※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2011年04月29日

「きちんと褒める」とはどういうことか について

 カテゴリを「犬とのよい生活」にしようか「特別支援教育」にしようか迷いましたが、一応「犬とのよい生活」の方にしておきます。話はあっちゃいき、こっちゃいきしますが。


 私の注目のドッグトレーナーにして応用行動分析家 hit1678さんのエントリ





を読んで頭に浮かんだこと。


 えーっと、私は常々「応用行動分析は人と犬とを差別しない」と書いてますし、「山川草木悉有仏性」とは思ってます。でもって「じゃあお前は人と犬とを区別しないのか」と言われれば、韓国でポシタンを食べたいとは思ってるけど、人肉食のある部族の所に言っても人肉は食べたくない、という区別はしています。


 で、私が肢体不自由特別支援学校にいた時、学部会(会議)で「犬にだってできるのにうちの学校の子にはできない」とおっしゃった先生がいたので、すぐに私は直感で、笑いながら「そら肢体不自由の犬と比べなあきませんで」と言いました。で、私も自閉症のお子さんへの関わり方と犬への関わり方の共通点について言うことがあるけど、でも本当は「自閉症の犬」との関連についても語らないといけないんだろうなあ、とか思っています。


 で、褒める、ということについては、「効果ある褒め方」というのは犬であろうと人であろうともうhit1678さんが言われている「ある行動を増やす」ものである、と考えます。(でも、「心の底から」みたいなことは私も言いたい。自分の心に嘘をついて「褒める」必要は無いと思っています。そのためにはこちらの心が素直に反応できる状態とか価値観を持っておきたいと思っていますが)


 しかし効果があるとか無いとかじゃなく「思わず褒めちゃう」こともあるし、それでもいいとは思っています。


 で、なるほどクリッカー(カッチと音の出る道具)も「褒める」ことになるのだ、というのは新鮮でした。


 私自身は「笑顔」「視線」「やったあ」という声。「軽くパンパン叩く」などを使うかな。


 そしてまたhitさんの言われる「やってみて はじめてわかる 褒めるかな」というのにももうメチャクチャ納得しまくりです。


 でね、これは犬だとどうなるかわからないのですが、自閉症の人との関わりで「別に褒めなくたっていい」ことも多いな、みたいなことを思うことは多くなりました。どういうことかっていうと「やって欲しい課題」とかがあった時に、その人が「ひとりでやってできた」となった時、こっちが褒めなくたってその人自身が「やった」と思えて、その行動が増える、みたいなね。


 で、そんな場面も多くみましたけど、でもこれは私の「視線」は関係あったのかもしれません。またそれまでに「褒めた」ことが良かったのかもしれません。そこらへんはよくわかりません。


 昔「褒めない子育て」っていう本があって、まあ「褒めましょう」というののアンチテーゼを出そうとしてはる感じだけど、中身が薄くてあんまり感心しませんでした。しかしそのタイトルは確かに良かったなあ、と思います。


 hitさんが次に書かれている「リーダー論」にも期待です。

posted by kingstone at 20:20| Comment(4) | TrackBack(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アメイジング・グレイス ヨアン・グリフィズ ロモーラ・ガライ出演



 歌(賛美歌?)アメイジング・グレイスのできた話にまつわる話。

 この映画、昨日まで一切知りませんでした。妻が友達から「いい映画だった。でもガラガラだった」と聞いて来て、じゃあ行ってみようということになりました。

 行ってみたら、ガラガラどころか、席に座れるかどうかくらいのいっぱいでした。

 英国で「奴隷貿易廃止」を訴えたウィリアム・ウィルバーフォース(1759〜1833)の物語。

 いやあ、こんな人がいたなんて知らなかった。「奴隷解放」関連だったら米国のリンカーンを知ってるくらいだもんなあ。

 で、ウィルバーフォースはいろいろ頑張るのだけど法案は通らない。で、この人って田中正造さんみたいにまあ悲劇で終わるのかなあ、と思ってたら目的は達成し、功成り名とげるところまでいったらしい。ある意味ハッピーエンドです。

 「政治」劇「恋愛」劇でもあって、私はめちゃ大笑いしながら観たので妻は「笑い過ぎや。恥ずかしいわ」と言ってましたが、私とまったく同じツボで複数の人が同じくらいの声で笑っていたので、同じような感覚の人もいるんだ、と安心しました。

 「奴隷貿易廃止」を訴え、証拠を集め、非人道的であることを訴えても、「奴隷貿易」で栄えている町の議員・投資で儲けている人たちが多数だからほとんど無視されたり、激しく攻撃されたりする。ウィルバーフォース自身も「政治の道」か「神の道」かに迷い「神の道」に行きたいと望んだりもする。

