当事者が語る結婚・子育て・家庭生活―自閉症スペクトラム 青年期・成人期のサクセスガイド〈3〉 .../服巻 智子

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めっちゃ面白かったです。
当事者の方が講演したものに服巻さんがコメントをつける形の本です。語った当事者は5人。それにお医者様が2人現在の自閉症の診断・やかかわりに関することと薬物療法(二次障害を軽減する)について語ってはります。(お医者様が定型かどうかはわかりませんが)
しかし「面白かった」と書きましたが、これは失礼なのだろうか?また当事者の方が読むとどういう感想を持たれるのだろうか?「面白い」というより「そうそう」と身につまされる方が強いのかな。そこらあたりが少し疑問だったりもします。
最初に出てきた満石理恵さんのところから引用します。
この方はアスペルガー症候群。お子さんがアスペルガー症候群の診断を受け、勉強しているうちに自分もか?と思い診断を受けた結果、確定してはります。現在は服巻さんが総合センター長をしている「それいゆ」の支援や様々な支援を受けて困難を減らした生活をしてはります。
現在、夫(定型)、お子さん二人(一人はアスペルガー症候群、一人は定型)とワンちゃんと暮らしてはり、敷地内には義母さんが住んではるよう。
「主人(三十歳)はやさしく、おだやかな定型人です。そして、とってもとってもポジティブ君です。でも、私から見たら、コミュニケーションが成立しない人です。
たとえば、私が言う『あれ』とか、『あのときのあれが』がまったく通じません。私は、自閉症の人は『あれ』とか『これ』が通じにくいということを勉強した時だったので、『夫も自閉症だ』と思い込んで、服巻先生に相談しました。
すると、服巻先生は「うふふ、ご主人は思い切り定型人よ。あなたがコミュニケーションがとれないというのは、あなたがアスペルガーだからよ」と、はっきり教えてくれました。つまり、アスペルガーの私の『あれ』とか『これ』が、定型の主人に理解できるはずがないということです。
ということで、主人の自閉症疑惑をめぐる事件はあっけなく幕を閉じました。
考えてみると、定型さんがよく堂々と『自閉症の人はコミュニケーションがとれない』と言いますが、私たちの方から見たら、定型さんこそ『私たちとコミュニケーションがとれない人』になってしまうのです。」
「次男(四歳)は、どうやら定型人。幼稚園の年少さんです。小さいながらも典型的な定型人として生きています。私や長男の自閉症をまだ理解できていませんが、年齢相応の社会性を身につけているようです。
自閉症の子どもを持つお母さん方が、「もう、自閉症ってわかんな〜い」と言うのと同じように、私にとっては次男こそがいちばん得体の知れない生態系で、『定型人ってわかんな〜い』という存在です。
ムック(犬、八歳)は、私のお嫁入り道具です。嫁入り時に母がタンスと一緒に持たせてくれました。そのおかげで、子育てをする前の練習や、他者と共存するための練習ができました。」
ワンちゃんのこと、よくわかるような気がします。
おいたちのことが出てきます。
「まだ困ったことに気づいていない幼少期、なんとなく期の私。だいたい私は、気に入らないことは家にお持ち帰りして、家でパニックを起こすタイプでした。」
よくわかります。この場合、保護者から「家でこういう状態で困っています。学校で何かありませんでしたか」と尋ねても「とんでもない。学校では何も問題ありません。とてもいい子です」と答えられてしまいますね。で現象としてはそれは正しい。
「『無視される』ということを『親切』だと思い込んでいましたが、最近それが『いじめ』だったということにやっと気がついて、落ち込んでしまいました」
こういうことあるでしょうね。あるいはパシリにされているのに気がつかないとか。
お母さんは満石さんをあまり否定せずに、上手に育てられたようです。
「小学生時代は『キングオブお利口さん』な私でした。
何でも『お利口さんはね・・・』と母が教えるままに従っていたら、学校でも有名な『お利口さん』となりました。コンクールやコンテストも大好きでした。一番病も手伝って、弁論大会や絵画コンクール、作文など、いろんな賞をもらいます。児童会長にもなりました。
中学校でも『キングオブお利口さん』継続です。レベルアップして生徒会長になりました。
母は『お利口さん』の追加事項を教えてくれましたが、年齢相応の修正がなされていませんでした。しかも『お利口さんスキル』が『子ども限定スキル』であることを知らないので、日々謎が深まるとともに、成長するにつれて困ったことが出て来ました。
