私の関わりのある法人
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※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2010年04月30日

自閉症の人とコミュニケーションしようとして失敗した話

 大昔の話です。

 知的障害特別支援学校にいた頃。


新横浜の駅にて。

 PLANETという安くコーヒーの飲める広場みたいなところで時間待ちを
していました。私の横に座った兄ちゃん、切符をパチパチはじいてます。
あっ、この人自閉症やな、と思いました。

 携帯のバッテリーが切れかけて、どっかで電気を取ろうと立ち上がり
かけたらその兄ちゃん「アーーーッ」と大きな独り言。なんかその独り言
で席を立ったと周囲に思われたら嫌だなあ、なんて思ったりして。

 実際、その周囲の人もそそくさと他の場所へ。

 さて、私は看板の電源コンセントから少し電気を拝借。

 兄ちゃんは、しばらく声を出してから立ち上がると店の中をうろうろ。
 その間に、兄ちゃんの座っていたテーブルにアベックが座りました。
 しかし兄ちゃんは気にせずまたそこに座ります。で、声。

 アベックはパッとどいちゃいました。

 見てて、話を聞いてみたいなあ、というのもあったし、ここでは
大きな声は出さないでね、って伝えられるかなあ、なんてすけべ
根性があったのもあって(アセ)にいちゃんの隣の席にすわりました。
兄ちゃんは、切符(見ると入場券でした)をパチパチするのに集中して
ます。

 で、筆記用具とノートを出した上で、うーん、どうしようかな、と
思ったすえ、彼のジーンズ(太股のとこ)をそっととんとんしました。
にいちゃんは笑顔(と見えた)でしっかりこっちを見て小さな優しい
声で「なに?」と言いました。

 私が「新幹線を見にきたの?」と聞くと・・

 彼はすっと立ち上がり、商品の棚を見て、それから去って行きました。

 うーーん、話しできんかった。

PS. 18:09の500系のぞみだったのを、17:09のに変えました。
  何がくるかな、と見てたら、やったぜ、かものはしが来ました。
−−−−−−−−−−−−−−−
 ○○さん、こんにちは。

 >この時、彼はどんな事を考えていたのかな…って思いました。

 たぶん、
「せっかく自分なりに余暇を楽しんでいたのにわけのわからんことを言う、
 余計な邪魔が入ったわい」
と思って去って行ったのじゃないかなあ(アセ)

 どう伝えるかに迷ったあげく、ノートと筆記具を出しながらも、
声かけでまずやってみようとしたのですが、ノートに
「新幹線を見に来たの?」と書いたらどうだったろうか、
と今でも思っているんです。

 そしたら落ち着いて答えてくれたのじゃないかなあ、なんて
思って。わかんないですけど。

 でも確かに初対面(当たり前)だし・・・まず声で、と思ったのですが、
うーーん、今でもやっぱりどうするのが一番だったかな、と思ってます。
ひざとんとんの時は二人の間にちゃんとつながりがあったと思うもんなあ・・・
−−−−−−−−−−−−−−−
 □□さん、こんにちは。
 レスありがとうございます。

 > 自分が研究発表とかするときに感じるんですが、質問って、例えそれが好意的
 >なものであってもされる側にしてみれば攻撃的であると感じられる場合がありま
 >すね。

 そうなんですよね。

 > でももし自分が話しかけるとしたら、質問形式ではなくて、並行する話題を独
 >り言のように話すかノートに書くかすると思います。
 > 例えばノートに
 >  100系ひかり こだま
 >  200系MAX
 >  500系のぞみ
 >  1000系なんとか  (鉄道事情にはうといもんで・・・・^_^;)
 > なんて書いて、さりげなく彼が見えるようにノートとペンをそこらに置いたり
 >して。

 ああ、なるほど。そういう手もあったか。
 
 本当に迷ったのですが、直接どーんと音声にしろ文字にしろ絵にしろ、
直接本人にドーンと語りかけるというのでなく「平行」で近づいてく、って
手もあったか・・・

 でね、私の場合やっぱり「まずは音声言語で」みたいなのがやはり
あったのですね。で、これって「周囲の目」みたいなのへの配慮(?)
があるのかもしれない。実はそんなものないのに・・・

 だけど、初対面でお互いの知り合いがいない状態の時、また直接ドーン
といかないといけないな、って時、どうするのがいいんだろう。

 やっぱり視覚に訴えるとこからやった方がいいかな。
 少なくとも視覚・聴覚両方に訴えるようにした方が良かったな・・

 もちろんある方から「別にさっと立って去っていっても嫌とばかりは
限らないのでは」というご意見も頂きました。なるほど、そんな場合も
あるかな。でもある意味でストレスを与えただろうなあ、とは思って
います。
−−−−−−−−−−−−−−−
追記
 今思うに、やっぱり音声言語がまずかったよな、と思います。
 それと「指導しよう」みたいなすけべえ根性。
 ただ知り合いになりたい、それだけで良かったんですよね。





posted by kingstone at 11:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

うろうろしないこと(卒業式参加についての番外編)

 大昔の話です。

 知的障害特別支援学校にいた頃。


 担任と子どもとの関係の番外編です。

 私より以前の担任さんは、たいへん指導力のある方でした。

 すごくメリハリのきいた指導をされ、困った行動をする時は叱り、良い
行動をした時はほめ、また楽しいこともいっぱいされていました。体を
使っていろいろすることが多かったかな。A君だけでなく、この方がおられる
と他のお子さんでもあまりうろうろ動いたりしないことが多かったです。

 またすごい偏食のお子さんが、この方が側に来ただけでぱっと嫌いな
物を口に自分で入れる、という行動もみられました。でこの方がいなく
なると吐き出す・・・

 私が担任してから木工の授業をしていました。木材を電動糸鋸で切る、
という課題の時にこの先生が来られました。「久しぶりやなあ」と言い
ながら一緒にA君と材木を切ろうとしました。A君はものすごい抵抗を
して電動糸鋸の側に寄りませんでした。

 私が変わってみるとA君は何の力も入れず私に手をまかせ、一緒に
材木を切りました。その時私は何も気づいていませんでした。しかし
その先生が

「あっ、お前、KING STONEさんとやったら切るねんな。こいつう」
と大笑いしはりました。

 その時「あっ俺みたいな情けない教師でも、この業界で生きていく
意義(あるいは必要性)もあるのかもしれないな」と思いました。

 たぶんこの担任さんが側にいればA君は立ち歩いたりしないことと
思います。通常校に交流に行き、本人にとってわからない授業で
あっても動き回ったりすることは無かったと言いますから。
(私とだとわからなかったり、退屈したりするとうろうろしようと
 しましたし、いろいろ要求しようとしました。それを前担任さん
 は不思議がっておられました)

 すごい関係が作れれば立ち歩いたりしないのかもしれない。

 しかし、そんなすごい関係が作れるよりも、あまり濃い関係がなく
ても、あの手この手で本人がわかって納得して座ったり、動いたり、
あるいは拒否したり、してくれる方がいいな、って思っています。
−−−−−−−−−−−−−−−
追記
 威嚇と暴力の上手(?)なリーダーさんのことですね。
 もちろん障害児教育フォーラムに書いていた頃は、そんなことは書け
なかったのですが。

 また前にも書いたことですが、当時、またそれ以前、その知的障害
特別支援学校において、ほとんどの教師が自分は手を下さないにして
も、この先生を頼りにしていた、という事実には重い意味があるなあ、
と思います。

 虐待への芽は、誰の中にもあり、容易に発現します。

川を渡る

posted by kingstone at 11:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

卒業式の校長先生の話の視覚支援

 大昔の話です。

 知的障害特別支援学校にいた頃。

 
 まったく同じ題名のエントリーもありますが・・・

 そうそう、校長先生の話をどうしたか、を書くのを忘れていました。

 まず係なんですが、絵を描き用意するのは「掲示」の係が、
当日の用意や、現場でめくるのは「会場係」がすることに決まって
いました。私はアドバイザーとして入ります。

 今までホワイトボードに、半分に切った模造紙をくっつけて
みんなに見せていました。しかし、これだと卒業式の時、
ホワイトボードってのが(しかもそのほとんどの部分は使わない)
なんか間抜け・・・

 飾りをつけるのもたいへん(労力がかかる)し。

 そこでOHPでやってみました。周囲がある程度明るくても見えるし、
スクリーンを特別飾らなくても違和感ないし、よしこれでいこう、
ということになりました。またOHPシートに描くのは模造紙に描くより
簡単です。

 校長先生の原稿が2日前に上がってきました。
 私は「校長先生の絵を描く係」の人をつかまえ、さあやりましょか、
と声をかけました。私は絵コンテ用紙(1枚のA4の紙に8つの下書きが
描けるようにしている)を用意します。

 二人で原稿を読み、どこを絵にするか相談します。
 1段落に1枚か2枚ということにしました。例えば

「春めいてたいへんいい日よりになりました。梅の花も咲き、みんなの
門出を祝っているようです。云々かんぬん」という3〜4行ある出だし
の挨拶は「梅とお日様」の絵1枚だけ。

 結局12〜3枚ですみました。

 マカトンシンボル集やボードメーカーの中のシンボル集(PCS)を参考に
しながら二人でアイデアを出し、私が下書きをラフに絵コンテ用紙に描いて
いきました。

 ここまで20分くらい。
 その後、係の先生が30分くらいかけてOHPシートに清書されました。

 翌日、絵を描く係の先生と、絵を当日めくる係の先生と私とで、校長先生
と打ち合わせ。その中で「よしこの絵ははずそう」「よしこの段落は
絵に描いているところ以外はしゃべるのをやめよう」と校長先生が判断して
いかれました。

 この打ち合わせは5分かかっていません。

 本番、まあちゃんとできたんじゃないかな。
 子どもたちも視線をよく向けていました。

 実際、教育委員会の方やPTA会長さんの挨拶は何も頭に残っていませんが、
校長先生の話は映像として頭に残っています。(って下書きを描いたから
かもしれませんが(笑))

 しかし、事情があって、スクリーンの位置が在校生のみんなに見えない
位置だったのは少し残念です。まあ来年は見えるように、全体の席の
配置を変更することを提案しておきました。

 さて来年度はどうなるでしょうか。
−−−−−−−−−−−−−−−
追記
 前にも書きましたが、翌年か翌翌年から、PTAからの申し入れで、
PTA会長の話も視覚支援することになりました。

 今はOHPじゃなくパワーポイントを使っているはず。





posted by kingstone at 11:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

その他の卒業式・卒園式関連

 大昔の話です。

 知的障害特別支援学校にいた頃。


○○さん、こんにちは。

 □□君、ご卒業、おめでとうございます。


 >教訓だよ、先生方。
 >式場の飾りつけ、置物は、当日変更しないように! (^。^)

 あははは、でもうちも当日変更になります。

 >せっかくのPCSシンボルのスクリーンが、パンジーに負けちゃいます。

 私のところはOHPで出すことになりました。
 で、残念なことにいろいろあって卒業生や来賓にしか見えない位置に
スクリーンを置くことになってしまいました。在校生ごめん。
−−−−−−−−−−−−−−−
AAさん、こんにちは。

 わっ、BBくん、座り続けることができたんですね。
 えらい、えらい。
 
 小学校でもいろんな問題は起こると思いますけど、ひとつひとつ
対処していけば解決できない問題なんて無いと思います。
新たな生活に向かってGOですね。(ニコ)
−−−−−−−−−−−−−−−
 CCさん、こんにちは。

 わあ、熱心な先生方のおられる園に通っておられるんですね。
 なかなか講演会などに行ってくれる方って少ないと思いますから。

 >でも、今年の卒園式(確か、来週)は欠席させるつもりです。
 >先輩たちの門出の舞台で、いつものようにウロクロしたり、お気に入りのビデオの
 >せりふを突然しゃべりだしちゃあまずいでしょうから・・・(^^;)

 これ、ほんま参加する欠席するって考え方次第だと思います。
 もちろん「それでも参加」とあの手この手を考えるのもひとつの道。
 しかしお子さん自身に負担が大きいだろうから欠席、と考えるのも
ひとつの道。

 >まあ、今年は主役じゃないからいいとして、来年はどうなることやら・・・

 来年に向けての「あの手この手」の練習と考えて参加してみるって
手もあるかも(ニコ)

 私の担当したお子さんではC君には式次第を用意して消していく、(これは
C君にはあまり効果は無かったみたい・・・アセ)F君には大好きな空気の
抜けたボールで遊ぶ、というのを用意しました。
−−−−−−−−−−−−−−−
 DDさん、こんにちは。