 う〜ん、ほんまね。私も「神の道」と言うか「仏の道」というか、そっちに行きたい。

 で、時は米国独立から植民地独立の時代、またフランス革命の時代、ウィルバーフォースの(数少ない)仲間も保守派から「フランスの力を借りて『革命』を起こそう」という人までいろいろ。後者の人にはウィルバーフォースは「私の前で二度と『革命』という言葉を使うな」と怒鳴ったりもする。で、そういう仲間たちと進んでいくわけです。しかし戦争などの状況によっては「暴動を扇動する者」とみなされたり、「反愛国主義者」とみなされたりしながら。

 いやあ、全然違うものかもしれないけど、私と自閉症の子どもたちとのあれこれを思い出してしまう。

 まあウィルバーフォースは最終的に「勝った」のだけど、私は校長から「喧嘩は勝つようにやれ」と言われるくらい「無謀な突撃」ばかり繰り返していたわけですが。

 映画には出てこなかったと思うけど、パンフレットにウィルバーフォースのこんな言葉が載っています。

「見解の違いは仕方ない。だが知らなかったとは絶対に言わせない」

 そうやなあ

大学教授の講演会
戦いと癒し(2)分科会にて

に出てくるA教授、「知らなかった」んやろなあ。自閉症の子が私の行っていた特別支援学校でどんな目にあっていたのか。あるいは他の支援学級でどんな目にあっていたのか。私も確かに言わなかった。内地留学生はたくさん行ってたんですけどね。証拠を見せてちゃんとお教えしないといけなかったんやろな。

指導主事からの評価

 この「神様みたいな主事」さんも知らなかったんやろなあ。基本知的障害畑の方じゃないし・・・

 で、

指導主事に相談をかけてみたが

みたいに特別支援学校で少なくとも「威嚇」を使っていた人が主事になってたし・・・(暴力はわかりません)

 また知的障害畑で1年間内地留学に行ってた先生が子どもを蹴ったり

TEACCHにこだわらない

 知的障害畑で1年間内地留学に行ってた先生が音声言語の指示に従わない生徒の手足をみんなで持ち上げてプールに放り込んだり

ある生徒のプール事件について

 いや〜〜、みんな「知らない」というか「自覚」がなかったんやろな。

 私は「若い人」たちは怒鳴りつけたり、教えようとしたりしたけど、教授や指導主事や校長には言わなかったもんなあ。言っちゃいけないことだと思ってたし。思い切って話し始めた主事さんにはすぐに話を打ち切られたし。(少なくとも校長はうすうす感じていたし、情報を欲しがってはいらっしゃいました)

 私がうつで休職する前やネタキリになっていた頃、誰かが私を学校関係の訴訟に巻き込んでくれないかなあ、と思っていました。上のようなことは「墓場まで持って行く」ことだと思っていて、訴訟に巻き込まれたら仕方無しにしゃべるかあ、みたいな。(でも日時までは特定できないので証拠能力は皆無だと思う)

 今はそれほど深刻には考えていません。教授や主事さんや暴力をふるっていた先生にあったら糾弾口調ではなく笑いながら「いや〜〜、かくかくしかじかなんてご存知なかったんですよねえ」とか「愛と情熱を持って暴力と思わずやってはったんやねえ」としゃべれるかな、と思っています。こっちも知らせなかったのは悪かったしね。で、まあ上記の人たち、みんなえらくなってるんやろなあ。

 そんなことを思いながら観てました。

 映画の中でウィルバーフォースが奴隷の実態のひどさの悪夢にうなされるシーンがあります。私も「暴力を頻繁に使う先生」の夢でよくうなされ、叫び、飛び起きました。妻もそのことを思い出した、と言ってました。

 歌はこっちがいいかな。



歌詞。

Amazing grace how sweet the sound
That saved a wretch like me.
I once was lost but now am found,
Was blind but now I see.

'Twas grace that taught my heart to fear,
And grace my fears relieved,
How precious did that grace appear,
The hour I first believed.

Through many dangers, toils and snares
I have already come.
'Tis grace hath brought me safe thus far,
And grace will lead me home.

The Lord has promised good to me,
His Word my hope secures;
He will my shield and portion be
As long as life endures.

Yes,when this heart and flesh shall fail,
And mortal life shall cease,
I shall possess within the vail,
A life of joy and peace.

The earth shall soon dissolve like snow,
The sun forbear to shine;
But God, Who called me here below,
Will be forever mine.

When we've been there ten thousand years,
Bright shining as the sun,
We've no less days to sing God's praise
Than when we'd first begun.