たとえば、あいさつ。『オハヨウゴザイマス!』と、小さい頃はスローで、大声で、語尾を上げて言うことが多い『お利口さん』。でも、大人になってから会社で同じような調子であいさつをしたら、『ふざけている』と怒られました。この失敗の後、とても研究をして、小声で、しかも早口で、何かをしながら忙しそうに、「おはようございます」と言うのが理想になりました。」
満石さんはこういう「研究」で結構しのいで来られたようです。
「高校は、進学校の普通科に進学しました。小学校以来の一番病にかげりが出てきます。このショックで不登校になりました。
でも母は柔軟な人だったので、『無理して行かなくてもいいよ。でも、学校を休む日は家で働いてね』と労働の義務を与えました。母は美容院を経営していたので、タオルを洗ったり、掃除をしたりという労働でした。お客さんとの会話のやりとりに苦労したり、日当五十円の激安労働に『学校は嫌だが、家の仕事より勉強の方がましだ』と思い直して、学校に戻りました。このことは何度か繰り返して学びます。
この時期『不良』と呼ばれる、親切めいた人たちにも出会いました。でも、不良のみなさんとのグループ活動が苦手で、脱落しました。」
なるほど。
高校卒業後、建設会社に就職。配車オペレータとなり、稼働率を上げるために分単位の配車管理をし、売り上げを伸ばしはります。経営者さんにはとてもかわいがられ、現場のオペレータさんにはとても嫌われたとか。オペレータさんの事情をまったく考慮しなかったそうですから。
仕事のあと、余暇スキルが無いため、暇だったので居酒屋の厨房でも働き始めます。魚の三枚おろしの才能が開花したとか。アスペルガー症候群の人は不器用とか思っていたけど、自分の集中できることには強いのですねえ。
「たまたまレポーターに合格して、働き始めたのですが、自分に素直なコメントをすると怒られました。なので、モード変換。変身スキルを身につけました。スポンサー契約制度なので、スポンサーに嫌われないことが大切です。しかも、化粧の仕方ひとつで契約金がアップすることを知って、身だしなみの大切さを学びました。
最終的に『レポーターが自分に合わないな』と思ったのは、『自由にしゃべっていいよ』と指示されたアドリブコメントのときです。もちろん、私のコメントは期待外れが多かったらしく、辞めることにしました。」
すげえなあ、と思うのはレポーターに合格してはること。少なくとも台本のある時など、画面を通して「ごく普通」に見えてたってことですよね。ほんと私などお会いしただけではわからない当事者さんがたくさんいるわけだ。
「結婚式は泣いてばかりいました。花嫁さんが泣くということはよくあること。でも私は、感動とか感謝とか、いままでの人生を振り返って泣いたわけではなく、結婚が最大限の変更であり、その変更がその後も続くであろうという不安におののいていたのです。
私の気持ちをまったく知らない司会者の方は、『花嫁が感激の涙を流されています』とおっしゃっていました。本心は『恐怖』だったのです。
最近、主人に『ね、ね、どうして私と結婚したの?』と聞くと、『あなたは自分にないものをもっていたから』と答えました。たしかに、あなたは自閉症をもっていませんものね(笑)。」
結婚後の満石さんには義母さんやご主人・地域の人などたくさんの人が「どうしたらいいか」を教えてくれました。しかし2年目以降問題が出てきます。
「『結婚生活って大変だなあ』と実感したのは、結婚二年目あたりからです。一年目と異なり、周囲の人たちがまったくと言っていいほど、詳しく教えてくれなくなったのです。求められるのは”暗黙の了解”」
そして出産。満石さんは自分なりに研究してモード変更で対応していたようですが、一気にモードが増えていきます。
「周囲の人の私に対する呼び名も変化しました。結婚直後は『若奥さん』、ある時から『満石の奥さん』『満石のお嫁さん』と呼ばれ、『理恵』はどこにも出てこないのです。さらに、子どもが生まれると『ケント君のママ』『コウ君のママ』と呼ばれます。動物病院では『ムックちゃんのママ』です。相手によって呼び名が変わることに、ほとほと困ってしまいました。
でもある時、その呼び名がモード変換のヒントになっていることに気づいて、それを利用することにしました。」
お母さんが用意してくれた「嫁ブック」には子どもを産むところまでしか書かれておらず、子育てについては書かれてなかったとか。(そら「嫁ブック」だけでもすごい話で)研究や勘で動くことが通用しなくなった時にアスペルガー症候群の診断を受けたそうです。
「私は、主婦業の生活スキル(家事や洗濯、掃除など)はもっています。でも『料理をしながら洗濯をする』という、主婦という名の総合職をこなすことはとても困難です。苦手というか、間違えやすいのです。」
である日の夕方の具体例が出てきます。要するに「目に入ったもの」「気になったもの」を次々にやってしまい、優先順位がつけられず、失敗のリカバリーに時間を取られ・・・といったことです。「片づけられない」人の特徴というかADHDの人の例として私なんかが聞いていたことに近いかな。
で結局どうなったかというと1日3時間睡眠で頑張ると・・・かつ食べる時間がもったいないと一日一食にしたと・・・
苦手なものとして。Lサイズのアイロンかけは得意なのに3Lには1時間かかる。雑巾作りに「どこから作ろうかな」と考えるのに30分。縫うのは2〜3分。
スーパーのタイムセールが怖い。「今日だけ今だけ98円」という事態に対応できないから。今では支援者のサポートで、ラッキー貯金箱というものをつくって、安く済んだ差額は、使わずに貯金箱に入れられるようになったとか。
「『それいゆ』の支援を受ける前、精神科で何回かカウンセリングを経験しました。カウンセラーの方はとてもやさしい方でした。『がんばっていますね』とか、『そのペースで』と珍しくほめられてニコニコしていました。しだいに、『何をどうやって、どんなふうにやったらいいのか』とても知りたくなりました。
心理士をしている主人の姉にも相談しました。『カウンセラーさんて、とってもやさしいですよね。でもどうやったら私の生活がうまくいくかを教えてくれないんです。注意もしてくれないんですけど・・・』と言うと、姉は『それがカウンセラーの仕事だよ』と教えてくれました。
私は精神科のカウンセラーの仕事の枠外のことを求めていたのです。私は、自分の生活をどう改善すべきか教えてもらいたかったし、具体的な提案がほしかったのです。」
これよくわかります。私がカウンセリングの勉強をしていた頃、少なくともクライエントセンタードの立場のカウンセラーは相手(クライエント)に対し「解決法を示してはいけない」という強いしばりがありました。それは「相手(クライエント)が自分で見つけるもの」であり、カウンセラーはそれをお手伝いするだけだ、と。そして「教えすぎる」風潮の中でそれが大きな意味を持ったのも事実だと思います。実際の所ロジャースが「そういうことをしてはいけない」と言ったわけではないと思うのですが。
また「話を聞く」だけでも大きな意味を持つ発達障害の方もそれなりにいらっしゃることとは思います。
しかし発達障害の方の困っている状況を解決していこうとする時、障害特性に基づいて、具体的な解決方法を一緒に考えていくことも大事になると思います。
今、学校現場にスクールカウンセラーが入ることも多くなっていますが(そして労働条件は決して教師ほど恵まれていないようですが)そこらあたりはどうなのだろう。少なくとも「このお子さんはアスペルガー症候群かもしれません」というようなことはおっしゃることもあるようですが。様々な困っていることの具体的な解決法は本人や周囲に伝えてはるだろうか。
もちろん例えば「目に見えるもの」でソーシャル・スキル・トレーニングをしておられるスクールカウンセラーさんもおられることは知っています。数的にはどうなのかなあ。
「『それいゆ』のサポートとして、まずカウンセリングを二パターンで実施しています。
1.私と主人がそれぞれ別々にカウンセリングを受けます。
2.私と主人が一緒に、たまには家族そろって、家族のバランスを見てもらうために受けます。私と暮らす自閉症ではないメンバーも支援を欲しているようです。」
「初めのうちは、主人は定型さんですから、『家族の問題はできるだけ知られたくない』と思っていた時期もあったそうです。服巻先生に、『おれが愛情でなんとかします』的な発言をしょっちゅうしていました。でも、愛情でなんとかならないから、ここに来ているんです(笑)。そして愛情ではどうにもならないことがわかったようで、今では『それいゆ』を信頼し、夫婦間の問題も含めて我先に連絡を取っている主人です。
カウンセリングを続けることで、やっと主人は私とコミュニケーションがうまくとれるようになってきました。」
「スケジュール(毎日、週間、月間)づくりは、できるだけ”スマートにコンパクトに”をモットーにしています。
家事のやり方には、今でも私には思いつかない組み合わせがあることを発見できました。しかし、それは一般的な普通の主婦のみなさんはいとも簡単にやっていることのようで、いわゆる『普通のこと』だったようです。私は、主婦スキル不足ではなく、プランニングに問題があることを、重々知りました。」
とのことですが、後に出てくるスケジュールは結構細かいです。お子さん、ご主人のスケジュール(と言ってももちろん理恵さん用)も同時提示でそちらはかなりおおまかですが。
「『それいゆ』で脳と身体は別だと教えてもらいました。脳は思考が多動なので、それに合わせると身体を傷めてしまいます。疲れを感じにくい私は、体温チェックを日課にしました。
それまでは四十度にならないと体調不良に気づかないタイプでした。同時に、『プールに行く』と決めていた日は、四十度あっても行っていました。
『脳に合わせると寿命が縮まる』という危機感を感じて、長生きするために休息をとるようになりました。」
今Twitterでやりとりしている当事者さんでも、体調・体温などお気づきになりにくい方がおられるようです。ほんと客観的にモニタリングするシステムが必要な方もおられるようですね。
「私の言葉は長男に通じても、次男には通じないこともあります。たとえば次男が一歳の頃、『そろそろ就寝の時刻です。消灯します』といくら言っても通じませんでした。長男には通じたのに。
それで、私の言葉を赤ちゃん言葉に変換してみました。『もう、ねんねの時間になっちゃったよ。電気を暗〜くするね』と言ったら、一発で次男に『うん!』と通じたのです。これは習ったことなのですが。
最近では『赤ちゃん言葉、子ども言葉』をずいぶん練習しましたので、かなり通じるようになりました。もちろん、これも支援を受けたからです。」
「●魔法の言葉『あなたのこと、大好き!』
次男は『イヤイヤっ子』状態のとき、『あなたのこと、大好き!』と言っただけで、ルンルン気分で行動します。
でも、私や長男がこれを言われたとしても、『「大好き!」とこの活動は何の関係があるのでしょうか?』と突っ込むはずです。このスキルも、支援を受けて学んだことのひとつです。
この魔法の言葉を主人にも使ってみました。たまたまゴミを出す曜日に、思いゴミを両手に持ちながら、『あなたのこと、大好き!』と朝六時三十分に言ってみました。すると、『ゴミ、出してあげようか!』と言ってくれたので、『これは使える!』と確信を得ました。それ以降、ゴミ出しの日の朝は、必ず『あなたのこと、大好き!』と言うようにしています。」
なるほど。最近いろいろ言われることの多い「ありがとう」にしても、本当に魔法の言葉なんだろうな、と思います。
「夫婦ですから、主人と私はときには夫婦喧嘩もします。支援前の喧嘩の様子を紹介しましょう。
喧嘩というよりも私のパニックだと思われます。主人は服巻先生に、『喧嘩にはなっていない』と報告しています。パニックになる時間帯はだいたい夜中です。激しいときは、どこから力が湧いてくるのか、洋服ダンスを飛ばしてみたり、ソファを持ち上げてみたり。決して腕力が強いわけではありません。タンスやソファに問題があるわけでもありません。ただ目に入った物を投げてしまうのです。
主人は、『洋服ダンスを投げるからには、それ相当の理由があるはずだ』と考えて、親切にも質問責めになります。でも、残念ながら、大きなパニックを起こしたからといって、原因が大きいとは限りません。私の場合、パニックの大きさと原因の大きさは比例しないことが多いです。リアクションをしないパニックのほうが、問題が大きい場合もあります。」
「こういったことが何度かあり、それ以後『それいゆ』がカップルカウンセリングを開始してくれました。そして、『それいゆ』と私たちの間で三角関係の協定を結びました。」
「喧嘩になりそうになると、お互いの言い分をそれぞれに電話で『それいゆ』に伝えます。『それいゆ』は、主人の言い分を自閉症仕様に変換して、私に伝えてくれます。逆に、私の言い分は定型仕様に変換して、主人に伝えてくれます。夫婦間の約束、『喧嘩は<それいゆ>を通しましょう』が成立しました。
それ以後、パニックになるような夫婦喧嘩は影をひそめて、事件にもならないで済んでいます。支援を受けていなければ、私は事件を起こすようなことをしていたかもしれないし、育児の面でもネグレクトや、主人に対してもDV妻になっていたかもしれません。」
これまたなるほどなあ、です。世の中の虐待関連の事件にも、背後に発達障害はおおいにありそうですから。
●「それいゆ」からの具体的サポート
・優先順位つきスケジュール表
・モードチェンジのための「”わたし”の役割」というモード変換表
優先順位の数字あり。
・適当な服装アドバイス
・ソーシャル・アーティクル(ソーシャル・ストーリーズみたいなもの)
後ろに出てくるのは「お客対応マニュアル【アポなし突撃訪問者Ver.】」というもので、これで悪質訪問販売者などを撃退している模様。
・支払いリマインダー
・体温目安表
・夫婦円満ノート
これは「それいゆ」の支援か、ご本人で考えはったのかはわかりませんが、要するに交換日記ですね。ほとんどお互いのお詫びノートとなっているとか。
「●義理陣営へのカミングアウト
シナリオを準備して、義理陣営(婚家の親族)にカミングアウトをいざ決行しました。最悪の事態を予想していたにもかかわらず、意外に受け入れOK。診断を受けて三年間、必死に定型人を演じていたつもりだったのですが、私の風変わりさは周囲でも有名だったようです。
受け入れてはもらったものの、いちおう確認のために、『すみません。結婚前はアスペルガーとわかっていなくて結婚しましたので、いったん離婚したほうがいいですか?契約の変更は要りませんか?』と義理陣営に尋ねてみました。すると、笑いながら、『要らない』と言われました。(笑)
私が役に立つこともあるそうです。普通、二十日間もかかる伝票整理などの仕事を、私はたったの三日間でやってしまうことができます。データ収集なども、とても得意です。」
なるほど。まあ笑い話ですまない人もいるかもしれませんけど。
「主人がたまにくれるサプライズプレゼントも、突き返すことなく、ありがたく頂戴できるようになりました。以前は、贈り物は予想外の変化なので、嫌って突き返していたのです。」
「たとえば、出先で、『あら満石さん、こんにちは。いつもお世話になっています』とよく誰かに話しかけられます。そんなとき私は、『いえいえ、お世話なんかしていません』とか、『いつ、どこで、誰がお世話したのでしょうか?』と聞き返していました。お世話をした覚えがないからです。すると、だいたいの人が『えっ?』という顔をするのです。
『これはどうもおかしい』と思い、バージョンを変えることにしました。主人に毎日、誰にどんな風にお世話したのかを調査します。そして、調査したターゲットと出くわしたとき、私の方から話しかけることにしました。
『あら、○○さん、こんにちは。先日は主人がたいへんお世話をしました!』。すると、相手の方は、とっても申し訳なさそうにお礼を言い始めます。さらに翌日になって、お菓子を持って丁重なお礼に来られたとき、『あれ?こんな設定ではない』と思いました。
この作戦もどうやら失敗だったらしいと気づき、結局、主人に『もう人にお世話なんかしないで!』と激怒することになってしまいました。
それで困ったあげく、『それいゆ』に相談し、解説をしてもらい、『お世話になっています』というのはあいさつの一種であることを知りました。そういうときは、お世話になっていなくても、『こちらこそお世話になっています』というセリフを言うものだ、ということも習いました。実践してみると、とてもスムーズ。『これは使える』と思いました。」
まあこのような例があといくつも出て来ます。
「主婦の私が今ほしいのは、ジョブコーチではなく、カウンセラーでもなく、ホームヘルパーでもありません。他人と理解しながら生活するための通訳や、生活プランニング、生活全般における相談役です。いわゆるライフサポートを望んでいます。」
つまり、現在「それいゆ」で受けておられるようなサポートでしょうね。どのくらい費用がかかっているのかな?
コメント欄で服巻智子さんは
「オーストラリアでは『安定している人であっても、日常生活のソーシャルワークの中で落ちてしまって、一気にうつの状態になる人が多いので、最低でも月に一回のモニターは予防のために必要だ』ということが認められていて、月一回の発達障害専門のカウンセリングは成人の誰にでも(安定して仕事や家庭をもっている人でも)無料で提供されています。オーストラリアのカウンセリングの一回の相場は二万円ほどですが、それを行政が認めて提供しているわけです。」
と述べてはります。
もちろん結婚ということ維持するばかりがいいことではないでしょうし、独身で、あるいは離婚されて生活される人、様々であるとは思います。しかし「通訳してくれる人」「サポートをしてくれる人」がいることで楽に、うまく生活していけることは多いのだろうなあ、と思います。
他の方の部分も、相当に面白く、参考になります。