これは面白かった!!
出演者というか出てきたイルカトレーナーさんは
井上 聰 「鴨川シーワールド」
立川利幸 市立しものせき水族館「海響館」
土屋 祐 「エプソン 品川アクアスタジアム」
みんなカッコイイ。もう「やってる人」「やってきた人」の自信にあふれている。
で、井上さんってドラマの主人公にしてもいいくらい渋い。
こないだTogetterでまとめた「自閉症の人の自発性とか表現コミュニケーションとか」の中で
「イルカは餌をつかっていくらでも芸をするけどだからって餌をなくしたら、それはしなくなる」これ、推測やけど、ちゃう、と思う。イルカさんも「いやなこと」はしないと思うよ。
と書いたけど、やっぱりそれはこの番組でも確認できたと思います。
立川さんがイルカとトレーニングするところ、最初から見せて下さってました。まず笛(音)が鳴ったら餌をあげる。で、それがつながたらそこから「今できてる」行動をものすごく細かいステップで「それをしたら餌がもらえる」ということを理解してもらいつつ形づくっていくわけど、「(イルカにわかりやすい)餌」「わかりやすい標的の棒」「その棒を動かしてできるイルカの動き」などをうまく組み合わせて行動(この場合は芸だけど)を作っていく。
今作っていく、と書いたけれど、その時1回1回は「今できる」ことなわけね。「できない」ことをやらせてるわけじゃない。そして「わかるもの」を使っている。決して「いくらでも芸をする」って感じじゃない。
また上記は「トレーナーが作っていく」という感じだけど、番組ホームページにも書いてあったけど立川さんのトレーニング方法のうち、
「スキャニング」と呼ばれるトレーニング方法。イルカに自由に行動をさせて、その中で面白い行動があったら、エサを与えて「もう1回いっておいで」と覚えさせるのだという。
これ、確か人間に対する応用行動分析(ABA)的手法でも何かあったな、とさっきTwitterで尋ねたら「フリーオペラント」という名前であるみたい。これも「今できる」ことでやる、ってわけだよね。
追記
またまた詳しい人に聞いたら、「フリーオペラントというのは先行刺激がない」とのこと。
ここではトレーナーさんはその場に「いる」わけで・・・それは先行刺激だし・・・
いやしかし・・・フリーオペラントで関わろうとする人はそこに「いる」わけで・・・
う〜〜む。今夜はここまで。
それからよくあるバンドウイルカじゃなくて、別の種類のイルカに「水槽の中からガラス越しにお客様を見つめる(というかお客様の正面で止まる)」という行動を、今まさに教えようとしてはるシーンがあったのだけど、めちゃ面白いシーンがありました。立川さんが、水槽のガラスの外側に立ち、目印の棒を見るというか、その前に静止できたら、水槽の上にいる別のトレーナーが餌をあげる(イルカは見つめたあと、浮上するわけ)のだけど、見つめたあとイルカが浮上する時に立川さんが両腕で◯を作ってるの。いったい、あれは何の動作だ??イルカにサインを送ってるのかな?まずイルカが◯を認識するのか?(もちろんいろんな体の動作でジャンプとかすることは覚えてくれるけど・・・あの◯は・・・)しかもイルカは浮上に移っていて◯を視界には捉えていないように思えたのだけど・・・
水槽の上のトレーナーさんに送った信号とは見えなかったんだけど・・・
で、またどのイルカもトレーニング時間は1回15分ほどだったか、とにかくそう長くはない。で、その「みつめる」トレーニングの時、若い女性トレーナーに立川さんのトレーニングを観察してもらっていて、終わってから「ここでやめたのがよかったか?」って反省会してはりました。女性は「もう1回前で止めておいたほうが良かった」って言ってはりました。これも「うまくいったところで終わる」の鉄則を守るため。そうだよなあ。授業でもそうだよなあ。
で、ショーの時、イルカ(たち)が言うこと(指示)を聞かなくなることあるよね、という話で盛り上がった時に、そういう時どうするんですか?という質問に、井上さんが
井上「もうしゃあねえ、やめ、ってショーをやめちゃう。音楽も止め、トレーナーもいなくなっちゃう」
立川「それはお客さんがちゃんと終わったと思えるようにして?」
井上「いやあ、バレてることもあると思う。でも(若い者にも)バンザイしなさい、って言ってる」
ってのもよくわかります。そうバンザイするしかない時ってあるんすよね。もうそういう時は正直にバンザイしちゃえばいいんすよね。この無理せず、すっと引いちゃう感じ、大事だなあ、と思います。
それからいろんな行動を教える(それは「芸」と呼ばれるわけだけど)のは、健康管理にも大事、って話もよくわかりました。体を人間にまかせることができる、ができて初めて傷の手当をしたり、注射をしたりができるわけですから。(それもイルカたちがある見通しができて行動するからこそ可能なのだと思います)
で、やっぱり最後の方で「心が通じるか」って話になって、「通じると思う」「目指したい」というような話になってました。井上さんって「イルカは野生動物であって・・・」とか語ってめっちゃ強面なんですが、イルカと一緒にいる時に「お前、そうだろう!そうだよなあ!」と破顔し、なんていうかイルカをもみくちゃに猫かわいがりしたい、みたいな時がある、って。で、そんな時、後輩トレーナーの視線を感じると急にまじめくさって「イルカは野生動物であって・・・」みたいな表情にする、って。う〜〜ん、説明がむつかしいけど、そんな感じ。たぶん「そうだよなあ!」の時、共感と言ってもいいことが起こってるんすよね。
この番組、深いし、面白いっす。
ラベル:イルカ トレーナー トレーニング