図書館で借りて来ました。
中身の初出は1993年から1994年。ここんとこ大事だと思います。つまり1995年3月のオウム真理教事件以前。確か中沢さんはオウム事件に関連して批判を受けたことがあったと思いますが、この本を読む限りは、ごくまっとうなことを書いてはるなあ、と思います。
リアルであること「宗教は、若者に出家をよびかけた。いまある世界から、別のところへ出てこい、とよびかけた。(中略)彼らの多くは、それがかつて親たちの世代をとらえていた、イデオロギーの代用物だとは知らないで、宗教的な共同体のなかには、新しい別の世界があるのだ、と思い込もうとした。
(中略)
リアルを見るために生まれ育った世界を出たものの、リアルに近づくどころか、別の幻想が彼らを待っている。」
思想の二十世紀、グノーシスの時代 グノーシスって言葉はよく見かけましたが、よくわかりませんでした。
「戦前のドイツで、古代宗教を研究していたハンス・ヨナスは(中略)ハイデッガーに代表される現代思想と、古代グノーシス思想とが、きわめてよく似たニヒリズムの発想とトーンをもっている、という事実を見いだしたのだ。」
「グノーシスの思想は徹底した二元論を特徴としている。『聖書』のように、神がこの宇宙を創造し、その神が唯一の神であると考えると、宇宙は一元的にとらえられる。ところがグノーシスの思想家たちは、そのようにして神によって創造されたこの世界が、ひどい苦しみや腐敗や混乱に満ちているのは、どうしてか、と問いつめたのだ。」
「真実の神は、人間の生きている世界からは、隠されている。その神は宇宙の創造には、いささかもタッチしたことがなく、この宇宙のどこにも所属していない。人間は叡智(グノーシス)によって、それを理解しなければならない。それを知って、悪の神によって創造されたこの世界を否定し、そこから、抜け出すことを、試みなければならない。
このような二元論の考え方を、グノーシスは徹底的に追求しようとした。そのために、それはキリスト教会最大の敵となった。」
で、ニーチェ、ハイデッガー、マルクスなどもグノーシス的であると。
ところが80年代のエコロジー思想というのは、グノーシス的なソフィアから反グノーシス的なマリア的なものが人々に浸透し始めたのではないか、と。
概念の復活一神教
よく一神教と多神教の対立などと言われるが、多神教やアニミズムの背景にはグレート・スピリットと呼ばれるようなものへの信仰があるのではないか。また一神教にも多数の精霊や天使が存在する。
posted by kingstone at 19:16|
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