやってもできない教師もいるかなあ・・・私自身はかなりいろいろできる、とは思っているのですが。下のエントリに書いたみたいに。

指導力不足教員について

 でね、ここから書くことは「現実的」ではない、と思われるかもしれませんが・・・

 確かに、いろんな能力の低い教員がいることと思います。私がウツで退職する前なんか、ほんとまさに「指導力不足教員」だったし「問題教師」でした。でも「限定的な責任」「限定的な仕事」なら、そこらへんの特別支援教育担当教師以上のことができたと思います。で、その時大事なのは「限定的な給料」ね。当たり前のことです。まあ、そこらへんをどう評価するか、ってのは難しいのですが。

 私は橋下市長が「給料を下げる」というのには賛成する部分もあるのです。しかし「市長が教師を自由に馘にできる」というのはあかんと思う。

 たとえば問題があれば、研修室付にするとかして、給料を劇的に下げる(給料と言えないくらいでも良し)。そして自ら学び働いてみようと思いだせば、少しずつやらせてあげ、給料も少しずつアップしてあげる。そういうふうにすればそれこそいきなり長期休職・しかも給料はそのまま払わなければならない、なんてことなしにできるし、本人のためにもなると思うんだけどな。

 もちろんお子さんもだし、いろいろ問題のある教師(こちらは給料をもらってるだけに子どもと一緒にはできないですが)も、生かせる道を模索したいですね。

 あっ、それから、このエントリのもととなった話。残念ながら別に珍しい話では無さそうです。(私はネタキリになっている間に世の中進んで珍しい話になっているのかと思っていた)


posted by kingstone at 11:07| Comment(2) | TrackBack(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする