私の関わりのある法人
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※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2011年04月29日

久里浜日記1993年5月21日〜23日 

久里浜日記5月21日

 いよいよパソコン研修室を使っての講義の始まりです。

    コンピュータの機能と基本操作
    東京大学助教授
    柴若光昭(しばわかみつあき)先生

 前半は現在のパソコンの具体的な現状と将来の見通しでした。障害児教育には直接関わりませんが、個人や学校での新機種導入に役立ちそうな話でした。

 新機種導入ではWINDOWSを使う標準的なもので、486DXの33M:8MRAM:HDD200M:17DISPLAY:ビデオボード:マウス(プリンターなどははぶく)
Machintoshなら、KT7の使用を前提として、040:8MRAM以上:HDD200M以上:CD-ROM(内か外で):16DISPLAY以上

(KING STONE・・・これをステップ(当時あったパソコンん安売り店)価格で見てみると

98MATE/ASにいろいろつけて50万円くらい
CENTRIS650にいろいろつけて60万円くらい
あっ、98にCD-ROMDRIVEをつければ同じくらいか。まあ、どっちも同じような額がかかるってことですね)

これにソフトが最低で20〜30万、理想的には50万必要。
また一番高いのは本当はパソコンを使いこなせるようになるための費用(逸失利益・・他の仕事をすればできるのにそれを失う[時間もお金も]・・・を含む)

(KING STONE・・・この逸失利益の考えかた、納得ですねえ。私なんかどれだけ失っているか)


午後はMS-DOSの基本のコマンドの勉強をしました。今日はごく基本なので、すでにできている人はそれぞれ自己研修。なんと私もそのグループに入ってしまった。

夕方は秋葉原へ行ったグループがいて、一人がClassic2を買ってきて、一人がLCを押さえて来ました。これはまた明日取りに行くそうです。たいへんだあ。
Classic2を買ってきた人はセットアップしてネットワークを組み、PDSスタックなんぞをもらっています。これで5台のMACがつながりました。LCがやって来れば6台(研修生の1/3 )がつながります。すごい話だなあ。


久里浜日記5月22日(長いよ)


今日は大船のたーさんのお家へお邪魔しました。久里浜からはずいぶんかかるかな、と思っていましたが、JR久里浜駅から30分くらいでついてしまいます。ところで、前にたーさんから地図をメールで送ってもらっていたし、前日には母上から詳しく順路をうかがいメモしていたにもかかわらず、ぜーーんぶ持って行くのを忘れてしまいました。(こんなんばっか〔アセ〕)

それでも電話での記憶を頼りに歩いて行きましたが、見つけることができません。仕方ないので公衆電話のある所で電話帳を調べようと思いましたが、回りに無い。だいぶもと来た道を戻ったところで公衆電話を見つけました。で名字を元にこのあたりか、と思うところに電話をすると一発でたーさんちにつながりました。でもって現在地を回りを見回しながら言うと「そこ家の隣です!!」なーーんとお宅の横から電話してました。

たーさんは大体想像してた通りの方でした。電動車椅子に乗ってはると思っていた点だけが違ってました。たーさんは移動する時は普通の車イスで足を使って前にもゆっくり進みますが、速く進みたい時は足を蹴るようにして後ろ向きに進みはります。

通信をやっている所をビデオに撮らせて、という厚かましいお願いをしました。私のインタビューには画面で答えて頂きました。

その後、母上の心尽くしのお昼をいただきました。「野菜があんましとれてないだろうから、ということで季節の野菜の煮物にお赤飯。おいしかったーーー。たーさんの母上は結構お年をめしているのですが、若々しいエネルギーにあふれた方でした。

午後は大船の駅前に一緒に買い物にでかけました。私はカメラマンです。このあたり狭い道路の商店街で、私の生まれ育ったところに似ているので(おんちゃんとこのあたりよりもっと狭い道が続いてたりする)いいなあ、って感じです。その狭い道をたーさんは後ろ向きですいすいと進んでいきます。時々歩いてる人とふれる時もありますが、ま、それは普通に歩いててもあたることはあるもんね。

駅前のセイユーのスロープ(結構きつい)を登るのに手間取ってるとどっかのおばさんが「手伝ったげよう」とやってきはります。

地下の食料品売り場で、ジュースなんかをカパカパ買いはりました。それをカゴに入れてレジに持って行きはります。レジの方は計算した後、カゴを台の所に持って行って下さいました。「私は(レジがあるので?)パッキングはできませんので」と言って戻られました。で、たーさんが缶を袋に入れようとしますが、なかなかうまく入りません。しばらくやってると別の店員さんが出てきて缶を袋に入れて下さり車イスの取手にぶらさげて下さいました。後でたーさんに聞くと顔見知りの店員さんだそうです。

次にお酒の売り場に行きました。たーさんがお酒をいろいろためつすがめつしてると、店員さんが声をかけてきます。たーさんも文字盤を出しておしゃべりします。「いつものみますが、きょうはかわない」「なんだあ。折角声をかけたのにい」笑い声がおこりました。でも試飲コーナーできっちり水割りを飲んだたーさんでした。

家に帰ってから母上にお話をうかがいました。

たーさんはこないだまで重度身体障害者地域作業所「よあけ」の代表をしてはりました。今は母上が代表をしてはります。何故か?って。たーさん、こないだから某社の在宅社員になりはったのですが、これは障害者雇用の在宅勤務の中で全ての社会保険や雇用保険(ほとんど一緒なのかな、私ゃよくわかんないんです)の適用される初めてのケースだとういことで、職業安定所が「代表をしててもらっては困
る。代表をやめるにあたっては公式文書で出すように(!!)」と言ってきたそうです。そこで、理事会だったか運営委員会だったかを開いて議事録を録り、印鑑証明付きの文書をつけて出したとか(・・・タメイキ)

15年前、たーさんが通信教育で大学を卒業した時に「作業所を作る」と言ったそうです。「それに騙されて作ってしまいました」とおっしゃってましたが、それ以来地域の先駆者として4つの作業所を運営されています。「もう私ゃポンポンきついこと言うからねえ作業所に来てくれる人にも最初にそう言ってるの」と笑ってはりましたが、腹蔵なくしゃべりはる感じですね。ちょうど「障害者の日」の特別番組でやってた新宿の育成会のおばさんみたいな感じです。行政にもいろいろ言いに行くので「また来たか」って思われてたかもしれないけれど、この頃は「じゃ申請書書いて下さい」ってなもんで前向きに取り組んでくれるようになった、ということです。

また例えばたーさんが買い物に行くことでセイユーの支店長さんと話をするようになったり、たーさんが通信をするために電話線の設定をするためにNTTの人と仲良くなったりしてるうちにむこうの方たちが「じゃあバザーで協力させて下さい」なんておっしゃって下さるようになったそうです。そんなふうに地域と協力関係を作っていってはるんですね。そういやそれでNTTにスロープができたとか。

そうそう、近所に「勤労福祉会館」ができた時、スロープも自動ドアも無かったそうです。でも中に図書室があるので、たーさんは毎日通ったとか。たーさんが来るとあちらの職員さんが何人か出てきて階段を上げドアを開けて入れて下さったとか。3か月たった時に工事が始まり「何の工事だろ」と思ってたらスロープができ、自動ドアがついちゃったそうです。(でもでき上がったら、たーさんは行かなくな
っちゃったんだって。すけべ本が無かったからかな・・・・)

たくさんいろんなお話をうかがい、いっぱい御馳走をいただき、作業所の方が書かれたという詩集までいただいて帰りました。本当にいろいろありがとうございました。


久里浜日記5月23日

今日は、TAKEさんの職場(病院)にお邪魔しました。TAKEさんはそこでST(言語療法士)をやってはります。STは現在の日本では国家資格としては認められてはいません。しかしそれを逆手にとって、拘束を少なくして(国家資格だと行動が法律でいろいろうるさく縛られる)動きやすいようにしている、なんてえお話もうかがいました。

同じ短期研修生の鹿児島のYさんと一緒に小田原(ちょんちんやかまぼこで有名)に着くとすぐにTAKEさんが声をかけてくれはりました。早目に着いたのですが、TAKEさんも早めに出て来て下さってました。

まず、ST室に行き、TAKEさんの使ってはる機械をいろいろ見せていただきました。98DAではプサイメニュー(うーーOAKでは変換しない〔アセ〕)が立ち上がり、すごく使いやすいように整理してはります。98DAとDELLの386マシンが並んでました。98のHDDの中を見せていただきましたが、後、いろんなスイッチやなんかがいっぱいあります。

私の98ノートでプサイメニューからWTERMが立ち上がらない原因を「メニューの常駐を解除すればOK」とすぐに解決して下さったり、やっぱり実践家だなあ。

後で病棟を案内して頂きました。そして何人かの患者さんが意思伝達装置(98・MSX・MAC)を使っているところを見せていただいたり、機械を見せていただいたりしました。漢字Pワードを寝たきりの方が使いこなしていはりました。画面を通じて質問に答えて頂いたり、自分でその場で印刷した詩を頂いたりしました。もちろんこう使えるという想像はしていましたが、使いこなしてはる様子を見れば
私の他人に対する説明もより説得力を持つというものです。もちろんTAKEさんがその方の要求にもとづいてスイッチを工夫して使いやすいものを作ってはるからこその成果ですね。それからその方自身も「私が不平や要望を言ってせんせい(TAKEさん)が作って下さいます」と書いてはりましたが、結局本人さんの要望はすごく大きいですよね。そしてまたそれを聞くことのできる耳を持つことの大事さ・・・。学校でもそうありたいですよね。

TAKEさんもやはりかなり自分の持ち出しで実績作りをやってはります。そういうとこみんな一緒だなあ、と思いました。

TAKEさんの患者さんたちの接し方もとても素敵でした。書き込みから想像していた通りの方でした。また今に至る道も言語療法という一本道をはずさずに、しかもかなりの波瀾万丈をやってはるという、楽しい話をいっぱい聞かせていただきました。またお会いになった方はうかがうといいですよ。

うーーん、今日もメチャ密度の濃い研修だったですが、それをうまく伝えられないなあ。困ったもんだ。

しかし・・・いろいろうかがってると、やっぱりMACも98もMSXも勉強しなきゃなんないみたいですねえ。タメイキ・・・。

本当にTAKEさん、お休みの日なのにありがとうございました。

別件、6月12日(土曜日)の件。夜の部はFEDHANオフに参加します。成り行きで遅くなったらSUMさんお願いね。



posted by kingstone at 08:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 久里浜日記1993年 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

4月29日(金曜日) 昭和の日

 おはようございます。

 とってもいい天気。

 今日からGWというものだと、ほん2日前くらいに知ったところです。

ラベル:挨拶 天気
posted by kingstone at 07:42| Comment(0) | TrackBack(0) | よしなしごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月28日

ある地域のガイドヘルパー制度2

 昨日、役所の窓口で小学生以上18歳未満の人については「『日常生活の状況』聴きとり」をした上で書類を子ども家庭センター(児童相談所)に送り判定してもらう」という話でした。

 で、子ども家庭センターに電話したらいきなり

「ここではそんなことしてません」

 はははは。で、ちょっとねばって事情を説明したら職場内に聞いてみてくれたみたいで担当の方に変わってくれました。しかし、窓口になっている人が知らないんだ・・・

 で、役所の人の言ったことと少し違ってました。

 役所の人は小学生以上18歳未満の人については「全員」「『日常生活の状況』聴きとり」をした上で書類を子ども家庭センター(児童相談所)に送り判定してもらう」

 しかし子ども家庭センターの人の話では

「役所で判断がむつかしいとされたものだけが、こちらに回ってきて『意見』を出すだけ」

とのこと。随分ニュアンスが違います。で、あれこれお聞きすると役所によって、そこらへんの判断が違うとか。あるところはそんな面倒なことはせず役所で全部手続きしてくれるし、あるところは全部回してくるし、みたいな。

 また役所の方のニュアンスでは「上限20時間/月」で「家庭子どもセンターの意見で削られる」みたいなニュアンスでした。しかし家庭子どもセンターの方は「基準量が20時間/月」とのこと。ですから「削られる」という話ではないみたい。

 で、私が気になっていたのは「『日常生活の状況』聴き取り票」にいろいろな項目があるのですが、その重い軽いがどう判断されるのか、という点。例えば

・突発的に屋外へ飛び出したり、静止をしても動き回る。

とか、あと自傷・他害の項目とかがあります。で、「障害が重い(?)からガイドヘルパー認めません」みたいなことになったら困るよなあ、という点。そしたら

「障害が重いから認めない、なんてことはありません。障害が重ければ出します(ということだったと思う)」

とのこと。たいへん心強かったです。あり?逆に「軽い(?)から出しません」も無いんだろうなあ・・・

 それから「登下校のガイドヘルプは認めない」という話を小耳にはさんでいたのでお聞きすると「毎日変わらずある活動には使えません」とのこと。でも「たまたま保護者が入院することになってこの1月だけ登下校にガイドヘルプを使いたい」はOKとのことです。

 さて、これから事業者さんに「いくらかかるか」を調べる。

 1軒目。「(知的障害の方については)上の者に聞かないとわかりません」とのことで、後日電話を下さるか、私がかけるか。

 2軒目。「今、利用者さんがいっぱいで新しい方を受ける余裕はありません。しかし利用料については昔無料。その後1割負担。その後また改訂があって現在はよほどの高収入の方でないと利用料は無料。また自分の知るケースは月20時間の利用があっても支払いは8000円まで。それより安いことが多い」

 ってことは1時間多くて400円。たいていはタダということか。

 3件目。「ガイドヘルプはやっていない」うーーん、事業者名簿に載ってるのに・・・

 今のところ正式に行政から認められた20時間限度のガイドヘルプだとタダで使えるということかな。
 これは使わない手はないですね。

 ちなみに2軒目の方が出して下さった利用例は「カラオケ」「映画」とかだったし、いろいろ使えるようになってるみたいです。
 あっ、ただし、ヘルパーさんの交通費・映画に行くのだったら入場料などは実費としてヘルプされる側が出します。

 あと問題は、制度があってもヘルパーさんがお願いできるだけの人数いるかなあ、みたいなところかな。それとヘルパーさん教育。身体の方への接し方・介助方法などの講習はあっても、例えば自閉症の人への接し方はあんまり講習ないだろうからな。

 1軒目から電話あり。ここは「うちはいつでも受けます」との力強いお答え。ただし「ヘルパーさんと利用者さんの合う合わないがあるので」とのこと。もちろん相性問題は常にありますね。しかし基本がわかっているかどうか、で随分違うとは思いますが。で、利用料ですが、やはり「現在は限りなく0が多い」とのことです。しかし、これは民主党政権になってから・・・ってことは変わる可能性は高いか・・・また18歳以上については、年金などで暮らしてはる方が多いので0が多い。児童は保護者の収入に応じて変わるのだが、高くても1万円いった例は知らないくらい」とのこと。

 また上限の20時間ですが、大人に関しては32時間認められる場合もあるそうです。

 事業者さんがヘルパーさんに出すお給料も興味があって聞いてみました。そこは最低が時給780円から。また登録ヘルパーさんという契約して請け負う感じかな、そういう方だと時給1100円だそうです。

ある地域のガイドヘルパー制度

追記
 このエントリを書いた後、いろいろな情報を頂きました。ガイドヘルパー制度は地域によって差がかなりあるので、ご参考になると思います。でも、ほんま情報って発信したら入って来るなあ。

 まず別の地域の保護者の方。

「ガイドヘルプについては、「重いから出さない」はありませんが、「軽いから出さない」はあります。ボーダーラインは手帳の有無みたいです。」

 逆に言うと、手帳があればOKということですよね。

「それからヘルパーさんが自閉症について専門的に学ぶ機会は少ないだろうと思います。私はメーワク省みず、押し売り講座やったりしました(^^;; 」

 私が電話で尋ねた事業所さんも「相性」の問題とおっしゃってたけど、たぶん基礎的な知識の問題はあると思います。私が電話で尋ねた時も「自閉症でコミュニケーションが難しいお子さんとかは?」って尋ねたんですが、実はこの言い方には意味が無いというか、これではどんなお子さんか全然わからないんですけどね。(かなり詳しい人だったら、そこから始まっていろいろ聞けるけど)

 で、基礎的な知識を持っているガイドヘルパーさんがいない、少ない、と嘆いているだけではたぶん誰も増やしてくれないので、できることからやっていかないといけないなあ、と思います。この保護者さんみたいに自分で講義できちゃう人はなかなか無いかもしれませんが、わかっている人呼んで来て講義してもらうとかね。できればOJTしてもらうのが一番いいとは思うけど。

「ガイヘルの支給を決めるのは各自治体だから、それも自治体によって違いますね。うちの市では継続的に通学支援にガイヘルを使ってる方もおられます。」

 えええ!こんな自治体もあるんだ。

「支給時間もかなり幅広いようですし。窓口で必要性をどれだけ伝えられるか、に多少は左右されます。具体的な利用プランを作って持っていくと大変スムーズ。」

 なるほど。まあそのためにも「使ってみなきゃわかんない」ところがあるから、どんどん使っていったほうがいいだろうな。

 ここからは福祉関係でお仕事をされている方から。

「昨年移動支援(ガイドヘルプ)の全国調査をしています。市町村で基準は原則異なりますが、手帳前提の割合は決して多くない。子どもの場合手帳がなくても認める自治体が多い。」

 へえ。私はてっきり「手帳前提」が多いか、そればっかりだと思ってました。やっぱり各自治体に問い合わせたほうがいいし、で、「無いとダメ」と言われたらそれこそ他地域の例を出したり議員さんに働きかけて制度を作ってもらったりしたらいいのかもしれない。で、それだと「診断を受けてない」お子さん、大人の方が利用できることになりますもんね。ほんま保護者とじゃなく、他人と外に出るって大切だなあ、と思います。

「ちなみに「重いから」移動支援ではなく「行動援護」が適切という判断はあります。」

 「行動援護」という言葉は聞いたことはあるけれど知らないので要勉強。

Wikipedia 行動援護従業者

 ええっ、こんな資格と制度できてたなんて知らなかった。2006年からだって。

「特に知的障害・精神障害を持つ者の行動援護業務に従事する。」

 へええ。でも需要に供給が追いついてないと。

 たとえばある方の場合、

「障害程度から見ると行動援護の判定が出てもおかしくないのですが、判定を受けた時点で強烈な行動障害が無かったので「行動援護ではなく移動支援でいきましょう」となったのです。特性や環境によって変わりますね。で、結果的には移動支援にしていただいて良かったかも、と思うんですが、その理由は、行動援護に従事できるヘルパーさんがものすごく少ない、ということ。ただでさえ人手不足ですから・・・」

 またヘルパーさんの知識などについて

「ヘルパーさんはベテランばかりではありませんし、ベテランの方でも自閉症を理解されていない方もおられます。。。学校出たばかりの若い方もたくさんおられる。なので、もう、ヘルパーさんは育てる、、、くらいの気持ちでいるのがいいかも。子どもが育てるんですけどね。」

 これね。周囲から上から目線と非難されるかもしれないけど、本当に何でもそうだと思います。特別支援教育担当教師だって。

 福祉関係の方から。

「ちなみに移動支援は、視覚障害者がスタートですが、子どもから大人まで今はたくさん使っています。全国で9万人程度の利用です。障害福祉サービスのベスト5に入る大きなサービスです。また、大阪府が際立って多い特徴ありです。」




中間管理職育成講座初級編 第10回〜第12回

マチート 中間管理職育成講座初級編10


□ ミーティングの準備2(実務)

ミーティングの準備はこれで終わりではありません. レベル1の職場では,念には念を入れて, 慎重に(しかも迅速に)ミーティングにもって行きます.これも,レベル2になるまでのしばしの辛抱です.

ミーティングまでに必要なのは,後は大きく分けて3つです.

1) ミーティングのタイトルを決める
2) 時間調整と場所の確保
3) アジェンダ作成

■ タイトル
これまで建設的なミーティングを行ったことの無いレベル1の職場で, ミーティングの参加者を呼び掛けるのは骨が折れるものです. いくら,あなたが事前にミーティングのシミュレーションを行い, その結末が見通せたにしても,参加者が積極的にそして気楽に参加してくれないとどうにもなりません.

まず最初に, ミーティングのタイトルを考えます.タイトルを決定する際のポイントは,

a) 親しみのある
b) 気軽に参加できそう
c) 何を話し合うかおぼろげにわかる
d) 話し合いの方向性を決定しない

といったところでしょうか.後は,あなたのセンスの問題です.Fさんの「テツオくんの困っていること」 が完璧ですね.「こだわり」とか「不登校」 といったインパクトのあることばが無いのが素晴らしい.私にはとても思いつきません.

■ 時間調整と場所の確保
参加者を決めたら, 全員がかならず揃う時間を設定する必要があります.一人ひとりの時間を調整しましょう. 「何月何日の何時から」だけでなく,「何時まで」 もはっきりさせましょう.見方を共通させるミーティングはどれくらいの時間を必要とするか, 全く読めません.まあ,目安として参加者数×10分くらいでしょうか.

場所も, 事前に決めておく必要があります.はじめてのミーティングで,どのように進行するのかあなたは自信が無いのです. 場所くらいは,いい場所をとりましょう. この業界,小グループ用のミーティングルームをもっているような職場はほとんどありません. 当日になって場所をあわてて探すと,ろくな場所を確保できないものです.

a) ミーティング中人の出入りが無い
b) 外の騒音が遮断できる
c) 人数に見合った広さがある
d) くつろげる家具がある
e) 飲み物の準備もできる
f) ホワイトボード(黒板)がある

私は贅沢ですから, これくらいの条件を要求してしまいます.特に,f)は必須です.まあ,可能な範囲での良い場所を予約しておきましょう.

kingstone追記
 学校だったら山ほど教室はありますね。くつろげる家具あたりが問題か。

テツオくんの場合は, あさって木曜日の朝,テツオくんをお母さんが教室に送ってから(8時30分ごろ) 9時まで,会議室を使ってミーティングを行うことになりました. 母親は,その日は何としても学校へ行くと電話で話していました.

■ アジェンダ作成
どんなに小規模のミーティングでもアジェンダは欠かせません. 会議の運営方法に関するテキストでは, アジェンダは事前に参加者の手元に届くように,と必ず書かれています. レベル1の最初のミーティングでは,そこまで必要ありません.当日,配付できればよいのです.

アジェンダには,次の情報が必要です.

a) ミーティングのタイトル
b) 日時(終わりの時間も)と場所
c) 参加者名
d) ミーティングの目的
e) 議事の手順
f) メモ欄
g) 決定事項を記入するブランク
h) 決定事項をスタートする日時のブランク
i) 次回の確認をとる日時と方法を記入するブランク

これくらいなら, 簡単ですね.ワープロを立ち上げて,ちょちょいのちょいです.テツオくんのアジェンダの例です.A4で3枚印刷しておきましょう.

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テツオくんの困っていることを話し合う(テツオくんの問題を話し合い, ゴー
ルを決める)1995年7月4日8:30〜9:00
○×養護学校会議室
  参加者:ラン・スー・ミキ

1.問題点の確認


2.話し合い



3.決定事項
【ゴール】


【開始日】
【次 回】

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アジェンダと呼ぶには恥ずかしい,幼稚な内容です.

レベル2やレベル3になると, アジェンダは複雑になります.けっこう時間がとられます. でも,そうなれば中間管理職のあなたが1人で作成する必要はありません. レベル1では,これはあなたの仕事です.救いは,複雑なアジェンダが必要ないことです.


kingstone追記
 この文を読んで私が実際に作って使ったもの。

A4用紙 問題点があった時の解決を相談する書式

 これで、1998年度後半クラス(学年)で様々な問題を解決しました。


マチート 中間管理職育成講座初級編11


□ 良いミーティングの条件

これからあなたが進行役になってミーティングを開催します.準備は万端です.自信をもって進めましょう. ちなみに(といってプレッシャーをかける),良いミーティングとは次のようなものです.

1) 時間通りはじまる
2) 時間通り終わる
3) ゆっくり自分の意見が言える
4) ゆっくり人の意見が聞ける
5) 役に立つ情報がある
6) これからの励みになる
7) 仲間意識が生まれる
8) また参加したくなる

前回から,中間管理職育成講座というよりも,小学生向けの「会議の運営方法」の授業のようですね. みなさんを退屈させてしまったようです.でも,「基本は大切」ということだけわかっていただければ幸です.

さて, 基本ついでに,私の同僚が作成した「知的障害をもつ人同士がいかに会議を運営するか?」マニュアルの一部を紹介したいと思います.

□ 多頭怪獣症候群(何が会議をうまくさせないのか?)

ジョニーは青年学級の運営費をあげるかどうかを議題にしました.

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ジョニー(きっぱりと) :
私には問題がどこにあるかはっきりわかります.会費を月100円増額するしか方法がありません.

ウイリー(攻撃的に) :
そんなことすると,会員はだんだん減って行ってしまう.余計にお金が集まらないよ.僕たちは,青年学級の名前をいまよりカッコイイものにして,たくさんの人が参加したがる魅力的な会にするべきなんだ.

ジョニー(ちょっと不満そうに) :
じゃあ,月50円ずつ上げるというのはどうだい.

ナンシー(希望に満ち溢れて) :
わたしは,こういった会計管理を得意にしている専門家を知っているわ.

ウイリー(自己陶酔したように):
○○学級というのがダメなんだよ. ××××フレンドクラブというのがいいじゃないか.しゃれているだろ.

ボビー(急に思い出したように) :
今年度の支出を削ることはできないのかい.
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このミーティングの問題は何でしょうか. みんなが希望的になろうと頑張っているのですが, それぞれが問題(運営費増額)を違う見方で見ているようです.だから解決方法の議論もまとまらないのです.

「一度にひとつだけ」

さまざまな意見が出てきたら, 一度議論を停止させましょう.そして,意見をすべてリストアップします.そして,そのリストを眺めましょう.

リストに沿って, 議論する項目を考え直します.大切なことは,話し合いの項目は,一度にひとつにすることです.

そのまま議論を続けていても, 混乱し,緊張状態になり,そして成果のない「多頭怪獣症候群」の会議になってしまいます.


マチート 中間管理職育成講座初級編12


□ リスト・リスト・リスト

多頭怪獣症候群の逸話は, 私たちの職場である,レベル1のミーティングでよく起こるものです. 見方が共通していない以上,いつでも,どこでも多頭怪獣が顔を出します. 事前に予測しておいた袋小路ほど致命的な結末には至らないものの, これもまた議論の進展のない,空しいミーティングをもたらすものです.

ここで, あなたに,この多頭怪獣を撃退するノウハウをひとつお教えいたしましょう.手順は,

1) 多頭怪獣が顔を出したら議論をいったん中断する(ちょっと待って)
2) ホワイトボードの前に立ちリストアップを促す(批評は後回し)
3) 可能な限りたくさんのリストを書き込む(順不同)
4) リストが出尽くしたかどうか確認する(後の追加も認める)
5) リストを眺めて優先順位をつける
6) 上位のリストから議論を再開する

たったこれだけのノウハウでたいていは事足りるものです. ただし,ミーティングの相手にはこの道うん十年の専門家(担任) も加わるわけですから,もう少し突っ込んだノウハウも必要になります.

■ リストアップの突破口
議論を一端中断しても,リストアップにうまくのってくれない場合があります.
テツオくんの事例は,その可能性が非常に高そうです.

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あなた(ホワイトボードの前に立ち上がり) :
 このままでは話しが進展しませんから, 話題を戻してみましょう.これから,何が問題なのかしばらく批評を入れずに,たくさんリストアップしてみませんか.先生いかがですか.

担任(うんざりした顔で) :
ウーン.やっぱりテツオくんの強いこだわりが一番の問題なのよ.それさえなければ,何も問題は起きないのよ.

母親(あいづちを入れながら):
.....
-----------------------------------------------------------------------

これは確かに真実です. テツオくんのこだわりは,一般の人の感覚ではなかなか理解されないものです(自閉症の中でもかなり筋金入り) .でも,3人が顔を合わせてミーティングしているのは, 「私たちに何ができるか」を決めるためなのです. この「こだわり」のことばに私たちが執着し過ぎと,まるでテツオくんを欠席裁判型の悪玉に仕立てている様にも思えます. 「こだわり」という抽象的な表現ではなく, もう少し下位のディレクトリで話しをしたいものですね.

そこであなたは,ホワイトボードに次のように描きます.

+----------+
| こだわり |
+----+-----+
|
+--------- 1.
|
+--------- 2.
|
+--------- 3.
|

そして,質問します.

----------------------------------------------------------------------
あなた(淡々とした表情で):
そうですね,こだわりが問題ですものね.では,今日はまだ学校がはじまったばかりですから, 昨日のことを教えてください.昨日, 先生が最初に「こだわってる」と感じたのは何時頃でしたか?それはどんなことをしたときですか.

先生(ちょっと困った顔をしながら) :
ウーーーン.朝教室に入ってくるとすぐですから, 多分8時40分ゴロですね.教室に入ってきたかと思ったら,ジャンパーも脱がずに教室の窓を閉めに行きました. まあ,昨日に限らずいつものことなのですが.2〜3回繰り返して閉めるんです.

あなた(好奇心旺盛な顔で) :
昨日は,その1回だけですか.もっとありますよね.次にこだわったのは何時ですか.
-----------------------------------------------------------------------

ほら, リストアップができてきました.すかさず,ホワイトボードの数字の横に書き込みましょう. 大切なことは,できるだけ最近の事柄を聞く事です.それも,時間を必ず入れてもらいます.

このサブディレクトリでリストアップをはじめると, いかに最初に問題を表していたキーワードが瞹昧なものであるか(人と違う意味で使っている) 思い知らされます.

講座もこのまま進むと,私の粘着的な器質が勝っていたく退屈な話題になるか,それとも無責任な性格が勝って講座を途中休講するか,どちらかになりそうです.最初のキーワードがいかに当てにならないかを,気分転換も含め,次回から新しい事例で紹介したいと思います.

中間管理職育成講座初級編 第7回〜第9回

マチート 中間管理職育成講座初級編7


Eさんへ

レポート提出の締切はありません. また,昇級試験のカンニングは大いに結構です. ついでに,答案の書き直しも認めましょう.非常におおらかな講座なのだ.

さて,Eさんの回答ですばらしいのは,問題点そのものの定義です.それも, 有無も言わせず,中間管理職が決めてしまう点は,唸ってしまいました. その上,ミーティング開催の目的を瞹昧なタイトルにするなんて,レベル1の実態を本当によく理解されていますね. ただ,エクセルを使った記録フォームは, この段階では猫に小判になるかもしれません.レベル2に行く前に使っておきたいが, 微妙な賭けですね.それから,怖いおやじへの対処法が,まさにレベル1の教育に欠かせないものです.

Fさんへ

またまた, 芸達者なタレント登場ですね.ここで,エディプスコンプレックスで有名なフロイトを持ち出すなんて, フロイト自信も草葉の陰で驚いて(怒って? )おられることでしょう.私は,学生時代にフロイト系の心理力動的セラピーの本を何冊か購入しましたが, 10ページ以上読み進んだためしがありません. フロイトといって連想されるものが,ピンク・フロイトとアブドーラ・ザ・プッチャー, それにコーヒー・フロイト(一部地域ではフロートともいう)くらいです.

それにしても, どれも笑っちゃいけないが,笑える解決方法ですね.フロイトの用語と具体的な解決方法の関連づけはわかりませんが, 一度真剣にこういう話し合いをするというのもいいかもしれない. でも,それができるのはレベル3の職場ですね.Fさんの職場は,レベル3?

□ レベル1の教育の前に

以上, 遅れた回答へのコメントです.これだけ回答があれば,皆さんもかなり問題を整理されていることでしょう. 次の講座からは,テツオくんの学校がレベル1を脱するための戦略(ストラテジー) を考えます.今回は,その前にレベル1の職場の中間管理職に必要な心構えを軽く紹介して終わりにいたします.

■ 職場のレベルで判断すること
この業界, 現場担当者の中には,たいそうなベテランや勉強家など,有望な人材がたくさんいます. 会議での発言や企画案など,中間管理職のあなたではとてもかなわない, すばらしい,そして立派な意見を持っている人もいることでしょう. でも,こんなに優秀な人材がいるのだから大丈夫だと,安心してはいけません. 職場(その中の部門)として,どれくらいの力を持っているのか,あなたは冷静に判断しなくてはなりません. うまく判断できないなら,レベル1だと思って間違いありません. あなたの仕事は,職員個人の自己実現を手助けすることではなく, その優秀な能力を職場で発揮できるように援助し,職場の力を向上させることです.

■ 計画は不確定な将来の予測
トラブルの解決とは, 将来の計画を行うことです.「将来のことを完璧に予測できる者はいない.」 この事実を,私たちはよく忘れてしまいます.過去から現在にいたる状況分析をどんなに詳細に行っても, 完璧はありえないのです.この業界では, 何か難しい困難点にぶち当たると,過去の経緯を事細かに調べて話し合い, 何ら計画も立てずにみんなが満足してしまうという,非常に幼稚なケース会議が横行しております. これから中間管理職になるあなたは,不確定な将来の計画を立てるのが仕事なのです. 完璧な計画はありません.ときには, 直感的なひらめきやカンが頼りになるのです.このような直感力を養うには,何度も職場で計画・修正を繰り返す経験が必要なのです.

■ 夢を描く計画はやさしい
「将来は不確実だ! 」を認識すると,計画はやさしいと錯覚してしまいます.夢を描く計画は確かにやさしいのです. でも,夢を実現する計画は難しいものです. 現場にいる優秀な人材のうち何割かは,夢を描く計画だけにしか興味を持っていません. あなたの仕事は,現状のさまざまな制約の中で,夢を実現するための計画作成なのです. 高級管理職育成講座を担当している私の同僚は,よくこんな話をしています.

「障害者問題の近年の傾向や職場の将来の発展を考えると, A事業がぜひとも必要である」という提案までは,誰でも考えつくものです.でも,その計画は,資金をどこから捻出して, いつからいつまで,誰が責任を持って,どこで行うものかまで計画するのは難しいものです.

■ 人を動かすのは難しい
中間管理職は,障害を持つ人に直接サービスを提供する機会は少ないものです.計画の実行の大部分は, 自分ではなく人がやるものなのです.どんなにすばらしい計画を立てても, 人が動いてくれなければ,どうしようもありません.つまり,計画の立案段階で,人が動きやすい状況を作らなくてはならないのです.

もし, 自ら計画どおり動いてくれない人がいた場合,あなたは以下の3つの方法のどれかを選択するしかありません.

1)脅す,
2)おだてる,
3)泣き落とす.

どれも決してやさしいものではありません.多くの場合,特にレベル1では,計画に「人が動きやすい」状況を入れていくしかありません.


マチート 中間管理職育成講座初級編8


テキストの分量の割には進みが遅い本講座も, やっと具体的な戦略の話題に入ります.テツオくんが通ってきているレベル1の養護学校の中間管理職である,あなたはこれからどうすべきかを一緒に考えて行きましょう.

□ 共通化の手法

レベル1の職場の問題は, 見方が共通化されていないことです.

 テツオくんの担任は, あらゆる場面で開いているドアを衝動的に閉めようと突進する傾向を「自閉症固有のこだわり」 と名前づけし,この根本的な解決(つまり,こだわりがなくなる) にもっとも関心を示しています.

 一方,母親はというと,「学校へ登校できない」 現状が非常に負担になっております.ただし,両者は,このトラブルに対して見方が異なっているとは思っていないようです. 見方の違いが認識できないのも,レベル1の典型的な症状のひとつです.

見方を共通化するには, お互いに話し合いをするしかありません.つまり情報交換の場, ミーティングが必要になります.別に,文書でもパソ通でもいいのですが,手っとり早くコストがかからず,汎用性のある手段は「ミーティング」に尽きます. ここで,中間管理職のあなたは,このミーティングが,本に(Dさんの奥様やEさんも) 書いてあるIEPミーティングのように簡単には実施できないことを知っておかなくてはいけません. なぜなら,これがレベル1だからです. ミーティングを通して,見方を共通化するには,あなたがかなり強力なリーダーシップを発揮する必要があります. このリーダーシップには, 性格や態度,顔つき,声の大きさ,年齢は関係ありません(本当は関係するが) .ミーティングを行うための準備をいかにしっかり行うかにかかっています.

□ ミーティングの準備1(参加者)

ミーティングの準備のまず最初は,誰とミーティングするかを決めることです.既にトラブルが起こっているのですから, 手っとり早く顔を揃えられるメンバーで十分です. テツオくんの事例では,「担任」「母親」そして「あなた」が参加メンバーです.

■ ブレーンストーミング
発達障害児者の療育・福祉・教育業界では, 何かことが起きると,あるいは何らかの計画を作る際, 必ず「本人の問題,本人の教育,本人への援助」で話し合い, 報告書を書きます.

 たとえば,「テツオくんは○○で困っている」「テツオくんが○○になるよう頑張らなくては」...なぜなら, 「私たちはこのように考えているが,どう思う?」と障害をもつ本人に問いかけても, 意志を確認することが難しいからかもしれません.あるいは, 日本の伝統的な師弟関係の風習が幸いしているのかもしれません.でも,本人のためを思ってのヒューマニティーが根底にあることは間違いなさそうです. 確かに,本人を抜きにして,「私はこうしたい」「あなたはこうした方がいい」 とだけ話し合い,周囲の人間だけが利益を受ける決定を下すのは問題です. しかし,現実のトラブルは本人を主語にした会話だけでは,全く太刀打ちできません.トラブルの多くは,周りの人たちの見方の違いにあるのです.

kingstone追記
 この部分については、現在(2011年)のおめめどうは「本人に聞く」を強く主張するようになっています。もちろんあの手この手を使って、また行動を観察してですが。


ミーティングの前に,誰がどんな思いをもっているか「想像」してみましょう.

頭に想い描くだけではいけません. 紙(画面)に,対象となる人をあげ,その下に空欄の四角を描きましょう. そして,想像した思いをできるだけたくさん書き込みます.

【母親】
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|・学校に行けないのは不安だ |
|  一日中自分と一緒にいるとまったく休まらない |
|  将来もどこにも通えないとしたら |
|・あのオヤジが憎い |
|  窓はちゃんと閉めておけ |
|  クーラーくらい買えよな |
|  そんな些細なことで怒っていると早死にするぞ |
|  家の子のような障害にもう少し理解を示して |
|・学校へ連れていけない自分の不甲斐なさ |
|  あんなオヤジの怒鳴り声に負けるなんて |
|  母親としての自覚が足りない |
|・誰も助けてくれない |
|  夫がもっと助けてくれれば |
|  夫に毎晩遅くまで仕事をさせる会社は何なんだ |
|  学校は通学指導といいながら何もしてくれない |
|  家の子の外出を助ける制度は何も無い |
+--------------------------------------------------------------+

【担任】
+--------------------------------------------------------------+
|・こんなにこだわりが強い子はまっぴらだ |
|  学校で四六時中注意しているなんてできない |
|  私は歳よ.中学生を追っかけるのは大変 |
|  こんなに努力しているのに |
|  学校が休みの日はゆったりとクラス運営ができる |
|  誰だってこのこだわりは抑えられないわ |
|・私はこの子の指導に向いていない |
|  自分の経験ではこの子をうまく指導できない |
|  誰も私の悩みを理解してくれない |
|  早くクラス替えにならないかしら |
|・家庭でちゃんとしつけてくれなきゃ |
|  小さいときからしっかりしつけていればこんなにならない |
|  そんな些細なことで母親が学校へ連れてこれないなんて |
|  私が親ならもっとちゃんとしつけているわ |
|・変なオヤジ |
|  窓はちゃんと閉めておけ |
|  クーラーくらい買えよな |
|  そんな些細なことで怒っていると早死にするぞ |
|  我が校のような生徒にもう少し理解を示して |
+--------------------------------------------------------------+

【あなた】
+--------------------------------------------------------------+
|・これ以上不登校が長引くとまずい |
|・トラブルを早く丸く抑えたい |
|・誰かこの役割を肩代わりしてくれないか |
|・自分が担任だとうまくやれるのに |
|・こんなトラブルは自分たちで解決しろ |
|・何度もミーティングの準備に時間はかけられない |
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マチート 中間管理職育成講座初級編9



■ 誰の何が問題か?
いつでも, だれもがそうなのですが,トラブルに巻き込まれると特に,知らず知らずのうちに,自分の立場からしか物事が見えなくなります.ここはひとつ,中間管理職のあなたが, それぞれどんな立場から,どのようにトラブルを見ているかを考えます. そのための道具が,先の空欄用紙です.とにかく,可能な限りリストをあげることを勧めます.

誰の何が問題なのかを考えるうえで有効な道具がもう一つあります. ドクター・ワインバーグの名著「ライト, ついてますか」がそれです.この講座の何割かは, ドクター・ワインバーグのアイディアをちょうだいしております.この本には, 「誰の・何が問題か?」を考えることがいかに重要であるか,ユーモアたっぷりの例題とセンスの無い挿絵を使って解説しています. 詳細はそちらを当たってください.

ドナルド・C・ゴース & ジェラルド・M・ワインバーグ著,木村泉訳 (1987)
ライト,ついてますか : 問題発見の人間学.共立出版.

■ ミーティングのシミュレーション
さて, 先のリストを使って,ミーティングをシミュレーションします.とはいっても, 所詮レベル1です.これまで,建設的なミーティングを行った経験はありません.誰がどのような発言をするか,どのように議事が進行して行くか,全く予測できないのが現実だと思います. そこで,おおざっぱに二つのシミュレーションを行ってください.一つは「袋小路」,もう一つは「抜け穴」です.

【袋小路】
これは, ミーティングで絶対に進んではいけない方向を事前に確認する作業です. 袋小路は,たいていいくつもあるものです.そして,いったんはまると,なかなか復活できないものです. レベル1の職場では,袋小路にはまると,まず抜け出すことはできません.

テツオくんの事例のリストには, 典型的な袋小路が二つのタイプが隠れています. 一つは,「欠席裁判型」と呼ばれるものです.つまり,ミーティングに参加していない(できない) 対象に責任を押しつけ,自分たちに問題はないんだと, 傷を舐め合う行動です.たとえば,「あのオヤジは本当に変なやつだ.近所からも嫌がられている名物オヤジらしい. 困ったものだ.」で全員納得してしまう場合がありますね. また,「私たちの街は,発達障害に対して理解も配慮も無い, 福祉後進地域だ.行政や社会教育担当者はいったい何をしているのか. 」も同じですね.ある面,真実かもしれませんが,現状のトラブル解決にはなんら進展がありません.まさに,袋小路の話し合いです.

もう一つは, 「プロレス型」と呼ばれています.つまり,善玉と悪玉を明確にしてしまうことです. どちらが,善玉になるかは,力関係や話しの流れで決まってしまいます. たとえば,「家の学校は,自立登校が原則ですから,本来は1人で登校できなくてはいけないのですよ. 歩いて通える距離なのだから,早目に自立登校の練習をお母さんがやっていれば, こんなことにはならなかったのです. 本人が元気なときは何としてでも家族が学校へ連れてくる責任があることは, 覚えておいてくださいね.こだわりも,家庭のしつけに問題があったからじゃありませんか. 」と担任がたたみかければ,悪玉はもう決まりです.これ以上,話は進展しません.

一見,弱い立場のような母親ですが,3人のミーティングでは逆転も簡単です.そうです, 女子プロレスの善玉を見てください.いつも前半は悲鳴をあげているでしょう. ハンカチを取り出し, 涙を2〜3滴滲ませ, 30秒ほどおいて「シクシク」 あるいは「ワーワー」泣くだけで,今度は担任がヒールです.中間管理職は, 「まあまあ.それは言い過ぎだな...」とはじめて,担任を積 極的にこき下ろします. 母親は,後で一言「前の担任は良かった」と言えば十分です.どっちにしろ,こんなに空しいミーティングはありません.

袋小路を予測するシミュレーションは絶対に忘れてはいけません. もし,そちらへミーティングが進みそうなら, 素早くその芽を摘み取ってください.あるいは, ミーティング前に,マイルドに,1)ここにいない人の批評してもはじまらない, 2)誰に責任がある訳でもくみんな精一杯頑張ってきた,と口火をきっておくのも手です. ミーティングが袋小路にはまり込んでしまったら,他でもない,中間管理職のあなたの責任です.

【抜け穴】
ミーティングがどのような結末へ収束するか, 事前に想定しておくことも大切です.もちろん,細かな想定はできませんし,収束の方向はたくさんあります.このようなシミュレーションをここでは「抜け穴探し」と呼びます.

テツオくんの事例では, 母親にとって「オヤジの怖さを緩和する」 あるいは「オヤジに会わずに済ませる」 方向へ向かう話合いが大切ですね.それによって, 「テツオくんが学校へ来れる」状況を作りあげなくては,話しになりません. 担任にとっては,「日々の突進行動に対する無力感を消滅させる」話合いが無くてはいけません. さらに「登校に付き添う母親へ自分も援助できることを知ってもらえれば」最高です.

□ 小休止

見方を共通化するには, ミーティングを開催します.でも,レベル1では,あ
なたの事前準備が重要です.

1) 参加者の選定
2) 各参加者の立場と問題をリスト
3) ミーティングの袋小路をシミュレーション
4) ミーティングの抜け穴をシミュレーション

おっと, 忘れていました.2)で作成したリストは,早々とシュレッダーにかけてくださいね.人に見られると大変です.

ミーティングの準備は,まだあります.

p.s. 何度もしつこく書かないとマズイので,書きますが.この講座は,ジョークですよ.真剣に聴講しても,中間管理職なんてなれませんよ.