アメージング・グレース
何と美しい響きであろうか
私のような者までも救ってくださる
道を踏み外しさまよっていた私を
神は救い上げてくださり
今まで見えなかった神の恵みを
今は見出すことができる

神の恵みこそが 私の恐れる心を諭し
その恐れから心を解き放ち給う
信じる事を始めたその時の
神の恵みのなんと尊いことか

これまで数多くの危機や苦しみ、誘惑があったが
私を救い導きたもうたのは
他でもない神の恵みであった

主は私に約束された
主の御言葉は私の望みとなり
主は私の盾となり 私の一部となった
命の続く限り

そうだ この心と体が朽ち果て
そして限りある命が止むとき
私はベールに包まれ
喜びと安らぎの命を手に入れるのだ

やがて大地が雪のように解け
太陽が輝くのをやめても
私を召された主は
永遠に私のものだ

何万年経とうとも
太陽のように光り輝き
最初に歌い始めたとき以上に
神の恵みを歌い讃え続けることだろう

posted by kingstone at 19:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・記事・番組など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

5月3日おめめどうが篠山のフリーマーケットに出店鹿肉カレーも

 ハルヤンネさんが4月29日のおめめどう通信をオープンされてます。


おめめどう通信・4月29日

今日のメルマガは、オープンにしますね♪

ぜひ、フリマに〜☆

★こんにちは、ハルヤンネです♪★

 今日からGWですね。みなさんのご家庭は楽しい計画があるでしょうね。おめめどうは、5月3日(火・祝)に、篠山の商工会主催の「フリーマーケット黄金市」http://sci-mt.tanba-sasayama.com/man/2011/03/19.html に出展します。おめめどうグッズやUDも置くつもりですが、メインは、鹿カレー。ササヤマルシェで、露店をしてみて、やっぱり、食べ物がいると発見。それで、資格を取り、今回初の食べ物屋を併設しようというわけです。いったいどこまで行くおめめどう???

 今回は、鹿肉が入った鹿カレーを、そう数は多くないですが、食べていただこうと用意することにしました。値段も安いですよ〜。器やスプーン、他もろもろの機材を調達。昨日、鹿肉のOKでましたよ〜★天気予報では、三日は曇り(ちょっと、肌寒いかな)、雨にならない事を祈ります。

 私がフリマとかにこだわっているのは、障害支援グッズがもっと日常にあるものになって欲しいから。特別なものだからといって、敬遠している方たくさんおられる。「そんなのを持ったら、障害者みたいやん」とうそぶく子どもは、すくなくありません。でも、その姿は、そう思っている周囲の大人(親や教員)の映し鏡です。大人が、障害支援グッズ=違和感=特別(特殊)と思っている、その心が、子供に伝わって、「こんなん、いやや」になっていくんですね。

 そういうの無くしたい。となると、特別なものじゃなくしていったらいいじゃないと私は思うんですね。なので、古着や手作りアクセサリー、ファーストフードと並んで、おめめどうの障害支援グッズがある、その風景を作っていくこと。それが、いつも、そこにあるものにしていきたかったりするです。もちろん、メモ帳なんて売れやしません。でも、見てもらえます。へ〜こんなのがあるんだ。すると、手を取る人がいる。すると、おお〜、買おうとする人もでてきます。私は、聞きたくなりますね。『あなたの後ろに、障害のある人がいるんですか?』と。

 そういうの楽しいですよ。いろんな方がこの世界は発信しています。兄弟やオヤジの会、支援者さん向け。それから、ネットではブログやツイッター。でも、方向が「内向き」。障害に関わる人たちだけで、発信し合うことが圧倒的で、それで、満足もされているんですね。私は、「外向き」の発信がしたい。障害が身近に感じられない人に、「グッズがあるんですよ。特別なことじゃないんですよ」と、伝えていきたいですね。

 GWの一日、ぜひ、丹波篠山フリマ黄金市へドライブがてらにどうぞ。篠山城前の三の丸広場。10:00店開き〜15:00店じまい 位を予定しています。たくさんのブースがありますよ〜★

 ◆◆◆おめめどうのE-MAIL:haruyanne@omemedo.tanba-sasayama.comおめめどうのFAX:079−594−4667
posted by kingstone at 12:41| Comment(0) | TrackBack(0) | おめめどう・視覚支援 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

生活の中に構造化をとり入れよう レデックス通信から

 私は「レデックス通信」というメルマガを送ってもらっています。無料です。

 今日送られて来たメールに

「生活の中に構造化をとり入れよう」神奈川県大和市保育家庭課の五味純子さんの話のまとめ、が載っています。あり?前号からの続きか・・・前号見逃してたな(アセ)