 > 確かに、それもそうですね。
 > 迷惑かけまいと欠席する選択もあるわけですね。

 実は・・・「迷惑」だけだったら別に「迷惑かけてもいいじゃん」
と私個人は考えています(ニコ)

 やっぱり本人への負担とか、「本人にいいか悪いか」で考えて
選択したいですよね。

 > 幼稚園は、あたたかいムードだったけど、小学校はなんか空気が
 >ピリピリするような感じ。思い過ごしならいいんですが。

 まあそうかもしれませんし、そうでもないかもしれません。
 こればかりはその場になってみないとわかりませんね。
 でも構えすぎると余計にそっちに行くってのもあるし・・・

 私の好きなある先生の言葉。
「「大丈夫。きっとうまくいくよ」これを何回かつぶやいてみよう」








posted by kingstone at 10:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2年前の卒業式練習(私がA君を怖い顔をして叩いていたこと)

 大昔の話です。

 知的障害特別支援学校にいた頃。


 一連の「卒業式シリーズ」なんか、私がカッコイイですね(^-^)

 で、丁度このシリーズの2年前の卒業式練習の時の記録が残って
います。登場人物は同じA君です。私は、初めてTEACCHの2日
間セミナーに行った後で、自立課題学習も少しは始め、靴を脱ぐ場
所には目印をつける、とかはやっていたころ。まだスケジュールは
取り入れてなかった頃です。

 卒業式の練習をしています。

 在校生のA君も出席します。

 1回目の練習の時は途中で何度も「うんどうじょう」と言って
運動場に遊びに行きたがりました。

 で今日は始めに

 「しきのあいだしっかりすわっています」
 「あとでうんどうじょうであそびます」

 と書いた紙を見せました。そのせいか、単に慣れただけなのか、
今日は「うんどうじょう」と言って立ち上がることはありません
でした。

 ところが・・・途中で隣に座っている私の膝の上に足をのっけ
ようとします。退屈で甘えてきたのでしょう。こわい顔をして
「ちゃんとすわります」と言っても駄目。

 でついにA君の手のひらを「パチン」とたたきかつこわい顔で
「ちゃんとすわります」と言うといい姿勢で座りました。

 ところが・・・だいぶたってからまたこちらの膝に足をのっけ
ようとし、手のひらを私の方に出して「パチン」と言います。
「パチンして」という感じ・・・まいりました。
 行儀よく座ってるよりこうやって遊んでる方が楽しいよ、という
ことかな。

 ううう、どうすりゃいいんだ。
 まあ、何やかややりとりしながら最後までもたせましたけど。

 まあA君にとって式はあんまし面白くないわなあ・・・。
 でも卒業式だもんなあ・・・。

 また何かいい方法があったら教えて下さい。
−−−−−−−−−−−−−−−
 これには長いことレスがつきませんでした。

 私は確かに「困って」いましたが、障害児教育フォーラムに書きこめる
くらいですから「本当に混乱し困っていた」という状態では無かったと思
います。そういう状態だと公開の場に書けないですから。ちょっとした
「ほのぼのエピソード」くらいの気持ちであったかもしれません。

 保護者もこの記事を読んでおられましたが、笑顔で
「家でもパチンしちゃうんですよー」なんて言って下さってました。


 しばらくたってからレスがつきました。もう今は高名となられたお医者
様です。今は掲示板にレスをつけるなんて時間はとても無いと思いますが、
当時はつけて下さったのですね。長い丁寧なものでした。全文引用したい
ですが、そうもいきません。かいつまんで書きます。

 まずTEACCHの視点から見たとき、という断り書きが入ります。
 その上で

・スケジュールで見通しをたてることの大切さ。
・式の内容がわからないなら、わかって楽しめる物を持ち込む。

を教えて下さいました。そしてその上で「嫌なら嫌と表現できる(そして
もちろん実現できる)」ことの大切さ。表現コミュニケーションができる
ことは権利擁護(アドボカシー)のためにも大切、というようなことを教
えて頂きました。

 最後に感慨として「学校では式が多いけど、自閉症の文化には脅威かも」
と述べてはりました。

 すごくありがたいレスでした。
 ここからまた私はあれこれ考えるようになります。
 それが2年後の卒業式にもつながっていくわけです。









posted by kingstone at 10:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする