この時は1対4でやっています。撮影は新人さんにお願いしています。
最初の映像はBさんと1対1の学習をやっているもの。これはゲームであるとか、コミュニケーションであるとか向かい合う必然性のあるものをやっています。
自立課題学習の手順書(ワークシステムの一部)の合間に「私の写真」を適宜はさみ(その場の進行具合を見つついい時間の時に挟みこめば、自分で私のところまで来てくれる)伝えていました。それぞれのお子さんとやっていました。1対2で(3人で)カルタやトランプをしたこともあります。これはおうちでそんなゲームが楽しめたらいいなあ、と考えてやったもの。それぞれのお子さんのその時できるやり方で遊べる形(しかし本物に近づけるように)に考えました。
この時は文字列(単語)の書かれたカードを縦に並べています。カルタや7並べの前段階です。
終わって、「もうちょっとやることないのかな」とカゴの方を見ていますが、私がいろいろな手段で終了を告げ「机カード」を渡すと、ひとりで学習する机に戻ってくれています。
この頃はそれぞれの机の前に手順書が貼ってあり、次にする自立課題学習に関する指示がわかるようになっています。この場合Bさんは「3」と書かれたカードを取り、「3」の教材を探しに行きます。
なお、この机の前に貼られた手順書のことを「ワークシステム」と思っておられる方もおられると思いますが、ワークシステムとはこの手順書(しかしこれをさしてワークシステムと私も呼んでしまうこともある)だけでなく、カゴも棚も、その時にする学習や作業をわかりやすくするもの全部をひっくるめてワークシステム(だからシステム)と呼びます。
最後のところで画面左側にカーテンが見えます。ここをA君はカームダウンエリア(落ち着く場所)として使っていました。
Bさんは自分の教材が置いてある所に来て「3」をマッチングさせ自立課題学習用の教材を学習用の机まで自分で持って行きます。横にある棚にA君が教材を返しに来たのがわかります。何の音声指示もありません。
少し注目して頂きたいのは、スチール机の右横にある机の上にCDプレーヤーや何かが置いてあることです。これは休憩時に「自分のやりたいこと」が選べるようにしてあるのです。また教室中央の机の上に黄色い絵本がちらりと見えますが、これは休憩時にBさんが楽しみとして読むためのもの。実は自立課題の学習よりも休憩時に何をするかを大事に考えたほうがいいかもしれません。その楽しみがあってこそ頑張れる。またこの映像の場合、Bさんは選ばずに絵本になっていますが、他のお子さんはいろいろ選んでもらっています。選択活動は学校生活の中でもいろいろと取り入れることができます。
結構静かに淡々と進んでいることがおわかりになると思います。これを最大1対7(?)でやりました。
自立課題学習とは「ひとりでできる学習」というところはキモだと思います。そしてひとりでできることをやっている途中では、自閉症の人に限らず、なんじゃかんじゃ言われたくないでしょう?そういうものだと思います。
なお、1998年9月からチームとして取り組み始め、いろいろと形ができてきて、私1人がやっていたのを新人Aさん、新人Bさんにもやってもらえるようにしましたが、最初は新人さんたちも嫌がりました。「どないしてええかわからない」と言うわけです。でも「そんなこと言われたら私、休まれへんやん」と言ってお願いしてやってもらえるようにしました。それができるようになったら安心して休めるようになりました。新人さんたちは私を信じてついて来てくれていましたから、吸収は早かったです。教材もみんなで考えて作りました。
翌1999年度は異動してきたベテランさん、若めのベテランさん、達人さんと4人で組みましたが、やはり最初はやってもらえませんでした。こういう授業に反発を持っておられたようです。歌ったり踊ったり、トランポリンをしたり、ボールプールに入ったり(というようなものももちろんあっていいですが)ということのみが授業と思っておられたようです。
しかし、この時もへらへら笑いながら半ば強引にお願いして、みなさん自立課題学習の指導はできるようになりました。最初は先生方がすることを私がOJTしました。そりゃやることがわかれば簡単ですし、指導者も楽ができることが実感できますから、できるようになります。しかし他の方は1対1の学習はできませんでした。また教材も作って下さいませんでした。
たぶん異動してきたベテランさんは学びはらへんかったことを後日後悔しはったと思います。