 とても簡明です。

 なお、私は最初に話を聞く人には「わかるようにすること」「その中でも特に目でみてわかるようにすること」で、話していって、その後に「構造化って言う場合もあります」って言うことが多いかな。では引用。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(1)生活の中に構造化をとり入れよう

 神奈川県大和市保育家庭課の五味純子・心理士の資料紹介の続きです。

 意味理解障害である自閉症児に対してもちろんのこと、認知機能の発達途上である子どもに、伝えたいことを的確に伝える技法「構造化」の具体的方法を解説します。まず、前回のおさらいです。

「構造化」は、今何をする時間か、次にどうなるか等、世の中を「その人に合わせて分かりやすく示す方法
  ↓
伝えたいことを分かりやすく伝えるためのコミュニケーション手段
  ↓
目に見えにくい意味を分かりやすく伝えるための方法

 今回は、構造化の具体的な内容を紹介します。

1.物理的構造化:環境に意味を与えよう!刺激量をコントロールしよう!

  A)明確な物理的視覚的な「境界」を設定
     棚や家具の配置、じゅうたんを敷く、ついたて、間仕切りのカーテン等

  B)活動と場所を1対1対応させる
     家の中で必要な場所は、次のもの

   1)おやつの場所/食事の場所
   2)自由遊びの場所
   3)テレビ、ビデオを見る場所
   4)勉強(課題遊び、自立課題)の場所
   5)寝るところ
   6)着替えるところ
   7)歯磨き/手洗いの場所
   8)スケジュール(後述)を表示する場所 etc.

  C)妨害刺激の除去
    集中すべきことに集中できるように、ついたてやカーテンを使う。
    机の向きを工夫する。

  D)家具のサイズ・動線・もののとりやすさ

◎留意点
 子どもに合わせた工夫をする。敷物の変化が見分けられるか、家具で仕切りをつけた方がよいか、集中度合いによってついたてが必要かどうか 等。

2.スケジュール

 どんな活動をするのか、その流れがどうなっているのかを視覚的に示す。
 順序立てが苦手なので、どの順序でやるのかを視覚的に示す。
 ことばの指示の理解が困難なこと、見通しがないと不安なことに留意。
 これから起こる出来事を知る機会を絶え間なく与えることで、「注意」の問題に対応できる。
 その際、分かるものは人それぞれ、という点にも注意。

  A)スケジュールのタイプ
    1)何で伝えるか: 具体的なもの/絵・写真/文字 等
    2)いくつの活動を伝えるか: 次の活動だけ/3つ先まで/半日/1日/1週間 等
    3)提示の方法: 手渡し/カード/シート(紙)/手帳 等
            移動/固定/持ち歩き 等

  B)一人ひとりにあったものを作る(個別化)

◎スケジュールを取り入れる時の鉄則
    1)本人が確実に理解できる(ピンとくる)方法で示す
    2)やってほしいことリストにしない管理監督のためではない。子どもが安心で楽しい生活を送るため。
    3)普通の生活を、無理なく、そのままスケジュール化する今の生活の活動の単位を考慮し、その表わし方を教える。
    4)子どもにとって楽しい活動、意欲がわく設定の仕方を工夫

3.ワークシステム: 自立的に活動するために必要な情報を伝える方法

  4つの原則をきちんと伝える
   1)何をするのか
   2)どれだけするのか
   3)どうなったら終わるのか(終わりの概念が、やる気に関係)
   4)終わったらどうなるのか

  A)ワークシステムのタイプ
   1)左から右/上から下
   2)マッチング(色/形/文字/字・数字絵 等)
   3)リストを使う(単語/文章 等)
   4)フィニッシュボックス(終了箱 等)の使用 etc.

  B)一人ひとりに合ったものを作る(個別化)
   1)視覚的手がかりに何を使うか(文字/マッチング/ものの移動 等)
   2)進行過程と終わりの概念(チェックマーク/ものの移動/場所の移動/終了箱 等)
   3)動機づけや関心への配慮 etc.

4.視覚的構造化: 見ただけで分かる工夫をしよう

  材料を見る前に(見ると同時に)教示がなされるように配慮する。

  A)視覚的指示: 課題を達成する流れを視覚的に示す
          何をするのかがはっきりした材料にする/絵や写真で指示する/
          ジグ(カットアウトジグ)の使用/作業指示書/できあがり手本 等

  B)視覚的明瞭化: 重要な情報を視覚的に強調する
           容器の使用/色や印をつける/場所を区切る

  C)視覚的組織化: 材料や空間を組織化(整理整頓してしまえ)
           材料を容器に入れ分けて配置(カゴや箱の利用)/左から右・上から下の手順
           /領域を限定(感覚刺激を調整し、気が散るのを抑える)

5.ルーチン: 習慣や同じ手順

    1)同じ流れで課題を達成する 左から右・上から下
    2)生活の中でよいルーチンを構成する
      着替えてから遊ぶ/手を洗ってから食べる/食べる→歯磨き→遊ぶ/
      おもちゃを出す→遊ぶ→片づけ/食べ終わったら食器を下げる/
      鼻をかんだらティッシュはゴミ箱に 等

◎最後に
 構造化は、1回で終わるものではありません。この子に合わないという前に子どもに合わせて合うように作り変えることが大切です。どこがうまくいかなかったかを考えて構造化し直し(再構造化)ましょう。そして、再構造化を繰り返します。

 初めての時、ピンとこない時は、ピンとくるまで手をとってやらせて教える必要があることもあります。

 支援する側は失敗から学べます。しかし、本人は失敗からは学べません。学べるのは、成功体験からだけです。再構造化を繰り返すことで、本人が少しずつ学んでいけることを銘記いただければと思います。

支援(かかわり)の基本は、
 ×言えば分かる
 ○「言わなくても動ける」環境設定、見せ方の工夫
   ↓
 指示待ちにならないように、本人が判断したり、表現できる機会をつくるように配慮することも必要です。

 ×言い聞かせる
 ○「見せて伝える」「見れば分かる」「モデルで示す」
   ↓
 しっかり分かることが大切です。支援の形態と指導の目標は「背伸び」する必要はありません。また、本人の調子のよい時ではなく、調子の悪い時に合わせた支援に心がけてください。

「私たちに失敗はない、学ぶことがあるだけだ」… G.メジホフ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 う〜ん、読めば読むほど、わかりやすいなあ。

 でもって、最後のメジボフさんの言葉は私も(通訳を通して)聞いたことがあり、私の頭の中では

「我々に失敗は無い。ただ学ぶだけだ」

となっています。

 それから「家の中に必要な場所」この説明だけ読むと「そんなん、うち広くないし無理やわあ」と思われるかもしれませんが、ひとつひとつの場所は狭くていいので、「見てわかる工夫」さえすればできます。またたとえば同じ場所でも「ちゃぶだいが出てきた」→「食事の場面」だとか「ふとんが出てきた」→「寝る場面」とか。

 それから「初めての時、ピンとこない時は、ピンとくるまで手をとってやらせて教える必要があることもあります。」の部分。多くの特別支援教育の担当者は、「んじゃ手をとってやらせよう」としてずっとそれが続いていくことも多いです。そこらへんの「感じ」は

自立課題学習の指導手順を質問されて

に書いたような「できる限り引く」呼吸を覚えて頂きたいですね。「やる」のは本人なんだから。

 なおレデックス通信はこちらから申し込めます。

https://sv11.wadax.ne.jp/~ledex-co-jp/support/mailmag.html

トップページはこちら。

http://www.ledex.co.jp/

 なお後藤社長さんから

「五味さんが講師、全体監修を務める発達障害ヘルパー養成講座が神奈川県大和市で始まります。継続してメルマガでレポートします。ご期待」

とのこと。ちょうどヘルパーの話題が「ある地域のガイドヘルパー制度2」なんかで出てましたが、こんな養成講座、いいですね。

 おっと、新しい情報が。上記「発達障害ヘルパー養成講座」は今回については定員だそうです。

posted by kingstone at 10:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

中間管理職育成講座初級編 第13回〜第15回

マチート 中間管理職育成講座初級編13


【事例2:わざとらマン】

あなたは,とある街の特殊教育担任者研修会のとりまとめ役に就いて2年目です.2学期最初の研修会の日のことです.小学校の特殊学級に赴任してから4年目になる,日頃から研修熱心な先生が,相談を持ちかけて来ました.今年の研修会のモデルケースにしようと考えていたケースについて,困っていることがあるというのです.

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担任:
 今年入学したヒロシ(仮名)くんのことでちょっと困っています.ヒロシくんは,自閉症と診断されている7才になったばかりの男の子なのですが,その子の言語・コミュニケーションを伸ばす指導やかかわりをどうすればいいか考えているのです.簡単な資料を作りましたので見てください.

あなた:
 (資料を受け取る)コミュニケーション能力を伸ばすと言うことですね.知的には軽度の遅れをもつ自閉症のお子さんですね.先生の資料には,目の前にある品物や動作の命名は可能で,文字を読む能力にも長けているようですね.問題は,自分の気持ちや自分の経験したことを伝えられないためにトラブルが起きているのですね.

担任:
 そうなんです.最近,学校にも慣れたらしく,人の注意・関心を引くことばがどんどん増えて,どのように指導すればいいか悩むことが多いのです.うまく感情やそこへ至る経過をことばで表現できると,問題は解決すると思うのですが.

あなた:
 (ミーティングの進め方の原則に沿って)資料だけではわからないので,具体的に教えていただけますか.今日は9月28日ですね.昨日,先生が「コミュニケーションがうまくできれば解決するのに」と感じたのはどんな時間ですか.

担任:
 昨日に限らずですが,掃除の時間が一番困っています.私やもう一人の担任に対して,「バカ」「オシッコもらしちゃう」と言ったり,時にはつばをかけたりするんですよ.

あなた:
 暴言を吐く訳ですね.きたない,挑発的なことばの代りに,自分の気持ちやどうしてそうなったかを伝えてくれれば,こんなトラブルは起きないというのですね.

担任:
 その通りです.

あなた:
 (背後にある問題点に興味が沸く)そのトラブルが起きる状況をもう少し詳しく教えてください.掃除の時間は何時でしたか.昨日は.(と話しながら,タイムテーブルを即席で作る)

担任:
 掃除は1時10分からです.ですから,注意を引くことばも1時10分直後だと思います.

あなた:
 掃除の前の時間は何ですか?  お昼のことですから給食からのスケジュールを教えてください.

担任:
 昨日は12時20分から給食で,12時50分に給食が終わり,休み時間です.そして,1時10分から掃除です.

あなた:
 ヒロシくんは,その時間割りに沿って動いているのですか.昨日のヒロシくんの動きを細かく教えてください.時間を今プロットしますから(と,メモのタイムテーブルに10分単位の時刻を書き込む).

担任:
 うちのクラスは,12時15分頃から給食の配膳指導を開始し,12時25分頃に食事を食べはじめます.昨日は,ヒロシくんの好きなスパゲッティでしたから,みんなでいただきますをする前から,一人で給食に手をつけていました.何度か注意したんですけどね.だから,みんなが食べはじめてまもなく,ヒロシくんはおなかがいっぱいになっていました.多分,12時半には,席を離れて,部屋の中をフラフラしていましたね.何度注意してもだめでした.12時45分ごろ,最後の子が食べ終わり,ヒロシくんも席に戻して,「ごちそうさま」をしました. 休み時間もヒロシくんは部屋の中をあっち行ったりこっち行ったりしています.不思議なことに,(1時10分の)チャイムが鳴ると,「掃除だよ.掃除しなさい」 と言いながら教室を逃げだすんです. 決まって,トイレ前の廊下に座り込んで,私が追っかけて行くと,その暴言を吐くのです.だいたい,廊下で4〜5分説得して,手を引いて教室へ戻ります.

あなた:
 1年生のヒロシくんも掃除するのですか?

担任:
 一人でできることはないのですが,担任のどちらかがついて,ぞうきんをしぼったり,ゆかをふいたり,机を移動したりします.目を離すと,すぐ廊下へ逃げて行きますから,常に誰かがつき添います.

あなた:
 掃除は苦手のようですね.

担任:
 そうなんです. いろいろおしゃべりするのですから, こういうときにもっと役にたつことばが言えるといいのですけどね.

あなた:
 たとえば,「ぼくは掃除が苦手だし,嫌いなのに,どうして先生はぼくのいやがることをさせるんだい」とかですか?

担任:
 (表情が少し険しくなり).....

あなた:
 冗談.冗談.アハハハ.(と笑って,その場をのりきり,すかさずこれまでの話しをタイムテーブルに書き綴る)
----------------------------------------------------------------------

この会話だけでも,最初のキーワード(言語・コミュニケーション能力を伸ばす)が,現実のトラブル解決に妨害になっているか察しがつきますよね.いかがでしょうか.ちょっと,難解かな?

(kingstone 私がこれを読んだ1996年当時、私はこの文を理解できませんでした。今、手に取るようにわかって爆笑できます。また、2000年くらいから他の学校の他の教師からの相談を受けることが増えました。その時、ここに書かれているようにその先生が「ここが問題だ」と言われて、それは否定せず、まず朝の生活から順番に聞いていくとどこが本当の問題点か、よくわかるようになっていきました。ただし、それをその「本当の問題」を先生に伝えるのは、うまくいったり行かなかったりでしたけど)


マチート 中間管理職育成講座14


KING STONEさんへ

多分,私たちは普段職場で,いろんな意味でプライドを持って仕事をしているのだと思います.熱心に,たくさんの勉強・自己研修を積めば積むほど,このプライドは高くなります.そのプライドは,当然「こだわり」や「枠組み」を形作りますよね.これを真っ向から否定されるのはたまったものではありません.今回の事例の「面白さ」がここにあるのです.「面白さ」と表現するのは不謹慎かもしれませんが,この講座では断固「面白さ」で通していきます.

KING STONEさんが例に出してくれたものも,ヒロシくんの担任の流儀も,ささいなきっかけ(あるいは,伝統)でいつのまにか習慣化されてしまったものですよね.詳細な分析や議論を通して決定したことではないはずです.現実の職場は,こんな専門家(教師,指導員など)の一方的な「こだわり」や「枠組み」がたくさんあります.特に,レベル1の職場は,この塊です.

「どうしてこうするのか?」と人から言われる前に自分で疑問を感じれば,変えてしまうのは簡単です.でも,人に先に言われると,プライドが拒否します.職場(自分の指導方法)を向上させ,よりよい成果を生みだそうとする担任のモチベーションを低下させてはいけません.でも,根拠のない枠組みを守ることでプライドを保とうとしているなら,その枠組みをはずしてあげるのも中間管理職の仕事ではないでしょうか.

と,書きながら自分のことを棚にあげるマチートです.気にしない気にしない.これはジョークの講座ですから. 問題行動の理解と対処法マニュアルのペーパー版のフォームは,自分ではなかなか気にいっています.

Fさんへ

KING STONEさんへのレスでカッコイイことを書きましたが,どうまとめようか悩んでおります. そこでまず, OFFさんが指摘してくれた, 「コミュニケーションを伸ばす」のキーワードと問題解決とのずれをまとめたいと思います.非常にオーソドックスな教科書通りの解決法を提示してから,笑ってごまかしたままの担任にいかにプレゼンテーションするかを考えることにします.

□ 問題の整理

ヒロシくんの昨日のトラブルをタイムテーブルにプロットしてみました.

+--------------------------------------------------------------------+
| 時 間 | 時 間 割 | ヒロシくんと担任のの動き |
+--------------------------------------------------------------------+
| 12:10 | 生 活 | (給食の準備にとりかかる) |
| +----------+ ヒロシくんは一人先に食事に手をつける(担任注意)|
| 12:20 | 給 食 | |
| | | (全員でいただきます) |
| 12:30 | | ヒロシくんは満腹.席立フラフラ |
| | | (担任注意) |
| 12:40 | | ヒロシくんは席につかされる |
| +----------+ (全員でごちそうさま)ヒロシくんの席の後ろに担任|
| 12:50 | 休み時間 | 教室の中でフラフラ |
| | | (給食後始末→自由遊び) |
| 13:00 | | |
| +----------+ ヒロシくんは「掃除だよ.掃除しなさい」と叫び |
| 13:10 | 掃 除 | 全速力で教室から逃げだす(担任後を追う) |
| | | 廊下をかけ抜け,トイレ前で座り込む |
| 13:20 | | (担任教室へ戻るよう説得手を引っ張るの繰り返し)|
| | | 「バカ」「オシッコしちゃう」ツバはき |
| 13:30 | | あきらめ,教室へ帰る |
| | | ほぼ全介助でそうじに参加 |
| 13:40 | | |
+-------+----------+-------------------------------------------------+

タイムテーブルを書き込んでいるうちに, あなたは大変心配になってきました.もうひとつ正確に情報収集しておいた方がよさそうです.教室の見取図についてです.ヒロシくんのクラスは,4人の児童に先生2人と,非常に恵まれた労働条件です.その上,ヒロシくん以外は,グループ活動にほとんどのって生活しているようです.授業のほとんどは,教室の前方(黒板側)の机に座って行われます.ヒロシくんの席は,ベランダから2番目です.給食もこの席で食べます.

あなたは,担任からの聞き取りをもとに,下の図を完成させました.

【教室の見取図】

廊 下
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|□ 本 □□□□□ 遊具置き場 |
|□ 棚 教 材 棚 |
| +--+ |
|| | | ○ サーキット台 |
|| +--+ |
||黒 | | ○ |
|| +--+ 簡 □ |
||板 ○ ○ 易 □ |
|| ○ +--+ +----+----+ ロ □ |
|| +---------+ | | ○ | | | ッ □ |
| | 事務机 | +--+ +----+----+ カ □ |
| +---------+ | | ○ | | | | □ |
| | 事務机 | +--+ +----+----+ |
| +---------+ ○ ○ シンク ■ |
|□□□ ○ ■ |
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ベ ラ ン ダ


マチート 中間管理職育成講座15


□ がっかり

あなたは, 1年半ほど,ヒロシくんの担任と一緒に研修を受けていました.報告書のまとめや勉強熱心さで非常に買っていた人です. そのうえ,昨年は「自閉症療育ハンドブック(学習研究社) 」をテキストに,特殊学級のマネージメント方法について議論し,報告書も作成したのです.

愚痴を言ってもはじまりません. 昨年は,報告書でまとめたマネージメントのイロハがなくても, 何もトラブルが起きなかったのです.つまり,「変わらなくちゃ」のニーズがなかった訳です.

そして,今年ヒロシくんが入学し,マネージメントが難しくなったのでしょう.でも, 教師対児童の比率がリッチですから大問題にはなっていないはずです.そこで, マネージメントではなく,担任のもっとも興味ある,コミュニケーションに解決の糸口を求めているのかもしれません. いや,学級マネージメントの技法を軽視しているのかな. それとも,今の学級マネージメントに絶大な自信があり,他者に触れられるのはプライドが許さないのかな.

理由はどうあれ, 現在のヒロシくんのトラブルは,コミュニケーション能力をどうのこうのとは関係のない(もちろん無関係ではありません) ,非常にお粗末な学級マネージメントを行っているために違いありません.

□ マネージメントのイロハ

継続的なトラブルは, そのトラブルが起きない状況作りに目を向けなくては,何も解決しません. これこそ学級マネージメントのイロハです.ヒロシくんのトラブルは,まず間違いなく,次の2つの基本的な手だてで予防できます.

1) 物理的構造化(教室内の家具の配置替え)
2) スケジュール(ヒロシくん向けの個別化された日課表の作成)

聴講されているみなさんは, これから中間管理職になろうとしている訳ですから, 学級マネージメントのノウハウはお得意ですよね.本講座13と14の情報だけでも, よりよい方法がいくつも頭の中で浮かんでいることでしょう.せっかくですから, 自分のアイディアをノートに書き込んでください.自信がない作品は, 提出していただければ添削いたします.要点は,これから簡単にまとめておきますので,参考にしてください.

□ 教室の物理的構造化

まず, 教室の物理的構造化から解説いたします.物理的構造化の原理は,以下の通りです.新任指導員(教師)研修の資料を抜粋してきました.

「教室の物理的レイアウトは学級マネージメントの最初の基本である. 障害児福祉あるいは特殊教育担当者は, 教室内でAという活動とBという活動を,毎日必ず別の場所で行うことが大切であることを知らなくてはならない.さらに,それぞれの場所が, 視覚的に明確に仕切られていることが大切であることも知らなくてはならない(区画を作る) .これによって,生徒は区画と活動との結びつきを早く理解し,そしてその(教室)環境を早く理解するのである.教師(指導者)は教室において,1日の中でどんな活動をどんな意図をもって行うのか,注意深く洗い出す必要がある. そして,主な活動それぞれの区画をデザインしなくてはならない. 日課の出しにより作成された基本的区画と生徒個々のニーズを擦り合わせれば,最良の教室のレイアウトができあがる.」

ヒロシくんの教室の日課を洗い出してみました. 教室内の主な活動は,次の6つです.

1) 集団(4人一斉)で机についての授業(含む給食)
2) 個別(1対1ないし自習)で机についての授業
3) 集団で動き回る授業(簡易サーキットと体操)
4) 着替え
5) 手洗い・歯磨き
6) 休み時間の自由遊び

生徒個々のニーズとしては, まずヒロシくんの教室からの飛び出しを考慮する必要があります.ただし,逃げ出しのスタート地点は,「集団で机についての授業」「集団で動き回る授業」「着替え」「休み時間の自由遊び」の4地点です.他の生徒について,現時点では特に考慮すべき点がないとすれば,

1) 逃げ出すスタート地点から出口までの距離を長くする
2) 出口まで走り出す間に教師がブロックできる

の2つが, 生徒側のニーズとして考えられます.「自閉症療育ハンドブック」や「自閉症のトータルケア(ぶどう社)」に紹介されている見取り図を参考に,両者を擦り合わせてみましょう. きっと素敵な教室のレイアウトが出来上がったことでしょう.家具は増やしてもかまいませんよ.

ということで,Gさん,Cさん,Dさん,こんな風に話をもってきてしまいました. 拍子抜けかもしれませんが,主題は「キーワードは現実のトラブルを表さない」事例紹介なのですから.


kingstone つい先日、ここに書かれていることの入り口をもっと簡単にある先生方に伝えました。伝わったかなあ・・・伝わらないかなあ・・・

posted by kingstone at 08:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする